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心機一転
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和俊の勤務先が大手のスーパーに吸収合併された事で、中断していた不動産巡りだったが、あれから二ヶ月近く経ち、少し落ちついてきた。
その日は、家探し再開の約束をしており、時間通りに和俊がやってきた。
「いらっしゃい、もう用意できてるよ。」
バッチリメイクと洗練されたファッションで、いつも通り美しい智が、和俊の目の前に現れた。
「相変わらずの美人だ。見惚れてしまうわ」
和俊は嬉しそうに笑って言った。
しかし、なんとなくいつもに比べて元気がない事に気付いた智は、和俊の顔を見つめ
「カズ、どうしたの?」
と、心配そうに尋ねた。
「えっ、俺、なんかおかしい?」
「うん、おかしい。」
「‥さすがトモだね。
隠し事も出来んわ。」
「アンタ、わかりやすいのよ。」
智が言い放つと、和俊は頭を掻いた。
「先月からレギンドーに転籍したって話してたよね。」
「うん。全員残れたんでしょ?」
「でも、全員が同じ部署に残れたわけじゃなくて、ウチのスーパーにも本社から店長をはじめとして、何人も来たし、逆にウチの方も他の部署へ異動した人もいるんだ。」
「まさか、カズも?」
「うん。それが、俺、異動になっちゃったんだ。」
「マジ?どこの店?」
「いやあ、それが、店じゃないんだよ。」
「えーっ、お店じゃないの?」
「吸収合併されてすぐに、本社で面談があったんだよ。
別に対した話をした覚えもないんだけど‥
今日内示が出て、海外事業部に‥」
「えーっ、すごいじゃん!」
「そうでもないよ。たまたま、俺が敬大卒だったって事と、英語とフランス語が少しばかり出来るのを過大評価されちゃったみたいで。」
「やったじゃん!
ワタシ、カズにそういう分野でバリバリやって欲しいなって思ってたんだ。
だって、カズがどれだけ優秀な人かっていうの、ワタシが一番わかってるもん。」
「それが、まだ正式には言われたわけじゃないんだけど、レギンドーがフランスで店舗を出す計画があって、どうやらそこに行かされる‥
のは間違いない。」
「えーっ、フランスかあ、パリ?
最高じゃん。」
「俺、心の準備も出来てなかったし、いきなりフランスだのパリだの言われても‥
そんなとこ行くくらいなら、いっそ辞めようかなって。」
「何、言ってんのよ。
これはチャンスなのよ!願ってもない話じゃないの。」
「少し前なら、俺もすんなり受けてたかもしれない。
でも、今の俺が一番大切なのは、トモ‥
お前との時間なんだ。」
「ちょっとねえ、そんな事で悩んでんじゃないわよ。
辞めるって選択肢なんてあり得ないわ。」
「たしかに、自分を試したいっていう気持ちは持ってるのは事実だけど‥
で、考えてたんだけど‥
トモ、俺と一緒に来てくれないか、フランススに。」
「えっ」
智は、和俊の言葉に耳を疑った。
その日は、家探し再開の約束をしており、時間通りに和俊がやってきた。
「いらっしゃい、もう用意できてるよ。」
バッチリメイクと洗練されたファッションで、いつも通り美しい智が、和俊の目の前に現れた。
「相変わらずの美人だ。見惚れてしまうわ」
和俊は嬉しそうに笑って言った。
しかし、なんとなくいつもに比べて元気がない事に気付いた智は、和俊の顔を見つめ
「カズ、どうしたの?」
と、心配そうに尋ねた。
「えっ、俺、なんかおかしい?」
「うん、おかしい。」
「‥さすがトモだね。
隠し事も出来んわ。」
「アンタ、わかりやすいのよ。」
智が言い放つと、和俊は頭を掻いた。
「先月からレギンドーに転籍したって話してたよね。」
「うん。全員残れたんでしょ?」
「でも、全員が同じ部署に残れたわけじゃなくて、ウチのスーパーにも本社から店長をはじめとして、何人も来たし、逆にウチの方も他の部署へ異動した人もいるんだ。」
「まさか、カズも?」
「うん。それが、俺、異動になっちゃったんだ。」
「マジ?どこの店?」
「いやあ、それが、店じゃないんだよ。」
「えーっ、お店じゃないの?」
「吸収合併されてすぐに、本社で面談があったんだよ。
別に対した話をした覚えもないんだけど‥
今日内示が出て、海外事業部に‥」
「えーっ、すごいじゃん!」
「そうでもないよ。たまたま、俺が敬大卒だったって事と、英語とフランス語が少しばかり出来るのを過大評価されちゃったみたいで。」
「やったじゃん!
ワタシ、カズにそういう分野でバリバリやって欲しいなって思ってたんだ。
だって、カズがどれだけ優秀な人かっていうの、ワタシが一番わかってるもん。」
「それが、まだ正式には言われたわけじゃないんだけど、レギンドーがフランスで店舗を出す計画があって、どうやらそこに行かされる‥
のは間違いない。」
「えーっ、フランスかあ、パリ?
最高じゃん。」
「俺、心の準備も出来てなかったし、いきなりフランスだのパリだの言われても‥
そんなとこ行くくらいなら、いっそ辞めようかなって。」
「何、言ってんのよ。
これはチャンスなのよ!願ってもない話じゃないの。」
「少し前なら、俺もすんなり受けてたかもしれない。
でも、今の俺が一番大切なのは、トモ‥
お前との時間なんだ。」
「ちょっとねえ、そんな事で悩んでんじゃないわよ。
辞めるって選択肢なんてあり得ないわ。」
「たしかに、自分を試したいっていう気持ちは持ってるのは事実だけど‥
で、考えてたんだけど‥
トモ、俺と一緒に来てくれないか、フランススに。」
「えっ」
智は、和俊の言葉に耳を疑った。
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