240 / 615
worthiness
しおりを挟む
「美智香さん、昼ごはんは僕に出させて下さい。」
ご飯を食べようと、地下を歩く二人だったが、店選びの前に真弥が先手を打った。
「あんな高いスーツ買ったんだし、私が出すわよ。
男の人の服選びって案外楽しかったしね。」
「でも、ここは僕に…
お願いします。」
真弥の強い決意に抗えず、美智香はその言葉に甘える事にした。
「あの、ここでもいいですか?」
真弥は予めシュミレーション&リサーチしていたパスタ屋を指差して言った。
「うん。」
美智香も嫌がる素振りを見せずに頷いてくれたのでホッとした様子だった。
経験の乏しい真弥は、女=パスタという謎の式を導き出し、前日夜からそこに決めていたのだ。
店に入ってからも、真弥は美智香を退屈させまいと、色んな話をして、その場を盛り上げようと頑張った。
その努力する姿がわかりやすくて、またまた美智香の胸を疼かせた。
美智香も真弥もお互いの事をもっと知りたくなり、色々な質問をしたのだが、真弥はともかく、美智香も無意識のうちに、真弥の情報を欲していた。
それから、店を移し、カフェでコーヒーを飲みながら、四時になるまで時間を潰した。
誠実で自分への愛情表現を惜しまない真弥を前に、美智香は、ついつい身の上話までしてしまっていた。
「えーっ、そんな酷い話あるんですか。」
「その辺の事はねえ…
男の人はやっぱり若い女性が好きなのよ。」
「僕はそんな事ありませんよ。」
「真弥君も、もっと歳を取ればそうなっていくよ。
今は自分自身が若いからそう自覚出来ないだけで。」
「いや、それについては断固否定します。」
「真弥君だって、その大学の時の彼女とはなんで別れたの?」
「僕ですか…
相手には失礼な話なんですけど、付き合って欲しいって言われて付き合ったものの、僕自身が彼女の事を心から好きになれなかったのかなあって。」
「へえ、そうなんだ。」
「本気で好きだって思ったのは、美智香さんが初めてなんです。
これは偽りのない気持ちです。」
真弥はさらりと告白した。
美智香の事が好きだと…
「真弥君、オバサンの事をあんまり揶揄わないでね。」
「僕は本気です。
言わないと後悔するので、まだ早いとか遅いとか関係なしに言います。
僕は美智香さんのことが好きです。
僕と交際してくれませんか」
「ちょ、ちょっと待って」
美智香は動揺して、コーヒーを持つ手が震え、それが真弥に悟られないように、カップを下に置いた。
ご飯を食べようと、地下を歩く二人だったが、店選びの前に真弥が先手を打った。
「あんな高いスーツ買ったんだし、私が出すわよ。
男の人の服選びって案外楽しかったしね。」
「でも、ここは僕に…
お願いします。」
真弥の強い決意に抗えず、美智香はその言葉に甘える事にした。
「あの、ここでもいいですか?」
真弥は予めシュミレーション&リサーチしていたパスタ屋を指差して言った。
「うん。」
美智香も嫌がる素振りを見せずに頷いてくれたのでホッとした様子だった。
経験の乏しい真弥は、女=パスタという謎の式を導き出し、前日夜からそこに決めていたのだ。
店に入ってからも、真弥は美智香を退屈させまいと、色んな話をして、その場を盛り上げようと頑張った。
その努力する姿がわかりやすくて、またまた美智香の胸を疼かせた。
美智香も真弥もお互いの事をもっと知りたくなり、色々な質問をしたのだが、真弥はともかく、美智香も無意識のうちに、真弥の情報を欲していた。
それから、店を移し、カフェでコーヒーを飲みながら、四時になるまで時間を潰した。
誠実で自分への愛情表現を惜しまない真弥を前に、美智香は、ついつい身の上話までしてしまっていた。
「えーっ、そんな酷い話あるんですか。」
「その辺の事はねえ…
男の人はやっぱり若い女性が好きなのよ。」
「僕はそんな事ありませんよ。」
「真弥君も、もっと歳を取ればそうなっていくよ。
今は自分自身が若いからそう自覚出来ないだけで。」
「いや、それについては断固否定します。」
「真弥君だって、その大学の時の彼女とはなんで別れたの?」
「僕ですか…
相手には失礼な話なんですけど、付き合って欲しいって言われて付き合ったものの、僕自身が彼女の事を心から好きになれなかったのかなあって。」
「へえ、そうなんだ。」
「本気で好きだって思ったのは、美智香さんが初めてなんです。
これは偽りのない気持ちです。」
真弥はさらりと告白した。
美智香の事が好きだと…
「真弥君、オバサンの事をあんまり揶揄わないでね。」
「僕は本気です。
言わないと後悔するので、まだ早いとか遅いとか関係なしに言います。
僕は美智香さんのことが好きです。
僕と交際してくれませんか」
「ちょ、ちょっと待って」
美智香は動揺して、コーヒーを持つ手が震え、それが真弥に悟られないように、カップを下に置いた。
1
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。
広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ!
待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの?
「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」
国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。
ヘンリエッタの再婚約
桃井すもも
恋愛
ヘンリエッタは学園の卒業を半年後に控えたある日、縁談を打診される。
それは王国の第二王子殿下からの勧めであるらしく、文には王家の金色の封蝋が見えていた。
そんな事ってあるだろうか。ヘンリエッタは第二王子殿下が無理にこの婚約を推し進めるのであれば、一層修道院にでも駆け込んで、決して言うがままにはされるまいと思った。
それもその筈、婚約話しの相手とは元の婚約者であった。
元婚約者のハロルドとは、彼が他に愛を移した事から婚約を解消した過去がある。
あれ以来、ヘンリエッタはひと粒の涙も零す事が無くなった。涙は既に枯れてしまった。
❇短編から長編へ変更致しました。
❇R15短編→後半より長編R18へ変更となりました。
❇登場人物のお名前が他作品とダダ被りしておりますが、皆様別人でございます。
❇相変わらずの100%妄想の産物です。史実とは異なっております。
❇外道要素を含みます。苦手な方はお逃げ下さい。
❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。
疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。
❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」。
❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく公開後から激しい微修正が入ります。
「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。
白紙にする約束だった婚約を破棄されました
あお
恋愛
幼い頃に王族の婚約者となり、人生を捧げされていたアマーリエは、白紙にすると約束されていた婚約が、婚姻予定の半年前になっても白紙にならないことに焦りを覚えていた。
その矢先、学園の卒業パーティで婚約者である第一王子から婚約破棄を宣言される。
破棄だの解消だの白紙だのは後の話し合いでどうにでもなる。まずは婚約がなくなることが先だと婚約破棄を了承したら、王子の浮気相手を虐めた罪で捕まりそうになるところを華麗に躱すアマーリエ。
恩を仇で返した第一王子には、自分の立場をよおく分かって貰わないといけないわね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる