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開業準備

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智はバーの開業に向けて、「食品衛生責任者」の講習会を受講、「深夜酒類提供飲食店営業」の届け出等を行い、同時にユウと二人で酒に関する基本的な事、お通しのメニューなど、細かに勉強し、着々と開業に向けての準備を進めていた。

休日には、ケイコやケイコの彼氏、美智香と真弥、挙げ句の果てには話を聞きつけた和俊までが手伝いに来た。

約十年ぶりの再会に、さすがに気まずさを隠せない智だったが、久しぶりの対面に、懐かしさを感じた。


「久しぶりだね。」


「うん。元気だった?」


「元気は元気だよ。
あれから結婚して、子供も二人出来てね。
偶然、君のお姉さんと再会して…家族ぐるみの付き合いをさせていただくうちに、ここの話を聞いて…
何かお手伝い出来ないかなって。」


「ありがとう。本当に助かります。」


二人の会話を聞いていたユウが、わざとらしく近づいてきて

「トモちゃん、これってどこに置くんだっけ?」

と、どうでもいい質問をして、間に割り込んできた。


「あ、ユウちゃん、紹介しとくわ。

こちらはレギンドーのバイヤー…じゃなかったっけ?今は。

後藤さん。」


「こんにちは、初めまして」


「こちらがワタシと一緒にこのお店を経営してもらうユウさん。

関係的には、お付き合いさせてもらっています。」


「えっ、そうなんだ…

よろしくお願いします。」


ユウのトモに対する愛情と、異常なまでの執着心は凄まじく、和俊の存在を話で聞いて知っていただけに、割り込まずにはいられなかったのだ。
智もその辺りの事は十分にわかっていたので、和俊に敢えて恋人としてユウを紹介した。

美智香は和俊に、智の近況を話すつもりで連絡を取ったわけではなく、達也の事を知っている和俊に、情報提供をしてもらうべく、連絡を取り、そのついでに智がこの店を開く事を話したのだった。
それならば、店の開店準備を手伝うついでに、話を聞くと、和俊は美智香に提案し、このようなカオスな空間が出来上がったのだ。

狭い店にこれだけの人数が集まると、逆に効率が悪い事も多々あったが、美智香の件を話すのには打ってつけだった。

早々に準備が完了し、ユウが予約をしていたレストランで遅めのランチをする事にした。

智、ユウ、ケイコ、ケイコの彼氏の山田、美智香、真弥、和俊と、総勢七名の大所帯で店に入ると、半個室のようなスペースに案内された。


全員の顔を知っているのは智だけで、ここであらためて皆が自己紹介をした。

少し自身の事を話していたが、話題はすぐに美智香と達也の事に移っていった。
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