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愛情

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夜になり、ユウが待つ家に戻ってきた智は、早速今日起きた出来事の事を話した。


「えっ、そうなの!?

トモちゃんがバーを」


「うーん
勢いでやるって言ってしまったんだけど、初心者も初心者だし、自信がないの。」


「でも、ワタシたちみたいなある程度年齢がいっちゃってるニューハーフって需要も減ってるし、かと言って昼間の仕事もなかなか採用してくれないから…

ワタシは良いと思うけどなあ、その話。」


「そう?

たしかに、ワタシもこっちで仕事探すっていっても、アテもなかったし、本心ではどうしていいかわかんなかったの。

最悪風俗でまたお世話になろうかとも考えたけど、もう四十になるし、醜態晒すのもなあって、ずーっと悩んでた、」


「うん。ワタシは賛成」


「でさあ、ユウちゃん

もし、ワタシがお店やる事になったとして…


そこで相談なんだけど、ユウちゃんとお店を一緒にやれないかなって」


「えっ、ワタシが?

トモちゃんと」


「そう…」


「いいの?」


「でも、ユウちゃん、介護のお仕事してるし…無理には誘えないんだけど」


「えっ、えっ、
トモちゃんと一緒だったら、ワタシやるよ

是非やりたい」

ユウは興奮気味にトモの話に食いついた。


「ユウちゃん、やってくれるの?」


「当たり前じゃない!

トモちゃんと一緒に働けるなんて、こんなに嬉しいことはないよ!」

ユウは感極まって智に抱きついた。


「ありがとう。
全然自信なかったけど、ユウちゃんが一緒なら何とかなりそうな気がするわ」

智もようやく不安から希望を見出した。


「トモちゃん、愛してるっ」

ユウはそう言って何度も智にキスをした。

智は、敦と別れたのは自分の意思とはいえ、やはり寂しくて辛い気持ちをずっと抱いていた。

そんな自分を心から慕い、100%の愛情をぶつけてくれるユウの事を、愛おしく思った。
ユウは男性でも女性でもなく、自分と同じニューハーフであるが、智自身が本来持っている男性性と、母性のようなものが入り混じり、口では説明がつかないような感情を持ってユウを見ていた。

だが、それが何かと問われれば、迷わずユウへの愛だと答える事が出来た。


「ユウちゃん、明日ね
姉と会う約束してるんだけど、一緒に来てくれる?」


「えっ、ワタシも?」


「うん。
姉も旦那さんと一緒に来るみたいだし、ワタシもユウちゃんを紹介したくてね。」


「いいの?

トモちゃんがそう言ってくれるなら、ワタシ、喜んで行きます。」


ユウは少し興奮気味に答えた。
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