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痛撃
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「課長、来週金曜に小田鞄材の小田社長が来社されたいって連絡がありました。」
外出先から帰ってきたら貴島に、智はメモを手渡しながら、言った。
「金曜?来週?
えっと‥
だめじゃん。社員旅行じゃん、その日」
貴島は机に置いているカレンダーを見ながら答えた。
「社員旅行?」
「そう。社員旅行。」
「そんなのがあるんですか?」
「あ、聞いてなかったっけ?
毎年この時期に社員旅行に行ってんだよね。
大阪支店も一緒だから、行き先は東日本と西日本で一年ごとに交互に決めてんだよ。
今年は西日本の番で、四国。」
「四国‥」
「そう、道後温泉。
俺らは飛行機で、大阪支店の連中は新幹線と在来線特急乗り継ぎで現地集合。」
「道後‥温泉‥」
これは検診のときより、智にとって大きな問題であった。
早く皆に打ち解けたいので、参加したい気持ちは強いが、温泉となると
さすがに‥
家に帰り、奈々に話をすると
「風邪気味とか言って、大浴場に行くのは回避するしかないんじゃない?」
「やっぱりそれしかないか」
「部屋にもお風呂付いてるだろうし、温泉引いてるかもわかんないから、それで我慢するしかないよ。」
「そうだね。プライベートで行ったとしても、ワタシ、あ、いや、俺
おっぱいあって下も付いてる状態だから、男湯も女湯も入れないだろうしね。」
「家族旅行のときはお部屋に温泉があるところに行こうよ、高いけど。」
「うん。」
智は、頷いたが、この社員旅行がまた、智の人生を変えてしまう事になるとは、この時点では夢にも思っていなかった。
外出先から帰ってきたら貴島に、智はメモを手渡しながら、言った。
「金曜?来週?
えっと‥
だめじゃん。社員旅行じゃん、その日」
貴島は机に置いているカレンダーを見ながら答えた。
「社員旅行?」
「そう。社員旅行。」
「そんなのがあるんですか?」
「あ、聞いてなかったっけ?
毎年この時期に社員旅行に行ってんだよね。
大阪支店も一緒だから、行き先は東日本と西日本で一年ごとに交互に決めてんだよ。
今年は西日本の番で、四国。」
「四国‥」
「そう、道後温泉。
俺らは飛行機で、大阪支店の連中は新幹線と在来線特急乗り継ぎで現地集合。」
「道後‥温泉‥」
これは検診のときより、智にとって大きな問題であった。
早く皆に打ち解けたいので、参加したい気持ちは強いが、温泉となると
さすがに‥
家に帰り、奈々に話をすると
「風邪気味とか言って、大浴場に行くのは回避するしかないんじゃない?」
「やっぱりそれしかないか」
「部屋にもお風呂付いてるだろうし、温泉引いてるかもわかんないから、それで我慢するしかないよ。」
「そうだね。プライベートで行ったとしても、ワタシ、あ、いや、俺
おっぱいあって下も付いてる状態だから、男湯も女湯も入れないだろうしね。」
「家族旅行のときはお部屋に温泉があるところに行こうよ、高いけど。」
「うん。」
智は、頷いたが、この社員旅行がまた、智の人生を変えてしまう事になるとは、この時点では夢にも思っていなかった。
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