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転職×天職

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様々な問題を一つ一つクリアしながら、智とユウは、ようやく譲り受けたバーのオープン当日を迎えた。

智は当初からこの店をどのような形態にするか、頭を悩ませていたが、ユウの美貌を利用しない手はないと考え、露出の多い衣装を着せた。

イメージとしてはガールズバーにエロさを加えた感じだったが、ユウは智の期待に応え、バニーガール姿がとてもセクシーで、それでいて可愛く仕上がった。

「やっぱ、恥ずかしいわ、この格好…」

「ごめんね。ユウちゃんの美貌を利用せざるを得ないのよ。
素人経営の拙さを誤魔化すために…」

「うーん…
まあ、その辺は納得してるけど。

トモちゃんもバニーして欲しかったわ。」


「四十のオバサンニューハーフにそんな需要はないわ。

この格好が精一杯。」

智は胸開きの赤いドレス姿で恥ずかしそうに言った。



「そろそろ時間だね。

お客様来るかなあ」


「最初から上手くはいかないかもしれないけど、気長にやっていこ。

さあ、オープンよ。」


智は店の前にある置き看板の電源を入れた。

店名はこの店を残してくれたママの思いを受け継ぐ形で、変わらず「スマイキー」にした。


カウンターの中で二人して緊張気味に待っていると、早速最初の客が現れた。


「こんばんはー」


「いらっしゃいませ…

あっ」


新生スマイキーの客第一号はケイコだった。

恋人の山田を伴って現れたケイコは

「一番目のお客さんはワタシじゃないとダメよね」

と、言って笑った。


「ケイコさん、山田さん、わざわざ来ていただいてありがとうございます。

いつも座ってた席にどうぞ」

智に促されて席に着いた二人は、店内をぐるりと見回していたが、やはりユウのバニーガール姿が特にインパクトがあったようで、しばらくその姿の可愛さにツッコミを入れていた。


「ユウちゃんがいてくれてよかったわねえ。

トモちゃん以上の美人ニューハーフはいないと思ってたけど、負けず劣らずの人がこんな身近にいたなんてね。
これはすごい武器になるわ、うん。」


「いえ、ワタシなんて全然…

何飲まれます?」


「そうね、あなたどうする?」

ケイコが山田に言うと


「そうだなあ

山崎はある?」

と、聞いた。


「ありますよ。
18年が」


「じゃあ、それもらおうかな

水割りで」

「ワタシもそれにするわ」

注文を受けたユウは、グラス一杯に氷を入れると、ウイスキーを注ぎ、マドラーでしっかりと混ぜた。
そして、また少し氷を足すと、水を注ぎ込み、もう一度マドラーで、今度は軽めに混ぜ、二人の前に差し出した。

この日のために練習を重ねた腕前を披露したユウに、ケイコと山田は顔を見合わせて笑った。
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