カジュアルセックスチェンジ

脱出

奈々の危機的状況を知った智の行動は素早かった。
駅前のレンタカー屋でワゴン車を借り、奈々と莉愛を乗せて彼女達の住むマンションに向かった。
途中、ホームセンターで購入した台車に段ボール箱を載せて部屋に入ると、二人の衣類を中心に積み込んだ。

「その人、何時頃に帰ってくる？」


「いつも、夜の7時くらい」


「わかった。今、午後2時過ぎだから
まだ少しは余裕があるけど、何があるかわからないから急ごう。」

「うん。ありがとう」

「それと、大きな荷物は悪いけど置いていくよ。」

「大丈夫、服とか最低限のものがあればいいから。」

すっかり女性化してしまった智だが、根っこの部分は男のままであり、奈々はその姿を頼もしく思った。

だが、智は、女性ホルモンですっかり筋力が落ち、重い荷物が運べなくなってしまったことに少し落胆していた。

午後4時には荷物の積み込みを完了し、三人は急いでその場を後にした。


「ごめんね、智。
変な事に巻き込んじゃって。」

「気にしないで。こんな事でも、奈々の役に立てて嬉しいよ。」

帰りに量販店に立ち寄り、莉愛用の布団や二人の生活に必要なものを購入し、自宅に戻った。

荷物を部屋に運び入れ、レンタカーを返却し、ようやく脱出作戦が完了した。