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その後、四人ともアルコールも入り、饒舌になった。

話題の中心は真弥と萩原の事で、大学時代の話等、自分の知らない真弥のエピソードが出ると、美智香は目を輝かせてその話に耳を傾けていた。

「へえ、萩原 翔って名前なんだ

顔だけじゃなくて、名前もカッコいいんだね」

美形好きの美沙は完全に萩原にロックオンし、美智香と真弥には全然話を振らなくなった。


「萩原君はカノジョはいるの?」


「いえ、いません」


「好きなタイプは?」


「タイプ…
そういうのはあまりなくて、第一印象でなんか感じるところがあったら、好きになりますね」


「ねえねえ、私の第一印象はどうだった?」


「めっちゃ良かったです。」

萩原は顔を赤らめて、俯いた。


「美沙、もう萩原君困ってるじゃない
やめなさい」

美智香が割って入っても美沙は止めず

「えっ、萩原クン、困ってるの?」

と、わざと悲しげな顔をして言った。


「いえ、全然困ってないです。
すごく楽しくてドキドキしてます」


「いやあ、嬉しいわ!」


「萩原君、ごめんね
美沙っていつもこんな感じだから、許してあげて。」

美智香は申し訳なさそうに両手を合わせた。


「いえ、本当にそう思ってます。

なんか、真弥が美智香さんと結婚した理由がよくわかるような気がします」

「えっ」


「美智香さんも美沙さんもすごく美人だっていうもありますし、なんか一緒にいてても、心が安らぐっていうか心地良いっていうか
上手く表現出来ませんけど…」


「さすがは萩原、俺の親友だ。

みっちゃんの良さをすぐに看破するとは。
あっ、美沙さんも。」

真弥は妙に納得して頷いた。


「真弥クン、私の名前は付け足しかい!

そんなことより、萩原クン、LINE、LINE」

気を良くした美沙は携帯を取り出して、萩原に迫った。

「あ、はい、是非」

萩原も慌てて携帯を胸ポケットから出して画面をスワイプした。

「萩原君、嫌だったらはっきり嫌って言わないと、めんどくさいよ、美沙のLINEは」

美智香が止めようとしたが、萩原は


「いえ、嬉しいです」

と、あくまでもポジティブな思考で美沙と接してくれていた。


「やった!

翔クンのLINE友達になれたあ!」

美沙はバカ笑いしながら、携帯を頭上に掲げた。

結局、今回の食事兼飲み会は、暴走美沙と美青年2号萩原翔の独壇場になってしまい、美智香と真弥はあまり出る幕がなく終了した。

会計は自分も出すと言う萩原を諭して、年長者の美智香と美沙が半分ずつ支払った。


店を出ると、美智香と真弥が反対方向、美沙と萩原がそれぞれ同じ方向に家がある事がわかり、美沙はまた歓喜した。

「それじゃあ佐々木ご夫妻、ごきげんよう」

美沙は二人にそう声をかけると、萩原の腕に自分の腕を絡ませて、上機嫌で去っていった。



美智香と真弥は二人の後ろ姿を呆然と見つめていたが、我に返った美智香が

「美沙も既婚者だし、別に何もないよ

いや、あるわけない」

と、言って一人で頷くのだった。
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