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叔母と姪
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「吉岡莉愛です。」
食事会の場で、16歳にして初めて美智香と対面した莉愛は少し緊張した面持ちで挨拶をした。
美智香と真弥の夫婦に対し、智とその娘の莉愛、智のパートナーのユウが向かい側に座った。
莉愛以外は気心が知れていた仲だったが、その日は美智香が妊娠の件で智に相談しようとしており、そのせいか少し元気がなかった。
智はそんな美智香の様子に気付き
「お姉ちゃん、なんか今日元気ないね」
と、言った。
美智香は真弥と顔を見合わせ、少しだけ間があったが、訥々と話し始めた。
「実は、私…
赤ちゃんが出来たの。」
「えっ」
「正直言って、私が一番驚いてる…」
「美智香さん、おめでとうございます!」
ユウが祝福すると、美智香は笑みを浮かべて
「ユウさん、ありがとうございます」
と、頭を下げた。
「でも、お姉ちゃん、不妊って言ってなかった?」
智は美智香にそう聞かされていただけに、突然の懐妊話に驚きの色を隠せなかった。
「実はちゃんと調べた訳じゃなくて…
そう思い込んで、勝手に判断してたの…」
「そうだったんだ…」
「でも、もう私は四十二歳で、赤ちゃんが生まれるときには四十三になってる。
妊娠がわかったときはびっくりしたんだけど、すっかり諦めていた夢みたいなものが突然叶って、すごく嬉しかったの。
でも、こんな高齢で初産ていうのが、やっぱりあり得ない事なんじゃないかって…」
美智香は率直な自分の気持ちを吐露した。
「真弥クンはどう思ったの?」
智は真弥に話を振った。
「そりゃ、もちろん嬉しかったですよ。
最愛の女性との間に子供が出来るなんて、こんな幸せな事はないですよ。
でも、みっちゃんが言ったように、高齢出産は子供は勿論の事、母体も危ない事が沢山あるって聞いて…
そんな危険な目に遭わせたくないっていうのが僕の気持ちです。」
「うーん…難しいわね」
莉愛は大人達の話を黙って聞いていようと思っていたが、どうしても一言言いたくなり、割って入った。
「美智香さん」
敢えて叔母を名前で呼ぶと、美智香は優しげな表情で莉愛の方に視線を向けた。
「莉愛ちゃん、どうしたの?」
「あの、私が口を出す話じゃないとは思うんですけど、自分だったらどうするかなって考えてたんです。」
「うん…
莉愛ちゃんだったらどんな選択する?
叔母さんも是非聞いてみたいわ」
「私だったら、産むと思います。
真弥さんが言ったように、お互いに心から愛し合っていて、そんな中で妊娠がわかったら産みたくなるのは必然の事だと思います。
もちろんリスクがあるのはわかります。
でも、最愛の人との間に新しい命を授かれるんです。
正真正銘の家族が出来るんです。
こんな素晴らしい事はないと思います。」
「そうね、そうよね」
美智香が笑みを浮かべて頷くと、莉愛はハッとして顔をした。
「ごめんなさい。
何もわかっていないガキが偉そうな事を言ってしまって…
でも、家族が増えるって、やっぱりすごく嬉しい事だって…」
莉愛が何故このような発言をしたのか、皆、その真意を測りかねていたが、智にはよくわかった。
幼い時からずっと寂しい思いをしてきた娘の心理が…
食事会の場で、16歳にして初めて美智香と対面した莉愛は少し緊張した面持ちで挨拶をした。
美智香と真弥の夫婦に対し、智とその娘の莉愛、智のパートナーのユウが向かい側に座った。
莉愛以外は気心が知れていた仲だったが、その日は美智香が妊娠の件で智に相談しようとしており、そのせいか少し元気がなかった。
智はそんな美智香の様子に気付き
「お姉ちゃん、なんか今日元気ないね」
と、言った。
美智香は真弥と顔を見合わせ、少しだけ間があったが、訥々と話し始めた。
「実は、私…
赤ちゃんが出来たの。」
「えっ」
「正直言って、私が一番驚いてる…」
「美智香さん、おめでとうございます!」
ユウが祝福すると、美智香は笑みを浮かべて
「ユウさん、ありがとうございます」
と、頭を下げた。
「でも、お姉ちゃん、不妊って言ってなかった?」
智は美智香にそう聞かされていただけに、突然の懐妊話に驚きの色を隠せなかった。
「実はちゃんと調べた訳じゃなくて…
そう思い込んで、勝手に判断してたの…」
「そうだったんだ…」
「でも、もう私は四十二歳で、赤ちゃんが生まれるときには四十三になってる。
妊娠がわかったときはびっくりしたんだけど、すっかり諦めていた夢みたいなものが突然叶って、すごく嬉しかったの。
でも、こんな高齢で初産ていうのが、やっぱりあり得ない事なんじゃないかって…」
美智香は率直な自分の気持ちを吐露した。
「真弥クンはどう思ったの?」
智は真弥に話を振った。
「そりゃ、もちろん嬉しかったですよ。
最愛の女性との間に子供が出来るなんて、こんな幸せな事はないですよ。
でも、みっちゃんが言ったように、高齢出産は子供は勿論の事、母体も危ない事が沢山あるって聞いて…
そんな危険な目に遭わせたくないっていうのが僕の気持ちです。」
「うーん…難しいわね」
莉愛は大人達の話を黙って聞いていようと思っていたが、どうしても一言言いたくなり、割って入った。
「美智香さん」
敢えて叔母を名前で呼ぶと、美智香は優しげな表情で莉愛の方に視線を向けた。
「莉愛ちゃん、どうしたの?」
「あの、私が口を出す話じゃないとは思うんですけど、自分だったらどうするかなって考えてたんです。」
「うん…
莉愛ちゃんだったらどんな選択する?
叔母さんも是非聞いてみたいわ」
「私だったら、産むと思います。
真弥さんが言ったように、お互いに心から愛し合っていて、そんな中で妊娠がわかったら産みたくなるのは必然の事だと思います。
もちろんリスクがあるのはわかります。
でも、最愛の人との間に新しい命を授かれるんです。
正真正銘の家族が出来るんです。
こんな素晴らしい事はないと思います。」
「そうね、そうよね」
美智香が笑みを浮かべて頷くと、莉愛はハッとして顔をした。
「ごめんなさい。
何もわかっていないガキが偉そうな事を言ってしまって…
でも、家族が増えるって、やっぱりすごく嬉しい事だって…」
莉愛が何故このような発言をしたのか、皆、その真意を測りかねていたが、智にはよくわかった。
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