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恋バナ

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美智香は真弥に真正面から堂々と告白された事により、気持ちが落ち着かず、考えもまとまらなくなっていた。

今日は冷却期間になるかはわからないが会わなくて済む。
しかし、明日はまた会う約束をしている。

自分にも真弥に対して気持ちがある分、会えばきっと心が大きく揺れるに違いない。



とにかく、この悩みを話を誰かに聞いて欲しかったが、誰にも言えない。
言ったところで、肯定される、否定されるにかかわらず、どう言われたとしても、納得は出来ないだろうという自覚はあったが。


(こういうときは、やっぱり…)


美智香は、唯一の肉親に電話をかけた。


智は仕事だったらしく、後からかけ直してきて、仕事が終わったら家に行くと言った。


夜11時頃、智は約束通り、美智香の家にやってきた。


「いやあ、道に迷っちゃって、この辺ぐるぐるしてしまったわ。

でも、お姉ちゃん、素敵なお部屋に住んでるのね。」

智は部屋に通されると、周囲を見回しながら言った。

「まあね。部屋の模様替えするのが趣味みたいなところがあるから」

「子供の時からその趣味変わんないねえ、お姉ちゃん。

あ、今日って泊まっていい?」


「勿論よ。
だって、もう電車無くなっちゃうもん。

コーヒーでも入れるわ。
とりあえず、そこに座ってて」

美智香はキッチンでコーヒーの用意をし、智は手を洗いに行った。


部屋に戻ってきた智は、テーブルを挟んで美智香と向かい合うように座った。


「ところで、お姉ちゃん

話って何?」


智の問いかけに、美智香は頷いたが、表情は冴えなかった。


「真弥君のことでしょ?」


「えっ、なんでわかったの…」


「わかるわよ、お姉ちゃんの顔見てたら。

少女かよ」


智はそう言って笑った。


「そう。
少女ではなくてオバサンだけど、心境的にはそういう感じ。」


「あ、告白されたんだ」


「そうなのよ」


「まあ、そうだろうね。

真弥君て、最初からお姉ちゃんを見る目が違ってたもん。」


「ウソ、最初から?
全然わからなかったけど。」


「もう、なんでわかんないのよ。」

「…」

「で、告白されたけど、好きな気持ちは自分もあるけど、歳の差の事もあって踏み切れない。

ってとこ?」


「そうそう。

すごいね、智!

全部正解よ。」


「だから、何もすごくないって。」


「どうしたらいいと思う?」


「お姉ちゃんは、真弥君の事
好きなんでしょ?」


「うん…」

美智香は顔を真っ赤にして俯いた。

「だったら受け入れなさいよ。
何も考えず、彼の胸に飛び込めばいい。」


「自分が二十代だったら迷わずにそうしてたわ。
いえ、三十過ぎくらいでもギリいけたかも。

でも四十過ぎて、そんな事出来ない。
だって、相手とは19も離れてるのよ。」

「それが何?
もし、気持ちのプロテクトを外して、彼にぶつかっていって、ダメだった時、傷つくから?」

「うん…

傷つきたくない」


美智香は今にも泣きそうな顔をして言った。
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