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巣立ち
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翌日の夜、敦と由香里は、恵太を交えて話し合いを行っていた。
「赤ちゃんが…」
妊娠の報告を聞いた恵太は、由香里の方を見つめ、複雑な表情を浮かべた。
「恵太、こんな事になってごめんね」
由香里は申し訳なさげに恵太に言った。
「いや、ワタシに謝る事なんて何もないよ。
ママとパパは仲良しだし、自然な事だと思うよ。」
「恵ちゃん
その事で話があるんだ。」
ここで敦が切り出した。
「えっ、どうしたの?」
「ママが妊娠したって事は、しばらく畑には出れないって事になるんだけど
そうなるとウチの畑は忽ち回らなくなってしまうんだ。」
「そうだね。
ワタシとパパだけじゃ、たしかに厳しいと思う。」
「実は、近いうちに畑を手放そうと思っているんだ。」
「えっ
畑手放すって…
その後はどうやって生活していくの?」
「麓にある分校の教師をしようと思っている
まだ正式に決まったわけじゃないけどね。」
「そうなんだ…」
「恵太
パパとママで相談して出した答えなんだけど、まだそうするって正式に決まったわけじゃないの。
だから、あなたの意見も聞かせて欲しい。」
由香里の言葉に、恵太は少し考える素振りを見せた。
そして…
「それだったら、計画を前倒しにして、ワタシ、東京に出るわ。
ねえ、ママ
いいでしょ?」
「えっ、東京に出る?」
「そう。
向こうでニューハーフとして頑張っていこうと思ってる。」
「いや、でも…」
「トモちゃんに連絡してみて、お世話になれるようだったらそうするし、無理だったら一人で頑張ってみるよ。
トモちゃんには新しいパートナーがいるみたいだから、邪魔はしたくないしね。」
「でも、恵太はまだ十七だし…
一人で東京に出すのは…」
「ワタシ、早く女の子として生活したいの。
それにはこんな田舎より東京の方が色々と便利だと思うし。
パパとママも、ワタシがいなければ新婚生活を一層楽しめると思う。
別に僻んで言ってるわけじゃないのよ。
ただ、二人には幸せになってほしいの。
ワタシ、パパもママも大好きだから。」
「恵太…」
その後、由香里と敦は恵太の気持ちがどれだけのものかを確かめるべく、様々な質問と話をしたが、恵太の決意は固く、翻意させる事は出来なかった。
既に体が女性化してしまい、このような姿で農作業、いや、田舎生活を続けさせるには無理があると、敦も由香里も感じではいた…
しかし、東京に一人で行かせる事に対しては強い不安を持っていたのだった。
「赤ちゃんが…」
妊娠の報告を聞いた恵太は、由香里の方を見つめ、複雑な表情を浮かべた。
「恵太、こんな事になってごめんね」
由香里は申し訳なさげに恵太に言った。
「いや、ワタシに謝る事なんて何もないよ。
ママとパパは仲良しだし、自然な事だと思うよ。」
「恵ちゃん
その事で話があるんだ。」
ここで敦が切り出した。
「えっ、どうしたの?」
「ママが妊娠したって事は、しばらく畑には出れないって事になるんだけど
そうなるとウチの畑は忽ち回らなくなってしまうんだ。」
「そうだね。
ワタシとパパだけじゃ、たしかに厳しいと思う。」
「実は、近いうちに畑を手放そうと思っているんだ。」
「えっ
畑手放すって…
その後はどうやって生活していくの?」
「麓にある分校の教師をしようと思っている
まだ正式に決まったわけじゃないけどね。」
「そうなんだ…」
「恵太
パパとママで相談して出した答えなんだけど、まだそうするって正式に決まったわけじゃないの。
だから、あなたの意見も聞かせて欲しい。」
由香里の言葉に、恵太は少し考える素振りを見せた。
そして…
「それだったら、計画を前倒しにして、ワタシ、東京に出るわ。
ねえ、ママ
いいでしょ?」
「えっ、東京に出る?」
「そう。
向こうでニューハーフとして頑張っていこうと思ってる。」
「いや、でも…」
「トモちゃんに連絡してみて、お世話になれるようだったらそうするし、無理だったら一人で頑張ってみるよ。
トモちゃんには新しいパートナーがいるみたいだから、邪魔はしたくないしね。」
「でも、恵太はまだ十七だし…
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それにはこんな田舎より東京の方が色々と便利だと思うし。
パパとママも、ワタシがいなければ新婚生活を一層楽しめると思う。
別に僻んで言ってるわけじゃないのよ。
ただ、二人には幸せになってほしいの。
ワタシ、パパもママも大好きだから。」
「恵太…」
その後、由香里と敦は恵太の気持ちがどれだけのものかを確かめるべく、様々な質問と話をしたが、恵太の決意は固く、翻意させる事は出来なかった。
既に体が女性化してしまい、このような姿で農作業、いや、田舎生活を続けさせるには無理があると、敦も由香里も感じではいた…
しかし、東京に一人で行かせる事に対しては強い不安を持っていたのだった。
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