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未知との遭遇
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「お米の匂いが、もうダメなの」
酷いつわりに悩まされ、米さえ受け付けなくなって美智香は、深刻な表情で、家に来てくれた美沙に相談をしていた。
「私もけっこう酷い方だったから、まあムリなものはムリなんだし。
食べられると思ったものだけ口にするのがいいよ。」
「うん。
ありがとう…
美沙が近くに住んでくれてて本当に良かったわ」
「美智香は初産だし、心配な事も沢山あると思うわ。
私で役に立つなら何だって協力するし、いつでも駆けつけるから遠慮なく言ってね。」
「ごめんね
私の話ばかりしちゃって…
美沙の方はどうなの?
翔くんとの仲は」
「うん。
正直言って、毎日が楽しくて楽しくて仕方ないって感じ。
年甲斐もなく浮かれまくり…」
「わかるよ。
私も真弥君と同棲し始めたときは、まさにそんな感じだったわ。
年上だし、それなりに落ち着いた振る舞いをしなきゃって思ってたんだけど、結局はムリで、浮き足立つっていうか、とにかくはしゃいでばかりだったわ。」
美智香は真弥と出会い、付き合い始めた頃の事を思い出し、懐かしそうに言った。
それからしばらく二人で話し込んでいたが…
「じゃあ、私はそろそろ失礼するね。」
美沙は時計を見ながら美智香に言った。
「あ、うん
もう帰っちゃうの?」
「今日は翔クンが仕事お休みでね。
家で待ってるのよ」
「そうなんだ
ごめんねー、そんなときに呼び出しちゃって。」
「いいのよ。
美智香も色々不安なこと沢山あると思うし、些細な事でも頼ってね。」
「ありがとう、美沙」
美智香は笑みを浮かべて美沙に言った。
美智香の家を出た美沙は、スーパーに立ち寄り、食材を買い込んでから帰宅した。
「お帰り」
家に帰ると、翔が洗濯物を取り込み、畳んでいた。
「ただいま
翔クン、そんな事しなくていいよ
私がやるから」
「休みの日くらいはこれくらいさせてくれよ。
いつもいつも申し訳ないじゃん。」
翔は美沙にそう言って笑った。
「ありがとう…」
美沙にとって、翔との同棲生活は驚きの連続であった。
勿論年齢差からくるギャップを感じてそう思う事もあれば、洗濯物を取り込んで畳むといった、ごくありふれた日常にも驚きを隠せなかった。
前の夫はこんな事は一切してくれなかった。
仕事はちゃんとして、決まった額を毎月稼いではくるが、家事や子育てに全く関心を示さず、全て美沙にやらせていた。
昭和の男と現代の若者を比べる事自体ナンセンスではあるが、翔との同棲生活は新鮮な出来事の連続で、その一つ一つの出来事に胸が躍る思いだった。
「美沙、どうしたの?」
感慨深く自分を見つめる美沙を不思議に思い、翔が聞くと
「ううん
何でもないわ。
晩御飯の準備するね」
と、言って、スーパーの袋から買ってきた食材を出した。
酷いつわりに悩まされ、米さえ受け付けなくなって美智香は、深刻な表情で、家に来てくれた美沙に相談をしていた。
「私もけっこう酷い方だったから、まあムリなものはムリなんだし。
食べられると思ったものだけ口にするのがいいよ。」
「うん。
ありがとう…
美沙が近くに住んでくれてて本当に良かったわ」
「美智香は初産だし、心配な事も沢山あると思うわ。
私で役に立つなら何だって協力するし、いつでも駆けつけるから遠慮なく言ってね。」
「ごめんね
私の話ばかりしちゃって…
美沙の方はどうなの?
翔くんとの仲は」
「うん。
正直言って、毎日が楽しくて楽しくて仕方ないって感じ。
年甲斐もなく浮かれまくり…」
「わかるよ。
私も真弥君と同棲し始めたときは、まさにそんな感じだったわ。
年上だし、それなりに落ち着いた振る舞いをしなきゃって思ってたんだけど、結局はムリで、浮き足立つっていうか、とにかくはしゃいでばかりだったわ。」
美智香は真弥と出会い、付き合い始めた頃の事を思い出し、懐かしそうに言った。
それからしばらく二人で話し込んでいたが…
「じゃあ、私はそろそろ失礼するね。」
美沙は時計を見ながら美智香に言った。
「あ、うん
もう帰っちゃうの?」
「今日は翔クンが仕事お休みでね。
家で待ってるのよ」
「そうなんだ
ごめんねー、そんなときに呼び出しちゃって。」
「いいのよ。
美智香も色々不安なこと沢山あると思うし、些細な事でも頼ってね。」
「ありがとう、美沙」
美智香は笑みを浮かべて美沙に言った。
美智香の家を出た美沙は、スーパーに立ち寄り、食材を買い込んでから帰宅した。
「お帰り」
家に帰ると、翔が洗濯物を取り込み、畳んでいた。
「ただいま
翔クン、そんな事しなくていいよ
私がやるから」
「休みの日くらいはこれくらいさせてくれよ。
いつもいつも申し訳ないじゃん。」
翔は美沙にそう言って笑った。
「ありがとう…」
美沙にとって、翔との同棲生活は驚きの連続であった。
勿論年齢差からくるギャップを感じてそう思う事もあれば、洗濯物を取り込んで畳むといった、ごくありふれた日常にも驚きを隠せなかった。
前の夫はこんな事は一切してくれなかった。
仕事はちゃんとして、決まった額を毎月稼いではくるが、家事や子育てに全く関心を示さず、全て美沙にやらせていた。
昭和の男と現代の若者を比べる事自体ナンセンスではあるが、翔との同棲生活は新鮮な出来事の連続で、その一つ一つの出来事に胸が躍る思いだった。
「美沙、どうしたの?」
感慨深く自分を見つめる美沙を不思議に思い、翔が聞くと
「ううん
何でもないわ。
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