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法的拘束力

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一週間の予定で智が東京に行き、一人で暮らす敦の元へ由香里と恵太が帰ってきた。


「おかえり、聞いてたより早かったね」


敦が出迎えると、恵太はいつもと変わらない感じだったが、由香里は妙にテンションが高かった。

「一日でも早くこっちに戻ってきたくて、大急ぎで手続きとか引越し作業をやりました」


「そうですか。
それはお疲れの事でしょう。
早く中でゆっくりして下さい。」


「ありがとうございます。
家財道具はほとんど処分しましたが、最低限必要なものだけ運送屋さんでこちらの方にお送りしました。
明日着くと思いますので、申し訳ないですがよろしくお願いします。」


「それは、勿論」

智こそ不在だったが、三人はいつもの暮らしに戻った。

夜は敦が恐縮する中、由香里が台所に立ち、家にあるもので夕食を作り上げ、二人に振る舞った。

その後、お風呂に入り、それぞれが部屋に入ったが、最後に入った由香里が片付けをして自分の部屋に戻ると、すぐさま敦が来た。

「あの、由香里さん
…僕一人ですし、部屋に来ませんか」


「えっ、いいんですか
行きます行きます!」

由香里は即答して、敦と智の愛の巣に足を踏み入れた。



「へえ、ここが敦さんと智さんの寝室なんですね、素敵なお部屋」


「智が少女趣味で、とにかく可愛いものが大好きで、気が付いたら、こんな感じの部屋になりました。」

敦は笑って言った。


「敦さん…」


「どうしたんですか?由香里さん」


「今の夫との話合いも全て終え、離婚も無事成立しました。

でも、私、本当にここで暮らしてもいいんでしょうか。」


「勿論です。
これは僕の望みでもあるのですから…」


「ありがとうございます」


「あ、そんな事より由香里さん

離婚の話し合いや引越し作業でお疲れじゃないですか」


「えっ、そうですね」


「肩でも揉みましょうか」


「えっ、そんな…

本当に大丈夫ですので、お気遣いなく…」


「遠慮なさらず。
僕は子供の頃から祖父母や両親の肩を揉まされましてね。

腕には些か自信があるんですよ」


敦はそう言うと、由香里の後ろに座り、肩を優しく持ち、ゆっくりと指に力を入れてマッサージを始めた。


「あっ、本当だ。

すごい上手…」

恐縮しっぱなしだった由香里だが、敦の技術に思わず舌を巻いた。


「うん。由香里さん、けっこう肩が凝ってますよ」


「えっ、そうですか…」


「はい。ちょっとうつ伏せに寝てもらえますか」

敦は由香里をベッドに寝かせると、跨って腰を親指で押した。
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