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二人の前にラブホテル街が広がっているのが見えて来た。

やはり、今日は真弥はここに来ることを決めていたのだ。

「あの、みっちゃん

いい?」

真弥の言葉に小さく頷く美智香だったが、さすがにこの歳でラブホテルに入るのも…と、少し気が引けていた。

だが、真弥にはこの選択肢しかないのもよく理解していて、これも若者と付き合った者の宿命だと、達観した面持ちで真弥を見つめた。


派手な造りの赤がベースのラブホテルの前に差し掛かると、真弥は美智香の手を握ったまま入口に向かった。

土曜の夜で、結構満室表示が多い中、唯一の空室マークが輝くホテルがここだったからだ。

美智香は急に恥ずかしくなり、そして緊張したが、全ては真弥に任せる事にした。

真弥もまたこのような場所に来たのは一度か二度で、極端に緊張していたが、自分がリードしなければならない使命感のもと、入口を抜けたところにあるパネルに直行した。

やはり、土曜日ということもあり、この不人気ホテルでさえ、空室は一室だけで、真弥は部屋選びで苦労する事なく、唯一の空き部屋のボタンを押した。

402号室

エレベーターに乗った二人は言葉もなく階数の表示される部分を見つめていたが、エレベーターが開くと、部屋に案内する矢印を頼りに402号室を目指した。

ようやく部屋番号のところが光っている402号室に到達した二人は、ササっと素早くドアを開けて部屋に入っていった。

ホッと一息

と、言ったところだったが、これからの事を考えると、真弥も美智香も、また、別の緊張感に包まれていった。

真弥は部屋で美智香を抱きしめて、キスをした。

キスを終えると、ようやく今夜の計画を美智香に打ち明けた。

「みっちゃん、独断でこんなところに連れて来てごめん。

今日、ここに泊まりたいんだけどいいかな?」


「うん。いいよ」

美智香も心の準備が出来ていたから、そこについてはオッケーした。


ただ、互いに経験不足で、ここからどうするべきか、少し悩んでいたが、美智香の方が口を開いた。

「真弥君
このままだと汚いから、お風呂かシャワーを浴びたい」

と、言った。

「あ、そうだね。

じゃあ、お風呂のお湯貯めてくるよ。」


「いいよ、私がやるから座ってて」

美智香は浴室を下見しておきたくて、自らお湯を張りに行った。

ラブホテル特有の広めの浴室だった。
タイマー付きの蛇口からお湯を出した美智香は、あらためて緊張感に包まれた。

ついに真弥の前に裸をさらけ出し、そして素顔も見せなければいけない。

いくら、自分の事を良いと言ってくれても、果たして真弥はこの現実を受け入れてくれるだろうか

美智香には不安しかなかった。
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