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贖罪
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智は、当初予定していなかった長期間の東京滞在となり、夫の敦と一時的な別居状態となったが、勿論夫婦仲が悪くなったりはしなかった。
だが、風俗業に舞い戻ったという後ろめたさもあり、智の方から敦に電話するのは少し億劫で、殆どは敦の方からかけてきた。
その日も、仕事を終えて、店所有の寮に帰ってきた智だったが、帰るなり、敦から電話がかかってきた。
「もしもし」
「もしもし、トモちゃん」
「あなた‥」
「仕事の方はどう?」
「うん。おかげさまで順調よ。」
「そうか。それは何よりだよ」
「長く留守にしちゃってごめんね。
収穫前には必ず戻ってワタシもがんばるからね」
「うん。助かるよ
母さんがさ、今体調が悪いからちょっと休ませてんだよ。」
「血圧?」
「ああ。
今週も町の病院まで車に乗せて診てもらいに行ったんだけど、今無理をさせて倒れられて寝たきりにでもなってしまったら大変だから、しばらくは僕一人で頑張るよ。」
「ごめんなさい‥こんなときに」
「いや、トモちゃんは家計を助けるために頑張ってくれてるんだし、文句言ったらバチが当たるよ。
カッコ悪い話だけど、そのお金が無ければ、ウチはもう破綻してしまうから‥」
「何を言ってるの、ワタシ達夫婦でしょ
協力し合って、支え合うのはフツーの事じゃない?
そんな事、気にしないで。」
「でも、それでキミをAVに出させたりして‥
自分自身のダメダメさにうんざりするよ。」
AVに加えて風俗の仕事も‥
智は罪悪感に苛まれたが、今は何も言えない‥
金を稼いで家計を助けるため
それは事実だ。
しかし、本音は敦では長年満足できていなかった、自身の性欲を満たすというのが第一にあり、金を稼いで持ち帰るというのは後付けの理由に過ぎなかった。
だから、せめてもの償いとして、少しでも多くの金を稼いで持ち帰る。
これだけが智に出来る唯一の贖罪であった。
だが、風俗業に舞い戻ったという後ろめたさもあり、智の方から敦に電話するのは少し億劫で、殆どは敦の方からかけてきた。
その日も、仕事を終えて、店所有の寮に帰ってきた智だったが、帰るなり、敦から電話がかかってきた。
「もしもし」
「もしもし、トモちゃん」
「あなた‥」
「仕事の方はどう?」
「うん。おかげさまで順調よ。」
「そうか。それは何よりだよ」
「長く留守にしちゃってごめんね。
収穫前には必ず戻ってワタシもがんばるからね」
「うん。助かるよ
母さんがさ、今体調が悪いからちょっと休ませてんだよ。」
「血圧?」
「ああ。
今週も町の病院まで車に乗せて診てもらいに行ったんだけど、今無理をさせて倒れられて寝たきりにでもなってしまったら大変だから、しばらくは僕一人で頑張るよ。」
「ごめんなさい‥こんなときに」
「いや、トモちゃんは家計を助けるために頑張ってくれてるんだし、文句言ったらバチが当たるよ。
カッコ悪い話だけど、そのお金が無ければ、ウチはもう破綻してしまうから‥」
「何を言ってるの、ワタシ達夫婦でしょ
協力し合って、支え合うのはフツーの事じゃない?
そんな事、気にしないで。」
「でも、それでキミをAVに出させたりして‥
自分自身のダメダメさにうんざりするよ。」
AVに加えて風俗の仕事も‥
智は罪悪感に苛まれたが、今は何も言えない‥
金を稼いで家計を助けるため
それは事実だ。
しかし、本音は敦では長年満足できていなかった、自身の性欲を満たすというのが第一にあり、金を稼いで持ち帰るというのは後付けの理由に過ぎなかった。
だから、せめてもの償いとして、少しでも多くの金を稼いで持ち帰る。
これだけが智に出来る唯一の贖罪であった。
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