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「おばあちゃんの具合が悪くてね。
今日は病院に検査の結果を聞きに行ってるのよ、二人で。」
「えーっ、おばあちゃんが
大丈夫なの?」
「本人は風邪みたいな症状が続いてるって事だったけどね。」
「心配だね…」
「うん。
でも、ここで気を揉んでても仕方ないから、ご飯の用意して待ってよ。
もうちょっとしたら帰ってくるはずだし。」
智は台所に入っていった。
莉愛は自分の部屋に行き、私服に着替えると、自転車に乗って吉川の家に向かった。
「こんにちはー」
莉愛が吉川の家の扉を少しだけ開け、中を覗き込むと、吉川の妻の佳子が出て来た。
「あらっ、莉愛ちゃん!
いつ帰って来たの?」
「今さっきです。」
莉愛は笑って答えた。
「おーっ、莉愛!」
そうこうしていると、背後から野太い声が聞こえて来た。
仕事を終えて吉川がちょうど帰って来たところだった。
「おじさん、お久しぶりです。」
「莉愛、ちょっと見ねえ間にえらい美人になったなあ。
お母さんによく似て来たんじゃねえか?」
「美人かどうかはわかんないけど、ママにそっくりってよく言われるようになりました。」
勿論、智は莉愛の母親ではなく、父親だ。
それは、娘は父親に似るという俗説を裏付けるものだった。
「母ちゃん、ワシの財布を取ってくれ」
吉川は佳子にそう言い、財布を取りに行かせてそれを受け取ると、中から一万円札を取り出し、莉愛に手渡した。
「ほれ、これで何かお菓子でも買えよ」
「お菓子って…
そんな歳じゃないよ
でも、ありがとうございます、おじさん」
莉愛は遠慮なくその金を受け取り、ペコリと頭を下げた。
「莉愛ちゃん、おばあちゃんの具合どうなの?」
佳子が話題を光江の事に切り替えると
「私もさっき聞いたんです。
まだ病院から帰って来てなくて、検査の結果がどうだったか聞けてないんですけど。」
莉愛は少し言葉のトーンを落として答えた。
「そうなの…
大した事なければいいけどねえ」
「そろそろ帰ってくる頃だろうよ。
莉愛、お前も早よ帰ってやれ
敦とトモには車を返しに来るのは明日でええからっちゅーといてくれ」
「はい、わかりました
それじゃあ帰ります。
ありがとうございました」
莉愛は頭を下げると、自転車に乗って走り去っていった。
「莉愛ちゃんも美人に育って、これからが楽しみね」
「まあ、変な虫が寄ってこんか、トモも心配じゃろうて」
吉川は口元を緩めて言った。
今日は病院に検査の結果を聞きに行ってるのよ、二人で。」
「えーっ、おばあちゃんが
大丈夫なの?」
「本人は風邪みたいな症状が続いてるって事だったけどね。」
「心配だね…」
「うん。
でも、ここで気を揉んでても仕方ないから、ご飯の用意して待ってよ。
もうちょっとしたら帰ってくるはずだし。」
智は台所に入っていった。
莉愛は自分の部屋に行き、私服に着替えると、自転車に乗って吉川の家に向かった。
「こんにちはー」
莉愛が吉川の家の扉を少しだけ開け、中を覗き込むと、吉川の妻の佳子が出て来た。
「あらっ、莉愛ちゃん!
いつ帰って来たの?」
「今さっきです。」
莉愛は笑って答えた。
「おーっ、莉愛!」
そうこうしていると、背後から野太い声が聞こえて来た。
仕事を終えて吉川がちょうど帰って来たところだった。
「おじさん、お久しぶりです。」
「莉愛、ちょっと見ねえ間にえらい美人になったなあ。
お母さんによく似て来たんじゃねえか?」
「美人かどうかはわかんないけど、ママにそっくりってよく言われるようになりました。」
勿論、智は莉愛の母親ではなく、父親だ。
それは、娘は父親に似るという俗説を裏付けるものだった。
「母ちゃん、ワシの財布を取ってくれ」
吉川は佳子にそう言い、財布を取りに行かせてそれを受け取ると、中から一万円札を取り出し、莉愛に手渡した。
「ほれ、これで何かお菓子でも買えよ」
「お菓子って…
そんな歳じゃないよ
でも、ありがとうございます、おじさん」
莉愛は遠慮なくその金を受け取り、ペコリと頭を下げた。
「莉愛ちゃん、おばあちゃんの具合どうなの?」
佳子が話題を光江の事に切り替えると
「私もさっき聞いたんです。
まだ病院から帰って来てなくて、検査の結果がどうだったか聞けてないんですけど。」
莉愛は少し言葉のトーンを落として答えた。
「そうなの…
大した事なければいいけどねえ」
「そろそろ帰ってくる頃だろうよ。
莉愛、お前も早よ帰ってやれ
敦とトモには車を返しに来るのは明日でええからっちゅーといてくれ」
「はい、わかりました
それじゃあ帰ります。
ありがとうございました」
莉愛は頭を下げると、自転車に乗って走り去っていった。
「莉愛ちゃんも美人に育って、これからが楽しみね」
「まあ、変な虫が寄ってこんか、トモも心配じゃろうて」
吉川は口元を緩めて言った。
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