298 / 666
survival life
しおりを挟む
美智香はその日、友人の美沙に会っていた。
「へえ、こっちに越してきたんだ。
これからまた頻繁に会えるね。」
美沙は美智香の新居と目と鼻の先に住んでおり、美智香と真弥の引越しを喜んだ。
「うん。
これからよろしくお願いね。
この辺の事、何もわかんないから。」
「任しといてよ。何でも聞いて。
ところでさあ」
「何?」
「美智香、少し見ない間に、何か老けてない?
いや、老けてるわけじゃないんだけど、髪型とか服とか
この前会った時と違うじゃん。」
「あー、そうなのよ。
今、彼のお給料で生活させてもらってるから、そういう事にお金使えないのよ。
美容院もこれからは頻繁に行けないから、セットしないで後ろで括ってるの。
それと、持ってた服もここに引越すときに大半を処分してきたし、今着てる服も980円で買ったやつなんだ。」
「美智香、アンタ
前は高級衣料を扱う仕事をしていたのに、よくそんな安物着てられるね」
「うん。
前は前よ。」
「美智香、言っとくけどアンタは四十二歳なんだよ
いくらベースが良くて美人だって言っても、ただのおばさんなの。
女は三十過ぎたら、体のメンテと身だしなみは人並み以上にお金をかけなきゃ維持できないのよ。
わかってる?
そんな事続けてたら、そのうち真弥君に捨てられちゃうよ
若い旦那さんにお嫁さんにしてもらってんのにさあ」
「えーっ、そんなのダメよ!」
「アンタも貯金あるんでしょ?
それくらいのお金は使っても誰も怒らないわよ。
てか、しないとダメ」
「わかった。そこは真弥君に相談してみる」
「そうすべきよ。うん
まあ、こういう事は専業主婦の先輩としてアドバイスしてあげるから、何でも聞いてきて」
「ありがとう。
そうしたいところなんだけど、私、来週からパートで働きに出るのよ。」
「えーっ、本当にするんだ」
「うん。
駅前のスーパーがあるじゃん。」
「あー、トクヤマね」
「あそこで荷出しとかレジとかやらせてもらう事になったのよ。
小さいお店だし、気楽に働けるかなって思って。」
「でも、トクヤマの系列店は全部、レギンドーに買われたって聞いたけどなあ。」
「えっ、レギンドーに?
最大手じゃん」
「入って早々にシステム変わって大変になりそうな予感だね」
「うわあ、最悪
でも頑張るよ。」
「時給はいくら?」
「1113円だけど」
「東京都の最低賃金じゃん
まあ、しゃあないか
美智香も前の仕事のときは時給換算したらその十倍くらい貰ってたんじゃないの?」
「うーん、それくらいあったのかなあ」
「まあ、いいけど」
「でも、幸せ度は比べものにならないよ、あの時と今では。」
「ご馳走様」
美沙は爆笑した。
「へえ、こっちに越してきたんだ。
これからまた頻繁に会えるね。」
美沙は美智香の新居と目と鼻の先に住んでおり、美智香と真弥の引越しを喜んだ。
「うん。
これからよろしくお願いね。
この辺の事、何もわかんないから。」
「任しといてよ。何でも聞いて。
ところでさあ」
「何?」
「美智香、少し見ない間に、何か老けてない?
いや、老けてるわけじゃないんだけど、髪型とか服とか
この前会った時と違うじゃん。」
「あー、そうなのよ。
今、彼のお給料で生活させてもらってるから、そういう事にお金使えないのよ。
美容院もこれからは頻繁に行けないから、セットしないで後ろで括ってるの。
それと、持ってた服もここに引越すときに大半を処分してきたし、今着てる服も980円で買ったやつなんだ。」
「美智香、アンタ
前は高級衣料を扱う仕事をしていたのに、よくそんな安物着てられるね」
「うん。
前は前よ。」
「美智香、言っとくけどアンタは四十二歳なんだよ
いくらベースが良くて美人だって言っても、ただのおばさんなの。
女は三十過ぎたら、体のメンテと身だしなみは人並み以上にお金をかけなきゃ維持できないのよ。
わかってる?
そんな事続けてたら、そのうち真弥君に捨てられちゃうよ
若い旦那さんにお嫁さんにしてもらってんのにさあ」
「えーっ、そんなのダメよ!」
「アンタも貯金あるんでしょ?
それくらいのお金は使っても誰も怒らないわよ。
てか、しないとダメ」
「わかった。そこは真弥君に相談してみる」
「そうすべきよ。うん
まあ、こういう事は専業主婦の先輩としてアドバイスしてあげるから、何でも聞いてきて」
「ありがとう。
そうしたいところなんだけど、私、来週からパートで働きに出るのよ。」
「えーっ、本当にするんだ」
「うん。
駅前のスーパーがあるじゃん。」
「あー、トクヤマね」
「あそこで荷出しとかレジとかやらせてもらう事になったのよ。
小さいお店だし、気楽に働けるかなって思って。」
「でも、トクヤマの系列店は全部、レギンドーに買われたって聞いたけどなあ。」
「えっ、レギンドーに?
最大手じゃん」
「入って早々にシステム変わって大変になりそうな予感だね」
「うわあ、最悪
でも頑張るよ。」
「時給はいくら?」
「1113円だけど」
「東京都の最低賃金じゃん
まあ、しゃあないか
美智香も前の仕事のときは時給換算したらその十倍くらい貰ってたんじゃないの?」
「うーん、それくらいあったのかなあ」
「まあ、いいけど」
「でも、幸せ度は比べものにならないよ、あの時と今では。」
「ご馳走様」
美沙は爆笑した。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる