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地元から戻ってきて程なくして、遂に智は会社を辞めた。
三年半の在籍であったが、その間離婚もし、女装を始め、すっかり身なりが変わってしまった。
送別会をすると言ってくれた先輩の三崎に気持ちだけ有り難く受け取ると固辞し、そそくさと家路についた智はスーツを脱ぎ捨て、ブラを着用し、ブラウスを着てスカートに足を通した。そして、念入りに化粧をし、これから生きていく姿になった。
もう昼間も遠慮する事なく女性の姿で暮らせる。
智は嬉しさに包まれた。
日本で一番優秀な大学を出て、誰もが羨む一流企業に勤めていたのに、それをあっさり捨ててニューハーフとして生きる事を選び、
女性ホルモンという健康を阻害し寿命を縮めるものにまで手を出してしまった。
普通であれば、智のように聡明な人間が選択する道ではない。
だが、これは智がこれからの人生を歩んでいく上で全て必要なステップであり、彼女自身、今が一番幸せだと心から思えるのであった。
会社を辞めて数ヶ月間は女子力アップに全てを費やし、内面も含めて女らしさというものを極めていったが、ずっとこんな生活も続けていられない。
智と姉の美智香は、父母と祖父母の多額の遺産を相続しており、奈々との結婚生活を送ったこの一戸建ての家もそのお金で購入したものである。
だが、そんなものに頼っていてはいつの日か崩壊してしまう。
智は先ず、自宅を売却し、郊外の賃貸マンションに引越した。
2LDKと元住んでいたところとは比べるべくもなかったが、1人暮らしには十分な広さである。
引越しが落ち着くと、智は前々から考えていたタマ抜き、いわゆる去勢手術を受けた。
去勢手術とはその名の通り、睾丸の除去手術の事であり、造膣を行う性転換、いや性適合手術に比べ、それほど難しいものではなかった。
男性ホルモンの大元である精巣を取る事によって男性ホルモンの分泌を限りなく無くす事を目的とするのだが、智は長年の女性ホルモンの投与により、既に正常な男性ホルモンの分泌を体内で出来ておらず、この手術自体に意味があるのかどうかは人によって様々である。
意味がないという人もいれば、女性ホルモンの投与する量や回数を減らせるから有効であると言う人もいる。
女性ホルモン剤の投与はいわゆる不可逆の行為であり、一度手を出すともう元には戻らない。
個人差はあるが、半年ほどで生殖能力は破壊され、内分泌も自力では正常に保てず、ホルモン投与を一生続けなければならない。
智はもう長期間女性ホルモンを体に入れているので、とっくに元に戻れない段階にきている。それでも、睾丸が無くなるということは、ある意味万が一の可能性すら捨てたという象徴的な事と捉えて行ったのである。
手術を終え、しばらく自宅で静養した智は
その日、あらためて自分の裸を鏡で見た。
透き通るような白い肌におおきく膨らんだ二つの乳房。
股間には睾丸を失って竿だけになったペニス。
男性としての名残はもうこの萎縮したペニスしかない。
智の心は十分に満たされていた。
後は女性として働ける仕事を見つけるだけである。
たとえ給料が安くても、その条件をのんでくれるなら、どんなところにも行こうと考えた。
しかし、現実はそうそう甘くなく、面接までにこぎつける会社は一向に見つからなかった。
三年半の在籍であったが、その間離婚もし、女装を始め、すっかり身なりが変わってしまった。
送別会をすると言ってくれた先輩の三崎に気持ちだけ有り難く受け取ると固辞し、そそくさと家路についた智はスーツを脱ぎ捨て、ブラを着用し、ブラウスを着てスカートに足を通した。そして、念入りに化粧をし、これから生きていく姿になった。
もう昼間も遠慮する事なく女性の姿で暮らせる。
智は嬉しさに包まれた。
日本で一番優秀な大学を出て、誰もが羨む一流企業に勤めていたのに、それをあっさり捨ててニューハーフとして生きる事を選び、
女性ホルモンという健康を阻害し寿命を縮めるものにまで手を出してしまった。
普通であれば、智のように聡明な人間が選択する道ではない。
だが、これは智がこれからの人生を歩んでいく上で全て必要なステップであり、彼女自身、今が一番幸せだと心から思えるのであった。
会社を辞めて数ヶ月間は女子力アップに全てを費やし、内面も含めて女らしさというものを極めていったが、ずっとこんな生活も続けていられない。
智と姉の美智香は、父母と祖父母の多額の遺産を相続しており、奈々との結婚生活を送ったこの一戸建ての家もそのお金で購入したものである。
だが、そんなものに頼っていてはいつの日か崩壊してしまう。
智は先ず、自宅を売却し、郊外の賃貸マンションに引越した。
2LDKと元住んでいたところとは比べるべくもなかったが、1人暮らしには十分な広さである。
引越しが落ち着くと、智は前々から考えていたタマ抜き、いわゆる去勢手術を受けた。
去勢手術とはその名の通り、睾丸の除去手術の事であり、造膣を行う性転換、いや性適合手術に比べ、それほど難しいものではなかった。
男性ホルモンの大元である精巣を取る事によって男性ホルモンの分泌を限りなく無くす事を目的とするのだが、智は長年の女性ホルモンの投与により、既に正常な男性ホルモンの分泌を体内で出来ておらず、この手術自体に意味があるのかどうかは人によって様々である。
意味がないという人もいれば、女性ホルモンの投与する量や回数を減らせるから有効であると言う人もいる。
女性ホルモン剤の投与はいわゆる不可逆の行為であり、一度手を出すともう元には戻らない。
個人差はあるが、半年ほどで生殖能力は破壊され、内分泌も自力では正常に保てず、ホルモン投与を一生続けなければならない。
智はもう長期間女性ホルモンを体に入れているので、とっくに元に戻れない段階にきている。それでも、睾丸が無くなるということは、ある意味万が一の可能性すら捨てたという象徴的な事と捉えて行ったのである。
手術を終え、しばらく自宅で静養した智は
その日、あらためて自分の裸を鏡で見た。
透き通るような白い肌におおきく膨らんだ二つの乳房。
股間には睾丸を失って竿だけになったペニス。
男性としての名残はもうこの萎縮したペニスしかない。
智の心は十分に満たされていた。
後は女性として働ける仕事を見つけるだけである。
たとえ給料が安くても、その条件をのんでくれるなら、どんなところにも行こうと考えた。
しかし、現実はそうそう甘くなく、面接までにこぎつける会社は一向に見つからなかった。
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