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spring fair

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「久しぶりね、莉愛ちゃん

元気にしてた?」


駅まで迎えに来た由香里は、莉愛と再会し、三ヶ月ぶりの再会を喜んだ。


「由香里さん
ご無沙汰しています。」


莉愛も笑顔で一礼すると、車に荷物を積み込み、助手席に座った。



「なんか懐かしいなあ、この景色」

田舎道を走る車の窓から外を見て、莉愛は呟くように言った。

「莉愛ちゃん、トモさんは元気にされてる?

トモさんから、いきなりLINEが来てビックリしたけど、嬉しかったわ。」


「はい、元気です。
今は、以前にニューハーフアイドルをしてた時に一緒に活動してたユウさんて方と一緒に暮らしています。」


「えっ、そうなの?」


由香里はハンドルを握りながら、思わず莉愛の方を見た。

「なんていうのかなあ、お互い好きみたいだし…

事実婚てやつ?

そんな感じです。」

「そうなのね。
でも、幸せに暮らしてるんだったら、それに越した事はないわね。」


「由香里さんはどうなんですか?

パパと幸せに暮らせてます?」


「うん。

あっちゃ…、敦さんはめちゃくちゃ優しいし、素敵な人

私も幸せに毎日をすごさせてもらってるわ。」


「よかった。

恵太も元気ですか?」


「うん、元気よ。

髪も伸ばして、女性ホルモンで体付きもかなり変わっちゃってね。
パッと見は女子にしか見えないわよ。」


「へえ、そうなんですかあ。
会うの楽しみ」


「莉愛ちゃん…

恵太があなたにした事は…絶対に許される事ではないし…

親として本当に申し訳なく思っています。

ごめんなさい…」


由香里は忽ち声に元気がなくなり、沈んだ面持ちで莉愛に改めて謝罪した。


「由香里さん

あのときも言いましたけど、あれは私も同意してした事です。
別に恵太を恨む事もしていませんし、自分でも納得しています。

だから、そんな風に言わないで下さい。」


莉愛は由香里とは違い、明るい表情でそう答えた。


「莉愛ちゃん、ありがとう。

そう言ってもらえると、私も気持ちが少し楽になるわ。

私と恵太があの家に転がり込んだ為に、トモさんを追い出す結果となり、恵太はあなたにとんでもない事をしてしまった。
伊東家にとっては、疫病神の親子だったという自覚が今もずっとあってね」


「由香里さん、さっき幸せだって言いましたよね?

それはママも私も同じです。
今、すごく幸せに暮らしています。

多分パパも由香里さんという素敵な女性と出会って、今とても幸せだと思います。

みんなが幸せに暮らせている。

これが正しい姿じゃないですか」


「莉愛ちゃん、ありがとう。

恵太も莉愛ちゃんに出会えてなかったら死んでたかもわからないって言ってたし、感謝してもしきれないわ。

莉愛ちゃんとトモさんは、私にとって今も家族同然の存在だと思ってるの。

だから、これからもずっと仲良くして欲しい。」


由香里の言葉に、莉愛は頷き、そして満面の笑みを浮かべた。
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