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新たなる日々

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奈々の葬儀は家族葬という形で行われ、智は喪主としてその役割を気丈に果たした。

滞りなく、全てを終え、智は一息つける‥状況には依然としてならなかった。

何故なら、前々から話し合いが持たれた莉愛の事を、俊之があらためて話を持ち出したからだ。

智の家にやってきた俊之と恵理は、自らの主張を繰り返した。

つまり、莉愛を引取り、自分たちで育てるという事を。

「莉愛は奈々の忘形見だ。
残された者には莉愛を幸せにしてやる義務がある。
智君、君がまともな人間なら、我々の出る幕はないと思っていた。
しかし、今の君に莉愛を任せる事など、到底出来ない。」

「待ってください。
あなた方から見れば私はまともではないかもしれません。
しかし、莉愛に対して、深い愛情をもって育てていますし、奈々とも約束したんです。
私が立派に育てると。だから、私には莉愛と離れるという選択肢はありません。」

このように話し合いは交わる事はなく、お互いの主張をぶつけるばかりであった。

「君がそのように言うのも、ある程度想定していた。もうこんな話を続けても無駄なようだ。」

「‥」

「君の意思などこの際どうでもいい。
我々は法的措置に出るつもりだ。後は弁護士に任せようと思う。」

俊之は厳しい口調でそう言うと、恵理と共に帰っていった。

言葉通り、その後、俊之らが直接智と話す事は無くなり、自宅に来る事もなくなった。

智は不安に包まれながら、日々の生活を送るのだった。
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