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智の頑張りと両親の献身的な行動により、奈々は自身の闘病生活に専念できた。
そして、多額の金がかかる先進医療での治療を受け、症状としては一進一退の状況が続いていたが、智は目の前の仕事を淡々とこなすしかなかった。
その日も開店の14時から店に入り、予約の客を出迎えた。
エレベーターの前で、キャミソール姿でスタンバイすると、トップ嬢として完璧なスマイルでエレベーターから出てくる客を‥
出迎えるはずだったが、笑顔を忘れて、思わず表情が固まってしまった。
「こんにちは。」
客の方は笑顔で手を挙げた。
智が笑顔を失い、固まってしまったのは無理もない事だった。
その客が桐山だったからだ。
相変わらず色黒でスポーツマンタイプのやり手な感じを醸し出す、その風貌。
自分を罠に嵌めて、危うく廃人にされそうになった憎き男ではあるが、ここでは予約をして金を支払った客である。
拒絶する事は出来ない。
智は桐山をプレイルームへ案内した。
「久しぶりだね、トモちゃん。」
「‥」
「いきなり来てびっくりした?」
「てっきり服役してるもんだと思ってましたけど。」
智は語気を強めて言った。
「ああ、初犯だったからねえ。
君の冤罪の件とか、ちょっと心象の悪い部分はあったんだけど、なんとか執行猶予が付いたよ。」
「悪運が強いんですね。」
「ところで、奈々は元気かな?」
「桐山さん、これは嘘でも何でもなく、そしてあなたに言うべき話でもありません。
しかし、また変な気を起こされても困りますのでこの際だからはっきり申し上げます。
奈々は今病気で入院しています。」
「えっ、それは本当か!」
「はい。予断を許さない状況がずっと続いています。
だから、もう‥」
「ああ、わかってる。
もう奈々とヨリを戻そうなんて思っちゃいないよ。
今日ここへ来たのは、純粋にトモちゃんと楽しむためさ。」
「本当ですね?」
「本当だよ。君がここで働いているのをネットで知ってね
あの時の事が忘れられず、予約入れて会いに来たってわけさ。
それ以上でもそれ以下でもないよ。」
「わかりました。
そういうことでしたら、ちゃんとお相手させていただきます。」
智は桐山の矛先が奈々に向いていない事を確認出来た事で、少し安心し、サービスに徹する事を決めたのだった。
そして、多額の金がかかる先進医療での治療を受け、症状としては一進一退の状況が続いていたが、智は目の前の仕事を淡々とこなすしかなかった。
その日も開店の14時から店に入り、予約の客を出迎えた。
エレベーターの前で、キャミソール姿でスタンバイすると、トップ嬢として完璧なスマイルでエレベーターから出てくる客を‥
出迎えるはずだったが、笑顔を忘れて、思わず表情が固まってしまった。
「こんにちは。」
客の方は笑顔で手を挙げた。
智が笑顔を失い、固まってしまったのは無理もない事だった。
その客が桐山だったからだ。
相変わらず色黒でスポーツマンタイプのやり手な感じを醸し出す、その風貌。
自分を罠に嵌めて、危うく廃人にされそうになった憎き男ではあるが、ここでは予約をして金を支払った客である。
拒絶する事は出来ない。
智は桐山をプレイルームへ案内した。
「久しぶりだね、トモちゃん。」
「‥」
「いきなり来てびっくりした?」
「てっきり服役してるもんだと思ってましたけど。」
智は語気を強めて言った。
「ああ、初犯だったからねえ。
君の冤罪の件とか、ちょっと心象の悪い部分はあったんだけど、なんとか執行猶予が付いたよ。」
「悪運が強いんですね。」
「ところで、奈々は元気かな?」
「桐山さん、これは嘘でも何でもなく、そしてあなたに言うべき話でもありません。
しかし、また変な気を起こされても困りますのでこの際だからはっきり申し上げます。
奈々は今病気で入院しています。」
「えっ、それは本当か!」
「はい。予断を許さない状況がずっと続いています。
だから、もう‥」
「ああ、わかってる。
もう奈々とヨリを戻そうなんて思っちゃいないよ。
今日ここへ来たのは、純粋にトモちゃんと楽しむためさ。」
「本当ですね?」
「本当だよ。君がここで働いているのをネットで知ってね
あの時の事が忘れられず、予約入れて会いに来たってわけさ。
それ以上でもそれ以下でもないよ。」
「わかりました。
そういうことでしたら、ちゃんとお相手させていただきます。」
智は桐山の矛先が奈々に向いていない事を確認出来た事で、少し安心し、サービスに徹する事を決めたのだった。
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