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Bombardment of questions

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「あの、智さんて、前にクイズ番組とかに出てた、あのトモさんなんですか?」


恵太は智に徐に質問した。


「えっ、そうそう。

でも、もう何年も前だし、憶えてないんじゃない?」

智がそう言うと、恵太は首を横に振った。


「めっちゃ憶えてます!

すごく綺麗な人だって思って見てたんですが、ママからこの人はニューハーフなんだよって聞いて、もうビックリしちゃって。
自分もその頃既にそういう風になりたいって興味が芽生えてたんで、そこから大ファンになりました。」


「それは、どうもありがとう
今はこんな太ったおばちゃんになっててごめんね」


「いえ、今も素敵ですし、すごーく美人です。
なんかドキドキしてます。」


「もう、大げさね。」


「いえ、本当です。」


ここで、由香里も話に入ってきた。


「こんな事聞いて大変失礼なんですが
じゃあ智さんは莉愛ちゃんと血の繋がりは」


「はい。あります。
戸籍上も実際にも、ワタシは莉愛の父親で、母親はこの子がまだ保育園の頃に病気で他界しました。」


「そうだったんですね」


「小学2年生のときにママと再会して、今に至るって感じです。」

莉愛は笑って言った。


その後も智への質問をする恵太は、一々感心し、さらに目を輝かせた。


だが、由香里が恵太の話を始めると、少し空気が変わった。

「この子が周りの子たちと違うって感じたのは物心ついてからの事でした。
男の子の遊びには一切興味を示さず、女の子とばかり遊んだり
最初は一時的な事で、小学校に上がるとまた変わるかなって思ったんですけどダメでした。

私も主人も無知だったので、色々調べてみたんですが、恵太の趣向や性自認は一時的なものではなくて、生まれつきのものだとわかったんです。

それからは恵太の好きに生きさせるようにしました。
女の子の服装がいいといえば、それを買い与え、お人形さんが欲しいと言えば、買ってプレゼントしました。

それでも高校までは普通に暮らして、それより先は好きにさせようと、敢えて校則の厳しい全寮制の学校に入れたのですが、馴染む事が出来ずに、皆からイジメを受けて、一学期すら続かず学校を辞めて家に戻ってきました。

その後、通信制の高校に入学させましたが、所詮は通信制なので、人に接することもなく、所謂引きこもりになってしまい、無為の日々を過ごしていました。

そんな時に、莉愛ちゃんからご連絡をいただいて、お言葉に甘えて来た次第なんです。」


智は莉愛と顔を見合わせて頷いた。
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