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斡旋
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智は、新井の提案に乗りたかったが、やはり昔に比べ衰えてしまった外見で人々の目に晒されるのは耐え難く…
「新井さん、今のワタシがそんなもの出しても誰も見ませんよ。
需要なんて無いです。」
「いや、僕が保証する。
需要は絶対にある。」
「…」
「僕は自信があるから、先にギャラをお支払いしますよ。
一本試しに撮るってのはいかがですか。
ギャラはこれでどうです?」
新井は人差し指を掲げた。
「えっ、百万ですか…」
「そうです。
絶対いけますから。」
どこまでも新井は自信満々だった。
「…」
今、百万あれば当面の生活はかなり楽になる。
生活の繋ぎとして是非欲しい。
そもそも莉愛を全寮制の学校などに入れたくはなかったが、近くに高校が存在しないのだから致し方なかった。
その為、莉愛の学費は大きく膨れ上がり、伊東家の家計を圧迫した。
智の気持ちは大いに揺れたが…
「すごくありがたいお話なんですが、籍は入れていませんが、夫がいる身ですし…」
「そうでしたね。
でも、一度ご主人に相談していただけますか?
僕も諦めが悪い男だから、この偶然の再会をどうしてもモノにしたいんです。」
新井は連絡先を智に伝え、スタッフの元に戻っていった。
智は大いに悩み、そして、家に戻り夫婦だけの時間になると、思い切って敦に相談した。
話を聞いた敦は、勿論すんなり承諾する筈もなかったが…
今の伊東家の経済状況は火の車で、喉から手が出るほど欲しい金だった。
意地を取るか、実を取るか…
大いに悩むところだが、甲斐性がないのはわかりきっている事で、智に頼るしか方法はなかった。
結局、敦は承諾し
「本当にごめん
僕が不甲斐ないから…」
と、言って頭を下げた。
「やめて、あなた。
こんなワタシでも家族の役に立てるなら何でもしたいの。
だから…」
智はそれ以上言葉が続かず、涙を流して敦に抱きついた。
智は新井のオファーを正式に受けると、翌日連絡したのだった。
「新井さん、今のワタシがそんなもの出しても誰も見ませんよ。
需要なんて無いです。」
「いや、僕が保証する。
需要は絶対にある。」
「…」
「僕は自信があるから、先にギャラをお支払いしますよ。
一本試しに撮るってのはいかがですか。
ギャラはこれでどうです?」
新井は人差し指を掲げた。
「えっ、百万ですか…」
「そうです。
絶対いけますから。」
どこまでも新井は自信満々だった。
「…」
今、百万あれば当面の生活はかなり楽になる。
生活の繋ぎとして是非欲しい。
そもそも莉愛を全寮制の学校などに入れたくはなかったが、近くに高校が存在しないのだから致し方なかった。
その為、莉愛の学費は大きく膨れ上がり、伊東家の家計を圧迫した。
智の気持ちは大いに揺れたが…
「すごくありがたいお話なんですが、籍は入れていませんが、夫がいる身ですし…」
「そうでしたね。
でも、一度ご主人に相談していただけますか?
僕も諦めが悪い男だから、この偶然の再会をどうしてもモノにしたいんです。」
新井は連絡先を智に伝え、スタッフの元に戻っていった。
智は大いに悩み、そして、家に戻り夫婦だけの時間になると、思い切って敦に相談した。
話を聞いた敦は、勿論すんなり承諾する筈もなかったが…
今の伊東家の経済状況は火の車で、喉から手が出るほど欲しい金だった。
意地を取るか、実を取るか…
大いに悩むところだが、甲斐性がないのはわかりきっている事で、智に頼るしか方法はなかった。
結局、敦は承諾し
「本当にごめん
僕が不甲斐ないから…」
と、言って頭を下げた。
「やめて、あなた。
こんなワタシでも家族の役に立てるなら何でもしたいの。
だから…」
智はそれ以上言葉が続かず、涙を流して敦に抱きついた。
智は新井のオファーを正式に受けると、翌日連絡したのだった。
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