129 / 615
伴侶
しおりを挟む
「どうだろう‥
俺と一緒にフランスに行ってくれないかな?」
「そんなの無理に決まってるじゃん。」
「こうなったから言うわけじゃないんだけど、俺と結婚してほしい。」
「なんちゅー雑なプロポーズするねん!」
「前からずっと考えてた事だよ。」
「‥」
「向こうに行ったら、いつ帰って来られるかわかんないし、トモと離れてしまうなんて、俺の選択肢にはない。」
「だからって、結婚なんてムリに決まってんじゃん。」
「なんで?」
「ワタシ、戸籍が男のままだし、結婚するなんて不可能だよ。」
「戸籍上は今はムリかもしれないけど、それはゆくゆく考えればいいんじゃないかな。」
「もし、そうだとして、たとえばフランスにワタシが一緒に行っても、勿論籍を入れられてないんだから、家族手当も出ないし、ワタシなんて、お荷物になるだけだよ。」
「トモ、それはよくわかってるんだけど、実は今回、この話をもらった時に、ある考えが浮かんだんだ。」
「?」
「トモ、お前、前に商社にいるとき、経産省のプロジェクトを手伝った事あるって言ってたよね、パリで。
せっかくのトモのスキルを活かさないこの状況がホントにもったいないって、ずっと思ってたんだ。
トモは俺より語学力も長けてるし、向こうで、またバリバリやってみればいいんじゃないかな。」
「そういう時代の事は、もう全部捨てたのよ。
ニューハーフとして生きるって決めた時から。」
「後悔はないの?」
「勿論、後悔が無いと言ったらウソになるけど、実際ニューハーフとして就職活動をしてみて、自分の予想以上に厳しいっていうのもわかったし‥
だから、もう昔のような仕事に就くのはムリだって、すっかり諦めたわ。」
「俺は諦めるべきじゃないと思うし、ひょっとしたら日本にいるより、向こうで勝負かけた方が上手くいくかもしれないんじゃないかな。」
「‥」
「トモ、正式に辞令が出たら、俺は一度実家に戻るつもりなんだ。
そのとき、お前を連れて一緒に帰る。
そこで、両親に紹介したいと思ってる。」
「どんどん進めないでよ、勝手に。」
「俺の気持ちは最初から変わってないよ。
少し時計の針が早く進んじゃっただけだよ。」
智は、いきなり答えを出さなければいけない状況となり、少しパニックになった。
「もう、そんなのわかんないよ、ワタシ、どうすればいいのよ!」
「トモは俺を信じて付いてきて欲しい。
ただそれだけ‥」
どこまでも、真っ直ぐな瞳で自分を見つめる和俊に、智は背中を押されるような錯覚に陥った。
俺と一緒にフランスに行ってくれないかな?」
「そんなの無理に決まってるじゃん。」
「こうなったから言うわけじゃないんだけど、俺と結婚してほしい。」
「なんちゅー雑なプロポーズするねん!」
「前からずっと考えてた事だよ。」
「‥」
「向こうに行ったら、いつ帰って来られるかわかんないし、トモと離れてしまうなんて、俺の選択肢にはない。」
「だからって、結婚なんてムリに決まってんじゃん。」
「なんで?」
「ワタシ、戸籍が男のままだし、結婚するなんて不可能だよ。」
「戸籍上は今はムリかもしれないけど、それはゆくゆく考えればいいんじゃないかな。」
「もし、そうだとして、たとえばフランスにワタシが一緒に行っても、勿論籍を入れられてないんだから、家族手当も出ないし、ワタシなんて、お荷物になるだけだよ。」
「トモ、それはよくわかってるんだけど、実は今回、この話をもらった時に、ある考えが浮かんだんだ。」
「?」
「トモ、お前、前に商社にいるとき、経産省のプロジェクトを手伝った事あるって言ってたよね、パリで。
せっかくのトモのスキルを活かさないこの状況がホントにもったいないって、ずっと思ってたんだ。
トモは俺より語学力も長けてるし、向こうで、またバリバリやってみればいいんじゃないかな。」
「そういう時代の事は、もう全部捨てたのよ。
ニューハーフとして生きるって決めた時から。」
「後悔はないの?」
「勿論、後悔が無いと言ったらウソになるけど、実際ニューハーフとして就職活動をしてみて、自分の予想以上に厳しいっていうのもわかったし‥
だから、もう昔のような仕事に就くのはムリだって、すっかり諦めたわ。」
「俺は諦めるべきじゃないと思うし、ひょっとしたら日本にいるより、向こうで勝負かけた方が上手くいくかもしれないんじゃないかな。」
「‥」
「トモ、正式に辞令が出たら、俺は一度実家に戻るつもりなんだ。
そのとき、お前を連れて一緒に帰る。
そこで、両親に紹介したいと思ってる。」
「どんどん進めないでよ、勝手に。」
「俺の気持ちは最初から変わってないよ。
少し時計の針が早く進んじゃっただけだよ。」
智は、いきなり答えを出さなければいけない状況となり、少しパニックになった。
「もう、そんなのわかんないよ、ワタシ、どうすればいいのよ!」
「トモは俺を信じて付いてきて欲しい。
ただそれだけ‥」
どこまでも、真っ直ぐな瞳で自分を見つめる和俊に、智は背中を押されるような錯覚に陥った。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる