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朝焼け
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智が目を開くと、そこは見知らぬ部屋だった。
隣には自分にしがみつくようにして眠っているユウの姿があった。
二人共裸で…
(またいっぱいしちゃったなあ…
ユウちゃん見てるとついついしたくなるもんね)
智はユウの唇にキスをした。
ユウも寝惚け眼でそのキスを受け入れ、舌を突っ込んできた。
そして、朝も二人で体を重ねたのだった。
名残惜しんでセックスを散々したあと、智は支度を済ませると、仕事に向かうユウと一緒に家を出て、駅の改札で別れた。
再び会う事を誓い合って。
今日一日はフリーで、智は何も予定がなかったが、ケイコに連絡すると、会いたいという事で、夜に待ち合わせをする事にした。
それまでの間、やる事もないので、前に働いていた風俗店に顔を出す事にした。
智が人気を博して沢山稼がせてもらったニューハーフヘルス「ハーフフェアリー」は依然として健在で、店に入ると、開店前の準備をする店長の有澤の姿があった。
「店長、ご無沙汰してます」
有澤に声をかけると、振り返って智の方を見つめていたが、
「あっ!トモちゃん!!」
と、すぐに笑顔になった。
「どうしたの?
田舎に移り住んでたんじゃなかったっけ」
「ええ。
今も向こうに住んでるんですけど、久しぶりにこっちに出て来て、店長の顔を見たくなっちゃって。」
「なになに、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。
俺ももう還暦過ぎちゃったよ。
こういう店って出入り激しいのに、俺とアキはずっとここにいるんた。」
「アキさんいるんですか?
ワタシをこの道に誘ってくれた方ですし…
会いたいなあ。」
「てか、今ここにいるよ。」
有澤は奥に向かって名前を呼ぶと、控え室からアキが顔を出した。
「あらっ、トモちゃんじゃないの!」
「アキさん!
お久しぶりです!」
アキも相当年齢がいっているはずだったが、牢名主のような存在としてずっと居座ってるのだろう。
「まだ開店前だし、ゆっくりしてってよ。」
有澤は控え室に智を案内し、三人で昔話に花を咲かせた。
「へえ、それで東京に」
智の身の上話を聞いて、二人は気の毒そうに見つめた。
「はい。
いい歳して恥ずかしい限りなんですけど、背に腹は変えられなくて。」
「いや、歳っていってもトモちゃん、相変わらず若くて綺麗だし、大丈夫だよ。
アキなんて、俺と歳変わんないんだぜ、ここだけの話」
「バカ言わないでよ、アンタの十個下よ、ワタシは!」
「相変わらず名コンビですねー
店長とアキさんは」
「まあ、腐れ縁てやつだね。
でもさあ、トモちゃん
お金が必要なら、またウチでしばらく働いてみない?
いや、長期間てわけじゃなくてさ、たとえば三ヶ月とか限定で。
トモちゃんならまとまったお金を稼げると思うんだけど。」
「ムリですムリです。
ワタシももう四十になりますし、あの頃から比べると10キロくらい太っちゃって体の線も崩れまくりです。」
「いや、それくらいがちょうどいいんだよ。
以前のトモちゃんは完璧すぎて、高嶺の花感が凄かったけど、今のトモちゃんは少し身近な感じがして、余計に魅力を感じるけどな。」
「でも、こっちがその気になっても、お客さんが付きませんよ。」
「いやいや、今でも常連さんからトモちゃんの事聞かれる事があるんだよ。
潜在的なファンは相当数いると、俺は見てるけどね。」
「信じられないですよ、そんな話」
「いや、ホントだってば。
さて、開店準備に行かなきゃなんないから、後はアキと旧交をあたためてよ。
どうせ、アキなんて予約入んないから、ずっとヒマしてるし。」
「一言余計なのよ、アンタは!」
アキがキレると、有澤は笑いながら部屋を出ていった。
隣には自分にしがみつくようにして眠っているユウの姿があった。
二人共裸で…
(またいっぱいしちゃったなあ…
ユウちゃん見てるとついついしたくなるもんね)
智はユウの唇にキスをした。
ユウも寝惚け眼でそのキスを受け入れ、舌を突っ込んできた。
そして、朝も二人で体を重ねたのだった。
名残惜しんでセックスを散々したあと、智は支度を済ませると、仕事に向かうユウと一緒に家を出て、駅の改札で別れた。
再び会う事を誓い合って。
今日一日はフリーで、智は何も予定がなかったが、ケイコに連絡すると、会いたいという事で、夜に待ち合わせをする事にした。
それまでの間、やる事もないので、前に働いていた風俗店に顔を出す事にした。
智が人気を博して沢山稼がせてもらったニューハーフヘルス「ハーフフェアリー」は依然として健在で、店に入ると、開店前の準備をする店長の有澤の姿があった。
「店長、ご無沙汰してます」
有澤に声をかけると、振り返って智の方を見つめていたが、
「あっ!トモちゃん!!」
と、すぐに笑顔になった。
「どうしたの?
田舎に移り住んでたんじゃなかったっけ」
「ええ。
今も向こうに住んでるんですけど、久しぶりにこっちに出て来て、店長の顔を見たくなっちゃって。」
「なになに、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。
俺ももう還暦過ぎちゃったよ。
こういう店って出入り激しいのに、俺とアキはずっとここにいるんた。」
「アキさんいるんですか?
ワタシをこの道に誘ってくれた方ですし…
会いたいなあ。」
「てか、今ここにいるよ。」
有澤は奥に向かって名前を呼ぶと、控え室からアキが顔を出した。
「あらっ、トモちゃんじゃないの!」
「アキさん!
お久しぶりです!」
アキも相当年齢がいっているはずだったが、牢名主のような存在としてずっと居座ってるのだろう。
「まだ開店前だし、ゆっくりしてってよ。」
有澤は控え室に智を案内し、三人で昔話に花を咲かせた。
「へえ、それで東京に」
智の身の上話を聞いて、二人は気の毒そうに見つめた。
「はい。
いい歳して恥ずかしい限りなんですけど、背に腹は変えられなくて。」
「いや、歳っていってもトモちゃん、相変わらず若くて綺麗だし、大丈夫だよ。
アキなんて、俺と歳変わんないんだぜ、ここだけの話」
「バカ言わないでよ、アンタの十個下よ、ワタシは!」
「相変わらず名コンビですねー
店長とアキさんは」
「まあ、腐れ縁てやつだね。
でもさあ、トモちゃん
お金が必要なら、またウチでしばらく働いてみない?
いや、長期間てわけじゃなくてさ、たとえば三ヶ月とか限定で。
トモちゃんならまとまったお金を稼げると思うんだけど。」
「ムリですムリです。
ワタシももう四十になりますし、あの頃から比べると10キロくらい太っちゃって体の線も崩れまくりです。」
「いや、それくらいがちょうどいいんだよ。
以前のトモちゃんは完璧すぎて、高嶺の花感が凄かったけど、今のトモちゃんは少し身近な感じがして、余計に魅力を感じるけどな。」
「でも、こっちがその気になっても、お客さんが付きませんよ。」
「いやいや、今でも常連さんからトモちゃんの事聞かれる事があるんだよ。
潜在的なファンは相当数いると、俺は見てるけどね。」
「信じられないですよ、そんな話」
「いや、ホントだってば。
さて、開店準備に行かなきゃなんないから、後はアキと旧交をあたためてよ。
どうせ、アキなんて予約入んないから、ずっとヒマしてるし。」
「一言余計なのよ、アンタは!」
アキがキレると、有澤は笑いながら部屋を出ていった。
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