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アイドル
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家に帰ってきた三人は、さっきの莉愛の話を掘り下げて聞くべく、智の方から質問をした。
「莉愛、あんたがさっき言った話って本当?
心当たりがあるって。」
「あるよ」
莉愛は涼しい顔で言ってのけた。
「ママ、実はね
私の学校にいた男子で、境 恵太って男子がいたの。
でね、その子がさあ、ママと同じで、心は女子なんだけど体は男子みたいな」
「へえ、高校に?
そうなんだ。
でも、今はそういう人達もちゃんと声を上げられる世の中になってきてるから、安心よね。」
「でもさあ、結局はいじめられちゃうんだよ。
高校生とはいえ、子供だし
ホラ、子供って残酷じゃん」
「アンタもその子供じゃないの」
「私はさあ、小さい時からママと接してきたから、ニューハーフとか性同一性障害っていうの?
そういうのには寛大というか、めっちゃ理解してる方だから、そんないじめなんてバカな事はしなかったわ。」
「さすが、ワタシの子ね」
「だから、逆に私は恵太と仲良くしたし…
そのときにママの事を話してあげたのよ。」
「えーっ、ワタシの事を?
そんなの言って大丈夫なの?」
「ワタシは全然平気だよ。
で、話したらさあ、恵太のやつ目を輝かしちゃってさあ、ママに会いたいって言い出したのよ」
「えーっ」
「まあ、そんなことが入学してしばらくしてからあって…
でも、夏休み前に、結局恵太は学校を辞めてったの。
やっぱり辛いことが多かったんだと思う。」
「そうなの…可哀想に。」
「辞める時に、私のところに来て、通信制の高校にするとか、いろいろ話をしてきたから、聞いてあげてたんだけど…
やっぱり、どうしてもママに会いたいって言うのよ」
「なんでよ」
「弟子入りしたいって」
「弟子入りって、ワタシは落語家や陶芸家じゃないわよ」
「でさあ、ウチは農家だから、そんなにママに会いたいなら、働いたら?って言ったら、働きたいって言うのよ。」
「えーっ」
「どうせ、家でヒマしてるはずだし、給料も要らないって言ってるし」
「何をバカなこと言ってんのよ。
そんなの向こうの親御さんも許すわけないでしょ」
「親公認だそうよ」
「そんなあ…」
「多分その母親も一緒に付いてくると思うし、二人共雇ってしまえば?
タダで。
社会復帰とか自立させるって言えば、なんとなく聞こえもいいじゃん」
「莉愛、あんた高一のくせにしっかりしてるわね」
「ママの子だし」
「パパ、莉愛はそう言ってるけど、どう思う?」
智が、さっきから黙って聞いていた敦に話を振ると
「今は緊急事態でもあるし、向こうさんが本当にそんな条件で来てくれるなら、一度声かけするくらいはいいんじゃないかな。」
敦の言葉で方向性が決まった。
「莉愛、あんたがさっき言った話って本当?
心当たりがあるって。」
「あるよ」
莉愛は涼しい顔で言ってのけた。
「ママ、実はね
私の学校にいた男子で、境 恵太って男子がいたの。
でね、その子がさあ、ママと同じで、心は女子なんだけど体は男子みたいな」
「へえ、高校に?
そうなんだ。
でも、今はそういう人達もちゃんと声を上げられる世の中になってきてるから、安心よね。」
「でもさあ、結局はいじめられちゃうんだよ。
高校生とはいえ、子供だし
ホラ、子供って残酷じゃん」
「アンタもその子供じゃないの」
「私はさあ、小さい時からママと接してきたから、ニューハーフとか性同一性障害っていうの?
そういうのには寛大というか、めっちゃ理解してる方だから、そんないじめなんてバカな事はしなかったわ。」
「さすが、ワタシの子ね」
「だから、逆に私は恵太と仲良くしたし…
そのときにママの事を話してあげたのよ。」
「えーっ、ワタシの事を?
そんなの言って大丈夫なの?」
「ワタシは全然平気だよ。
で、話したらさあ、恵太のやつ目を輝かしちゃってさあ、ママに会いたいって言い出したのよ」
「えーっ」
「まあ、そんなことが入学してしばらくしてからあって…
でも、夏休み前に、結局恵太は学校を辞めてったの。
やっぱり辛いことが多かったんだと思う。」
「そうなの…可哀想に。」
「辞める時に、私のところに来て、通信制の高校にするとか、いろいろ話をしてきたから、聞いてあげてたんだけど…
やっぱり、どうしてもママに会いたいって言うのよ」
「なんでよ」
「弟子入りしたいって」
「弟子入りって、ワタシは落語家や陶芸家じゃないわよ」
「でさあ、ウチは農家だから、そんなにママに会いたいなら、働いたら?って言ったら、働きたいって言うのよ。」
「えーっ」
「どうせ、家でヒマしてるはずだし、給料も要らないって言ってるし」
「何をバカなこと言ってんのよ。
そんなの向こうの親御さんも許すわけないでしょ」
「親公認だそうよ」
「そんなあ…」
「多分その母親も一緒に付いてくると思うし、二人共雇ってしまえば?
タダで。
社会復帰とか自立させるって言えば、なんとなく聞こえもいいじゃん」
「莉愛、あんた高一のくせにしっかりしてるわね」
「ママの子だし」
「パパ、莉愛はそう言ってるけど、どう思う?」
智が、さっきから黙って聞いていた敦に話を振ると
「今は緊急事態でもあるし、向こうさんが本当にそんな条件で来てくれるなら、一度声かけするくらいはいいんじゃないかな。」
敦の言葉で方向性が決まった。
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