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心境と新境地
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智の女性化計画はほぼ完了したと言っても過言ではなかった。
発声の訓練によって女性らしい声で話すことも苦もなく出来る様になっていたし、もう男性の痕跡を見つける事は不可能であった。
確かに股間には小さくなったとはいえ、ペニスが付いており
それが唯一の痕跡だと言えなくもなかったが、智自身は性同一性障害ではなかったので、自分のペニスに嫌悪感を抱いておらず
手術して取ってしまおうとまでは考えていなかった。
タマ抜き、所謂去勢手術は近いうちにしようと思っていたが。
そんな事を考えながら、智は自分が生まれ育った町に帰ってきた。
故郷といっても、そこに智の実家はなかった。
幼き日に両親が他界し、祖父母に育てたられたが
その祖父母ももういない。
年に一度、お墓参りに姉と行くためだけに帰ってくるだけだった。
姉の美智香は智より三つ年上で、早くに結婚して地元を離れている。
普段はあまり連絡を取り合っておらず、年に一度
ここで顔を合わせ、少し話をするくらいの関係性だ。
去年は離婚のことを姉に告げ、説教をされた。
女性化については、既にホルモンを始めていたが
劇的な変化は遂げておらず、気づかれる事はなかった。
しかし、今回は無理である。
どうやっても隠せるものではない。
また、智自身も隠そうとはしておらず、女性物の服で身を固め、メイクもバッチリして帰ってきたのだった。
開き直って女性モードで帰ってきたものの、この姿を見たら果たして姉は何と言うだろうか。
想像しただけでも、背筋が寒くなる智であった。
それでも、故郷は良いものだと思った。
たとえ身内がいなくても、少年時代から親しくしていた友人はまだ多くそこに残っている。
毎年、駅前のホテルに宿泊し何日か滞在する。
中学時代の仲の良かった連中を呼び出しては、居酒屋などに行って旧交をあたためるのがルーティンとなっていた。
墓参りは明後日
姉は多分当日やってくる。
智はホテルにチェックインを済ませたが、もうその段階で夜になっていたことと、来る前に女性ホルモンの注射を打ち、少し体がだるくなっていたことで、活動するのは明日からにしようと思った。
かといって、一人でレストランに行って食事をする気にもなれず、コンビニで食べ物を買ってホテルの部屋で食べることにした。
サラダとパスタ、そしてお茶を購入して店を出ると
少し離れたところからこちらに向かって歩いてくる男性がいた。
ジャージ姿で髪は少し伸び気味でボサボサしてる。
智は一目でそれが中学時代の同級生で、よく勉強の出来た後藤和俊だとわかった。
向こうは当然の如く全然気がついてない様子で、そのまますれ違おうとしている。
「後藤?」
智は意を決して声をかけた。
「?」
後藤と呼ばれた男は驚いた様子で智の方を見た。
発声の訓練によって女性らしい声で話すことも苦もなく出来る様になっていたし、もう男性の痕跡を見つける事は不可能であった。
確かに股間には小さくなったとはいえ、ペニスが付いており
それが唯一の痕跡だと言えなくもなかったが、智自身は性同一性障害ではなかったので、自分のペニスに嫌悪感を抱いておらず
手術して取ってしまおうとまでは考えていなかった。
タマ抜き、所謂去勢手術は近いうちにしようと思っていたが。
そんな事を考えながら、智は自分が生まれ育った町に帰ってきた。
故郷といっても、そこに智の実家はなかった。
幼き日に両親が他界し、祖父母に育てたられたが
その祖父母ももういない。
年に一度、お墓参りに姉と行くためだけに帰ってくるだけだった。
姉の美智香は智より三つ年上で、早くに結婚して地元を離れている。
普段はあまり連絡を取り合っておらず、年に一度
ここで顔を合わせ、少し話をするくらいの関係性だ。
去年は離婚のことを姉に告げ、説教をされた。
女性化については、既にホルモンを始めていたが
劇的な変化は遂げておらず、気づかれる事はなかった。
しかし、今回は無理である。
どうやっても隠せるものではない。
また、智自身も隠そうとはしておらず、女性物の服で身を固め、メイクもバッチリして帰ってきたのだった。
開き直って女性モードで帰ってきたものの、この姿を見たら果たして姉は何と言うだろうか。
想像しただけでも、背筋が寒くなる智であった。
それでも、故郷は良いものだと思った。
たとえ身内がいなくても、少年時代から親しくしていた友人はまだ多くそこに残っている。
毎年、駅前のホテルに宿泊し何日か滞在する。
中学時代の仲の良かった連中を呼び出しては、居酒屋などに行って旧交をあたためるのがルーティンとなっていた。
墓参りは明後日
姉は多分当日やってくる。
智はホテルにチェックインを済ませたが、もうその段階で夜になっていたことと、来る前に女性ホルモンの注射を打ち、少し体がだるくなっていたことで、活動するのは明日からにしようと思った。
かといって、一人でレストランに行って食事をする気にもなれず、コンビニで食べ物を買ってホテルの部屋で食べることにした。
サラダとパスタ、そしてお茶を購入して店を出ると
少し離れたところからこちらに向かって歩いてくる男性がいた。
ジャージ姿で髪は少し伸び気味でボサボサしてる。
智は一目でそれが中学時代の同級生で、よく勉強の出来た後藤和俊だとわかった。
向こうは当然の如く全然気がついてない様子で、そのまますれ違おうとしている。
「後藤?」
智は意を決して声をかけた。
「?」
後藤と呼ばれた男は驚いた様子で智の方を見た。
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