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別れ

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智の芸能活動が忙しくなると、急に時間の流れが早く感じられるようになり、あっという間に和俊の渡仏の日が来てしまった。

智は見送る為に空港まで同行した。

和俊は空港でチェックインを済ませ、スーツケースを預け、智の元へ戻ってきた。

「あー、12時間の長旅だあ。
退屈だなあ。」

「カズ‥」

「ん?」

「やっぱり寂しすぎるよ
カズがいない生活なんて考えられないし」

「2年の辛抱だよ。
向こうで頑張って、給料上げてもらえたらトモとの生活も楽になるし、一石二鳥さ。」

「ワタシ、少ししたら
休み取って必ず会いに行くから」

「うん。パリの事めっちゃ詳しくなって案内出来るようにしとくよ。」

和俊がそう言うと、智は涙を浮かべて抱きついた。

そして、人目も憚らず、熱い抱擁と口づけを交わした。




「時差はこの時期だと7時間かあ
こっちが夜の10時だと、向こうは午後3時なんだね、時間が合わないよね。」

いよいよ、手荷物検査をして別れる寸前となり、抱きついたまま話をする智に、和俊は背中をポンポンと優しく叩き

「俺は全然構わないから、いつでも電話してきてよ」

と、言った。

「カズ、体には気をつけてね。
何かあったらすぐに連絡するんだよ。」 

「うん。わかってる

お互い、頑張れるだけ頑張ろう。
トモがまた輝ける生活に戻れて俺も嬉しいし、負けないようにしなくちゃね。」

「うん。幸せになるための試練だと思って我慢するわ。」

「じゃあ、そろそろ行くわ。」

和俊はそう言うと、また智にキスをし、それが終わると、思いを断ち切るように、勢いよく歩き出した。

智も、もう後ろから声をかける事はしなかった。

ただ、和俊の背中を見つめるだけで‥
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