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GAP

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美智香は朝早く起きて、シャワーを浴びた後、念入りに化粧をした。

髪のセットも勿論、長い時間をかけて整えた。

そして、服装選びにはさらなる時間を要した。

何十着という服を出してきては着てみて、やっぱり違う!と脱ぎ捨てた。

若い子に合う服は…

でも、若作りに見られたら恥ずかしいし…

いや、年上なんだから、もっと落ち着いたのでよくない?

それだと、親子みたい?

カジュアル感出過ぎ?


忽ち煮詰まり、また振り出しに戻ること、数えきれず


「あー、もういいや!」

最後は開き直りの精神で、一昨日着ていた服と同じようなテイストのものを選んだ。

一昨日の自分を、真弥が気に入ってくれたのだから…

「気に入ってくれた?

何を考えてるのよ、ワタシは。
そんなこと意識してどうするのよ」

美智香は一人でつっこみを入れた。

とはいえ、万が一の事を想定して、下着をお気に入りのものにしていたところが、いじらしかったが…



午前11時に真弥と待ち合わせをしていたが、美智香は真面目な性格で、どんな時でも早めに着くのが常だった。

しかし、今回はそんな自分の性格を抑え、敢えて5分前に着くように、時間を潰してから、待ち合わせ場所の金の時計前に姿を現した。

人混みの中を歩きながら、金の時計のところに視線をやると、既に真弥が着いていた。

少し大きめのシャツを羽織り、パンツも少しゆったり目の物を履いていた。
細いからそういう風な服装が好きなのだろうか…

美智香はそんな事を思いながら一歩一歩近づいていったが…

真弥を見て、只々可愛いという感想を持った。
胸がキュンとする感覚…

それと共に、自らとのギャップを感じ、少し悲しくなった


(なんで、悲しがる必要があるのよ

それって、何かを期待してるから湧いてくる感情じゃん

バカみたい…)

そう心で思い、苦笑いを浮かべた美智香だったが、ようやく真弥と目が合い、軽く手を振った。


「お待たせ」


「美智香さん、無理言って来ていただいて、ありがとうございます。」

真弥はペコリと頭を下げた。


「ホント、無理言うんだから。

一応来たけど、ホントに見るだけだからね。」


「はいっ、横にいてもらえるだけで心強いってか、幸せです。」


「どこで買う?」


「えっと、スーツ量販店に行っちゃうと、また同じ失敗しそうだから、百貨店に行こうと思います」

「あ、そうね。

じゃあ、そこ、入ってみる?」

美智香が目の前の老舗百貨店を指差すと、真弥は笑顔で頷いた。

 
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