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父娘

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莉愛と敦は互いに再会を喜び合った。

智と別れたといっても、自分と敦が何年も父と娘として暮らしていた事実が変わるわけではなく、勿論、二人の間に何の蟠りもなかった。

「パパ、元気そうで安心したわ。」

「莉愛も。
また背が伸びたんじゃないか?」

「多分変わってないと思うけど。」

「いつまでこっちにいられるんだ?」

「明日まで。
突然押しかけてごめんなさい」

「何言ってんだよ
ここは莉愛の家なんだからな。
それを忘れちゃいけないよ」

「ありがとう、パパ」

莉愛は敦の優しさに絆され、感極まった表情を浮かべた。


「ただいま」

そのとき、出かけていた恵太が帰ってきた。


「莉愛ちゃん!」

目の前に、敦と談笑する莉愛の姿を見てびっくりする恵太だったが、莉愛の方もまた驚きの声を上げた。


「えっ、恵太…

恵太なの?」


恵太はこの何ヶ月かの間に、さらに女性化が進んでおり、どこをどう見ても女子にしか見えなくなっていた。
髪も伸びて、しっかり化粧もしているから尚更そういう風に見えたのだが。




由香里が食事の用意をするまで、莉愛は恵太の部屋に行き、引き続き話をしていた。



「驚いたわ
あんたがここまで変身してるとはね」

莉愛は椅子に座り、ベッドに腰掛ける恵太をまじまじと見つめながら言った。

「日々努力してるからね、女になるための。

胸もサイズアップしたのよ。」


「へえ、ちょっと触らせて」

莉愛は恵太の胸の膨らみに両手を伸ばしてた。


「あっ、ホントだ…スゴっ」


「これも全て、十八になったら東京に出てプロのニューハーフとして生きていくための準備なの。

早く智ちゃんの元に行きたいわ。」


「その事なんだけど、ママの事情が少し変わったみたいよ。」

「えっ、どういう事?」

「ママ、今好きな人がいてね

相手の人もニューハーフなんだけど、その人の家に転がり込む形で暮らしてるのよ。」


「えっ、そうなの?」


「恵太が居候させてもらうにしても、相手の人に許可してもらわなくちゃならないし。


実際どうなのかはわからないけど。」


「そうだったんだね。
それならそれで仕方ないと思ってる。
でも、ワタシは東京に行くわ。
それだけを目標に今を生きてるんだから。



あっ
ところで、莉愛ちゃん
ここには何しに?

私物を取りに来るってママから聞いたけど、どんなものなの?

ワタシ、予めこの部屋を色々探したんだけど、見つけられなくて。」

恵太が聞くと、莉愛は首を横に振った。

「あー、それね。
何も持っていくものなんてないわ。

ここに来たホントの理由は…」

莉愛は恵太に真相を話し始めた。
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