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残花
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朝からウォーキングに精を出す智だったが、かなりの確率ですれ違う人からの視線を浴びた。
それは、あまりにも太っている女が
ダブダブのジャージ姿で汗をかいて歩く姿が異様に見えたからだ。
一年前は美人が故に、二度見されていたのに、容姿がここまで変わり果てれば、当然こうなる。
しかし、今の智には他人の目など全く気にならなかった。
ただ、ひたすら体を動かして、少しでも以前の状態に近づける。
この一年で激太りし、一カ月に5キロずつ太っていったが、この逆の過程を同じスピードでクリアしていくのは多分無理であろう。
少なくとも朝から牛丼の特盛やハンバーガー等を食べるような真似はもうしない為、最初のうちは良いペースで体重が落ちてくるだろうが、その後が多分厳しくなる。
智は、頭の中で未来予想図を描き、汗だくになりながら、ウォーキングを続けた。
家に戻っても、また一日のスケジュール表を作成し、その通りの生活を遵守。
数日が経過すると、順調にノルマを消化できるようになってきた。
そんなある日、家でストレッチをする智の元に一本の電話がかかってきた。
ケイコが心配してくれてかけてくれたのかと、電話を取ると、画面には新井と出ていた。
智をAVの世界に誘った張本人だ。
「もしもし」
「あ、トモちゃん!
ご無沙汰してます」
冒頭からテンションが高い。
「どうしたんですか、急に?」
「いやあ、トモちゃん元気にしてるかなって」
「ワタシは元気ですよ。」
「それは、よかった。」
「新井さんもお元気そうでなによりです。」
「まあ、元気は元気なんだけど、仕事的にはイマイチなんだよね。
トモちゃんのシリーズ、今でも人気あるんだよ、もはや伝説だよね。
それだけ、以後の作品でヒットが出てないという事が言えるんだけど。」
「大変ですね」
「それで、トモちゃん。
ダメ元で聞くんだけど、もう一回AVに出て欲しいんだよ。
どうだろうか。」
「えっ、ワタシですか。
うーん、もうそんな気は‥」
「だよね、ごめんごめん、変なこと聞いちゃって」
「新井さんにはお世話になったんで、ワタシでお役に立てる事があれば、お手伝いしたいんですけど、ちょっと出来ない理由がありまして。」
「えっ、そうなの?」
「新井さん、今日お時間ありますか?」
「あるよ、あるある。」
「ちゃんとお会いして理由をご説明します。」
「そこまで真剣に捉えてもらわなくても大丈夫だよ。
でも、久しぶりにトモちゃんに会いたいし、待ち合わせしてもらおうかな。」
トモは、新井に自分の現状を見てもらう事で、固辞する理由に理解をしてもらおうと思った。
他方で、自分を知る人間に、この醜い姿を見てもらって、強い戒めにしたいという思いもあったのだが‥
それは、あまりにも太っている女が
ダブダブのジャージ姿で汗をかいて歩く姿が異様に見えたからだ。
一年前は美人が故に、二度見されていたのに、容姿がここまで変わり果てれば、当然こうなる。
しかし、今の智には他人の目など全く気にならなかった。
ただ、ひたすら体を動かして、少しでも以前の状態に近づける。
この一年で激太りし、一カ月に5キロずつ太っていったが、この逆の過程を同じスピードでクリアしていくのは多分無理であろう。
少なくとも朝から牛丼の特盛やハンバーガー等を食べるような真似はもうしない為、最初のうちは良いペースで体重が落ちてくるだろうが、その後が多分厳しくなる。
智は、頭の中で未来予想図を描き、汗だくになりながら、ウォーキングを続けた。
家に戻っても、また一日のスケジュール表を作成し、その通りの生活を遵守。
数日が経過すると、順調にノルマを消化できるようになってきた。
そんなある日、家でストレッチをする智の元に一本の電話がかかってきた。
ケイコが心配してくれてかけてくれたのかと、電話を取ると、画面には新井と出ていた。
智をAVの世界に誘った張本人だ。
「もしもし」
「あ、トモちゃん!
ご無沙汰してます」
冒頭からテンションが高い。
「どうしたんですか、急に?」
「いやあ、トモちゃん元気にしてるかなって」
「ワタシは元気ですよ。」
「それは、よかった。」
「新井さんもお元気そうでなによりです。」
「まあ、元気は元気なんだけど、仕事的にはイマイチなんだよね。
トモちゃんのシリーズ、今でも人気あるんだよ、もはや伝説だよね。
それだけ、以後の作品でヒットが出てないという事が言えるんだけど。」
「大変ですね」
「それで、トモちゃん。
ダメ元で聞くんだけど、もう一回AVに出て欲しいんだよ。
どうだろうか。」
「えっ、ワタシですか。
うーん、もうそんな気は‥」
「だよね、ごめんごめん、変なこと聞いちゃって」
「新井さんにはお世話になったんで、ワタシでお役に立てる事があれば、お手伝いしたいんですけど、ちょっと出来ない理由がありまして。」
「えっ、そうなの?」
「新井さん、今日お時間ありますか?」
「あるよ、あるある。」
「ちゃんとお会いして理由をご説明します。」
「そこまで真剣に捉えてもらわなくても大丈夫だよ。
でも、久しぶりにトモちゃんに会いたいし、待ち合わせしてもらおうかな。」
トモは、新井に自分の現状を見てもらう事で、固辞する理由に理解をしてもらおうと思った。
他方で、自分を知る人間に、この醜い姿を見てもらって、強い戒めにしたいという思いもあったのだが‥
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