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癒し

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四時前に駅前に戻ってきた二組のカップルは、旅館が用意したマイクロバスに乗り、待望の温泉旅館に到着した。


いかにも老舗という外観だったが、中に入ると、リニューアル工事をしたのか、近代的なロビーとなっていた。


「あ、すごーい」

美智香と美沙はその高い天井を見上げながら、感嘆の声を上げた。


四人はチェックインを済ませると、和服姿の旅館の女性に案内されてエレベーターで五階に上がった。


そして、通された部屋は


「すげー、めっちゃ広い」


真弥は和室の部屋を覗き込むと思わず目を見開いた。


四人が宿泊する部屋は四人でも十分すぎるくらい広く、そして、清潔感があった。


「御食事は七時に部屋食でお伺いしておりますが、よろしいですか?」

「あ、はい。
お願いします。」


「お部屋にも露天風呂をご用意しておりますが、大浴場は二階にございます。

こちらの湯は、アルカリ性の単純温泉で、肌の角質を取り、滑らかにしてくれる「美肌の湯」としても知られています。
どうぞお試しください。」

そう説明された四人は、先ずは大浴場に行く事にした。


「部屋の鍵は美智香さんと俺が持つようにしましょう。

じゃあ行きますか」

翔の掛け声で、皆支度をして大浴場に向かった。


「残念ですけど、ここは混浴じゃないので、ここで男女別れます。

では、ごゆっくり」

翔と真弥は美智香と美沙を見送った。




「ねえねえ

美智香と二人で旅行なんてした事あったっけ?」


脱衣場で浴衣を脱ぎながら、美沙が質問すると、美智香は少し考える素振りを見せ

「大学の卒業旅行以来だね」

と、言った。


「まさか、四十過ぎて、若い旦那連れて来るとは思わなかったよね。」


「本当ね。

ユキがありえないってキレるのがわかるような気がする。

だって、フツーに考えてありえないもんね。」


美智香は笑いながら全ての衣服を脱ぎ、裸になった。


「美智香、やっぱりキレイだよね。
体のラインも全然崩れてないし、胸も垂れてない。

真弥君が惚れるの、わかる気がするよ」

美沙は美智香の体を見て感心した口調で言った。


「美沙もキレイじゃないの。

私は出産してないけど、美沙は出産も経験して、その見事なプロポーション維持してるんだから、すごいよ。」


「翔クンと付き合うようになってからダイエットしたのよ。
血の出るような思いで」

「え、何キロ痩せたの?」

「二ヶ月で八キロ」


「すごっ!」


「四十女が一キロ落とすのにどれだけ苦労するか‥」


「わかるよ、私も四十女だし」


「まあ、何はともあれ、愛の力に勝るものはないわね

翔クンに気に入られたい一心で頑張れたよ。

あとはリバウンドしないように注意しなきゃね。」


美沙はしみじみと自らの努力を語った。
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