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「眠くない?」

日付も変わった中での遅めの食事に、智は未成年の恵太を心配して声をかけた。

「大丈夫よ、トモちゃん。
ワタシ、元々夜型だし…
田舎にいた時は農作業の時間が早かったから、仕方なく規則正しい生活送ってたけど。

あっ、このオムライス美味しい」

恵太は話をしながらオムライスを口に運び、感激した様子で目を輝かせた。


「今度は昼間に専門店に連れてくわ。

ワタシもオムライスは好きだし、美味しい店知ってるのよ。」

ユウがそう言うと、恵太は嬉しそうに頷いた。


「トモちゃんは食べないの?」


「ワタシの年齢で、この時間に食事するなんて自殺行為よ。
これで十分」

チキンのサラダを食べながら、智は自嘲気味に言った。


「ごめんね、ワタシだけたくさん食べて」


「若いんだから気にしないで。

ワタシみたいな中年ニューハーフは何したって太るのよ。
女ホルしてるから仕方ないんだけど。
それと加齢によるものが合わさって全然痩せなくなってるの。」   


「トモちゃん
ワタシも最近ダメなのよね。
すぐにお肉が付いちゃって…」

ユウも智の話に同調した。


「ワタシも気をつけなきゃ…」


「恵ちゃんは大丈夫よ。

まだ若いしね。
ワタシも三十くらいまでは何食べても全然平気だったけど、そこからぶくぶく太っちゃって、どうしようもないカラダになっちゃったわ。」


「トモちゃんくらいの体つきが一番キレイだけどなあ
女性らしくて…」


あくまでも智信者の恵太は、智の全てを肯定するきらいがある。

智は元々太りやすい体質だったが、男性時代は若いということもあり、特に太いということもなかった。
しかし、ニューハーフとなり女性ホルモン投与、去勢などでホルモンバランスが崩れてからは目に見えて太るようになっていった。
それが証拠に、奈々の両親との裁判に負け、莉愛の親権を奪われた時には、自暴自棄となって過食になり、一年で体重が100キロを超えた。

それが本人もわかっているからこそ、節制を積み重ね、辛うじて体型維持をしてきたが、夜の仕事となったことで、その努力は水の泡となった。

そして、今
ユウにもその兆候が見え始めている。

恵太は本当に細くてスリムな体型をしているが、やはり女性ホルモンを始めてからは肉付きが変わった。
これは皮下脂肪が付いたためで、恵太が強く望んだ事であり、本人的にはもっと太りたいくらいだった。

だからこそ

「ワタシもお姉様方みたいな大人の美しい女性を目指して頑張ります。」

こんな言葉が嫌味なく出てくるのだ。
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