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直談判
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その夜、由香里は智と二人きりの時間を利用して、話し合いの場を得ていた。
「智さん…
私はあなたの言葉に甘えて、今も敦さんと関係を続けています。」
「はい。」
「それをわかってて…あまりにも身勝手な事を申し上げるんですが、敦さんの事を愛してしまいました。」
「そうですか。」
「どのツラ下げてそのような事を言えるんだって思われるのは重々承知なんです。
でも、自分の心には嘘はつけません…
ですから、私がこれ以上ここでお世話になってはいけないと思っています。
明日にでもここを立ち、自宅に戻ろうと思います。
恵太はこの事には関係していませんし、智さんの事を心から慕っています…
誠に勝手なお願いをするんですが、どうか恵太だけはこのままここでお世話になる事をお許しいただけませんか。」
「由香里さん
恵ちゃんはこれまで通りここにいて欲しいです。
それに、あなたにも…」
「えっ」
「あなたに夫の事を託してから、こういう事態になる事を予想していなかったわけではありません。
男女の事ですし、況してや夫は女性が好きなんです。
本心を問えば、きっと由香里さんの方が良いと言うと思います。」
「そんな事は…」
「由香里さん。
これもまた自然の流れだと私は思っています。
もし、お互いがお互いを愛する気持ちがあれば、ワタシがどうこう申し上げることもありません。
だから、ワタシの事は気になさらないで下さい。
ここにも長くいてほしいです。」
「でも…」
「こんなお話をするのはどうかと思いますが、主人の母は末期のガンで、普通に考えればもうこの家に戻って来る事は出来ないでしょう。
娘の莉愛も高校を出たら、ここには戻らず東京の大学に進学させるつもりです。
そして、ワタシも四十歳になったらもう一度東京に出ようと考えています。」
「えっ、トモさん…」
「これは誰にもまだ言っていない事です。
ワタシもこの生活を捨てて出ていってはいけないと、強く思っていました。
ですが、由香里さん、あなたに夫を託してみて、わかったのです。
自分の正体が…」
「正体?」
「ワタシは夫に女性と経験して欲しいとか、色々綺麗事を並べましたが、本当はそんな理由で言ったんじゃないって気付いたんです。
ワタシは一人の男性をずっと愛していくことが出来ない人間なんです。
勿論、夫の事は愛しています。
ですが、そう思っていながら、ワタシは平気で他の男性とも寝る事が出来る…
そんなだらしない人間なんです。」
「由香里さん…
こんな勝手なお願いをするのはどうかと思いますが、夫と一緒になっていただけませんか」
「トモさん…」
「お願いします」
「…」
智の表情は真剣だった
由香里は何も答える事が出来なかったが、代わりに小さく頷いた。
「智さん…
私はあなたの言葉に甘えて、今も敦さんと関係を続けています。」
「はい。」
「それをわかってて…あまりにも身勝手な事を申し上げるんですが、敦さんの事を愛してしまいました。」
「そうですか。」
「どのツラ下げてそのような事を言えるんだって思われるのは重々承知なんです。
でも、自分の心には嘘はつけません…
ですから、私がこれ以上ここでお世話になってはいけないと思っています。
明日にでもここを立ち、自宅に戻ろうと思います。
恵太はこの事には関係していませんし、智さんの事を心から慕っています…
誠に勝手なお願いをするんですが、どうか恵太だけはこのままここでお世話になる事をお許しいただけませんか。」
「由香里さん
恵ちゃんはこれまで通りここにいて欲しいです。
それに、あなたにも…」
「えっ」
「あなたに夫の事を託してから、こういう事態になる事を予想していなかったわけではありません。
男女の事ですし、況してや夫は女性が好きなんです。
本心を問えば、きっと由香里さんの方が良いと言うと思います。」
「そんな事は…」
「由香里さん。
これもまた自然の流れだと私は思っています。
もし、お互いがお互いを愛する気持ちがあれば、ワタシがどうこう申し上げることもありません。
だから、ワタシの事は気になさらないで下さい。
ここにも長くいてほしいです。」
「でも…」
「こんなお話をするのはどうかと思いますが、主人の母は末期のガンで、普通に考えればもうこの家に戻って来る事は出来ないでしょう。
娘の莉愛も高校を出たら、ここには戻らず東京の大学に進学させるつもりです。
そして、ワタシも四十歳になったらもう一度東京に出ようと考えています。」
「えっ、トモさん…」
「これは誰にもまだ言っていない事です。
ワタシもこの生活を捨てて出ていってはいけないと、強く思っていました。
ですが、由香里さん、あなたに夫を託してみて、わかったのです。
自分の正体が…」
「正体?」
「ワタシは夫に女性と経験して欲しいとか、色々綺麗事を並べましたが、本当はそんな理由で言ったんじゃないって気付いたんです。
ワタシは一人の男性をずっと愛していくことが出来ない人間なんです。
勿論、夫の事は愛しています。
ですが、そう思っていながら、ワタシは平気で他の男性とも寝る事が出来る…
そんなだらしない人間なんです。」
「由香里さん…
こんな勝手なお願いをするのはどうかと思いますが、夫と一緒になっていただけませんか」
「トモさん…」
「お願いします」
「…」
智の表情は真剣だった
由香里は何も答える事が出来なかったが、代わりに小さく頷いた。
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