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super sub
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その日の夜、美智香と真弥、そして美沙の三人は自宅近くの居酒屋で晩御飯を兼ねて飲みに来ていた。
「相変わらずキレイな顔してるね、真弥君」
「いえ、そんなことは…ないです」
席に着くなり、グイグイ来る美沙にタジタジになる真弥
「ごめんね、真弥君
美沙と昼間に会おうかってなってたんだけど、せっかくだから夜に真弥君もって事になってね」
そんなやり取りを見て、すぐに美智香が助け舟を出した。
「いや、呼んでくれて嬉しいよ」
「そうなのよ。
美智香がさあ、真弥君の給料と自分のパートのお金だけでやりくりするんだって意気込んでたから、私が止めたのよ。
だって、お金持ってんのは事実なんだから、こういう事とか身だしなみの事にはちゃんと金使えってね。
じゃないとオバサン化の進行を止められなくなるしね。」
「美沙さん、すいません
僕の給料が安いために」
「そんなの仕方ないじゃん
入社一年目で沢山出す会社がどこにあんのよ
そんなのマルチ商法とか胡散臭いとこだけでしょ!
真弥君はきっと出世するわよ。
そのときに美智香を楽させてあげて。」
「はい。頑張ります」
真弥は笑顔で美沙に答えた。
郊外に引越し、希望と同じくらい不安を抱える美智香にとって、近くに住む親友の美沙の存在は心強いものがあった。
社交的で明るく、誰とでも仲良く話せる美沙は、初対面から真弥とも打ち解けられたし、このように三人で会う事も今後は多くなると、それぞれが思っていた。
「で、どうなの?
レギンドーのパートの仕事は」
「まあ、そんなに難しい事はないし、無難にこなしてるって感じかな。
あ、そうそう、そこにさあ
本社の人が指導に来てたんだけど、なんと、その人が弟の元彼氏でさあ」
「えっ、ニューハーフになったっていう?」
「そうそう。
一時は結婚するとか言ってて、親の墓参りにもついて来たこともあったのよ。」
「へえ、そんなところで再会するなんて、アンビリーバボーね」
「そうなの。」
「真弥クンはお仕事の方はどう?」
「ウチの製品も資材とか下請け工場の工賃とかが全部上がっちゃって、値段に反映させざるを得なくて
売上の落ち込みがハンパないですね」
「へえ、そうなんだ
みんな大変だねえ
ウチは子供も今年大学に入って、地方で下宿してるし
亭主もいるかどうかもわかんない状態で、寝るのも別だし、毎日生存確認するくらいしか接点がないわ。」
「えーっ、なんか寂しいなあ」
「夫婦なんてみんなそうなっていくもんよ。
アンタ達夫婦はわかんないけどねえ。」
美沙は真弥に笑って言った。
その時、カウンターに一人で座りかけた男が、三人に気付き、声をかけて来た。
しかし、その声に反応したのは真弥だけだった。
「相変わらずキレイな顔してるね、真弥君」
「いえ、そんなことは…ないです」
席に着くなり、グイグイ来る美沙にタジタジになる真弥
「ごめんね、真弥君
美沙と昼間に会おうかってなってたんだけど、せっかくだから夜に真弥君もって事になってね」
そんなやり取りを見て、すぐに美智香が助け舟を出した。
「いや、呼んでくれて嬉しいよ」
「そうなのよ。
美智香がさあ、真弥君の給料と自分のパートのお金だけでやりくりするんだって意気込んでたから、私が止めたのよ。
だって、お金持ってんのは事実なんだから、こういう事とか身だしなみの事にはちゃんと金使えってね。
じゃないとオバサン化の進行を止められなくなるしね。」
「美沙さん、すいません
僕の給料が安いために」
「そんなの仕方ないじゃん
入社一年目で沢山出す会社がどこにあんのよ
そんなのマルチ商法とか胡散臭いとこだけでしょ!
真弥君はきっと出世するわよ。
そのときに美智香を楽させてあげて。」
「はい。頑張ります」
真弥は笑顔で美沙に答えた。
郊外に引越し、希望と同じくらい不安を抱える美智香にとって、近くに住む親友の美沙の存在は心強いものがあった。
社交的で明るく、誰とでも仲良く話せる美沙は、初対面から真弥とも打ち解けられたし、このように三人で会う事も今後は多くなると、それぞれが思っていた。
「で、どうなの?
レギンドーのパートの仕事は」
「まあ、そんなに難しい事はないし、無難にこなしてるって感じかな。
あ、そうそう、そこにさあ
本社の人が指導に来てたんだけど、なんと、その人が弟の元彼氏でさあ」
「えっ、ニューハーフになったっていう?」
「そうそう。
一時は結婚するとか言ってて、親の墓参りにもついて来たこともあったのよ。」
「へえ、そんなところで再会するなんて、アンビリーバボーね」
「そうなの。」
「真弥クンはお仕事の方はどう?」
「ウチの製品も資材とか下請け工場の工賃とかが全部上がっちゃって、値段に反映させざるを得なくて
売上の落ち込みがハンパないですね」
「へえ、そうなんだ
みんな大変だねえ
ウチは子供も今年大学に入って、地方で下宿してるし
亭主もいるかどうかもわかんない状態で、寝るのも別だし、毎日生存確認するくらいしか接点がないわ。」
「えーっ、なんか寂しいなあ」
「夫婦なんてみんなそうなっていくもんよ。
アンタ達夫婦はわかんないけどねえ。」
美沙は真弥に笑って言った。
その時、カウンターに一人で座りかけた男が、三人に気付き、声をかけて来た。
しかし、その声に反応したのは真弥だけだった。
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