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覚醒
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伊崎との一件で、智の中で何かが変わった。
女性ホルモンの投与を一年以上続けたために、身も心も驚くほど変貌を遂げたことは自覚したが、男性とセックスをしたことにより、さらなる変化がもたらされたのは間違いない。
言葉では表現出来ないが、智が守り続けていた男としての最後の矜持が完全に破壊されたような気がした。
その事はケイコもすぐに気付いた。
「トモちゃん
なんか雰囲気が変わったね」
「え?」
「最近、何かあったの?」
「うーん
実は・・」
智は伊崎との出来事をケイコに説明した。
「ちょっと!
それって犯罪じゃないの!!」
伊崎の非道さにケイコは憤慨したが、智は少し笑みを浮かべて話を続けた。
「多分、お酒に薬を入れられたのは間違いないんですが、今となっては証拠も残ってません。
警察に言うっていっても、私、女じゃないし
説明するのが面倒くさいかなって。
それに、やられた事は酷いと思うんですけど
正直言うと、すごく良かったんです。
何か自分の中で眠っていたものを呼び覚まされたような気持ちになったっていうか
ニューハーフとして生きていく自信もつきましたし」
「そうなの?」
「ええ
女装趣味がエスカレートしてホルモンにまで手を出して、もはや退職を考えないとダメなところまできた事について
自分では納得してやったことなんですけど
少し不安というか、後悔みたいなものもありました。
でも、今はニューハーフとして生きていく決意も出来ましたし、気持ちに揺らぎはありません。
それは、やっぱりこの前の一件があったからだと思えるんです。
私は男の人を愛せるし、セックスもできるんだって。
」
「トモちゃんがそう言うなら、ワタシが口を出すことじゃないんだけど」
「ケイコさん
ありがとうございます。
ケイコさんがいてくれると心強いです
これからもよろしくお願いします」
智は笑顔で頭を下げた。
「任せなさい
可愛い妹よ」
ケイコもまた笑った。
「ケイコさん
ワタシ、明日から地元に1週間ほど戻ります
両親のお墓参りと、姉にカミングアウトしようと思って。」
「あ、そうなんだ。
カミングアウト、大丈夫?」
「何か吹っ切れた感じなんで、大丈夫です。
姉しか身内もいないし、ちゃんと言っとこうかと思いまして。」
「そうね
なかなか理解されにくいとは思うけど、頑張るのよ」
「はい!」
智の表情から不安な様子は窺えなかった。
女性ホルモンの投与を一年以上続けたために、身も心も驚くほど変貌を遂げたことは自覚したが、男性とセックスをしたことにより、さらなる変化がもたらされたのは間違いない。
言葉では表現出来ないが、智が守り続けていた男としての最後の矜持が完全に破壊されたような気がした。
その事はケイコもすぐに気付いた。
「トモちゃん
なんか雰囲気が変わったね」
「え?」
「最近、何かあったの?」
「うーん
実は・・」
智は伊崎との出来事をケイコに説明した。
「ちょっと!
それって犯罪じゃないの!!」
伊崎の非道さにケイコは憤慨したが、智は少し笑みを浮かべて話を続けた。
「多分、お酒に薬を入れられたのは間違いないんですが、今となっては証拠も残ってません。
警察に言うっていっても、私、女じゃないし
説明するのが面倒くさいかなって。
それに、やられた事は酷いと思うんですけど
正直言うと、すごく良かったんです。
何か自分の中で眠っていたものを呼び覚まされたような気持ちになったっていうか
ニューハーフとして生きていく自信もつきましたし」
「そうなの?」
「ええ
女装趣味がエスカレートしてホルモンにまで手を出して、もはや退職を考えないとダメなところまできた事について
自分では納得してやったことなんですけど
少し不安というか、後悔みたいなものもありました。
でも、今はニューハーフとして生きていく決意も出来ましたし、気持ちに揺らぎはありません。
それは、やっぱりこの前の一件があったからだと思えるんです。
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」
「トモちゃんがそう言うなら、ワタシが口を出すことじゃないんだけど」
「ケイコさん
ありがとうございます。
ケイコさんがいてくれると心強いです
これからもよろしくお願いします」
智は笑顔で頭を下げた。
「任せなさい
可愛い妹よ」
ケイコもまた笑った。
「ケイコさん
ワタシ、明日から地元に1週間ほど戻ります
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「あ、そうなんだ。
カミングアウト、大丈夫?」
「何か吹っ切れた感じなんで、大丈夫です。
姉しか身内もいないし、ちゃんと言っとこうかと思いまして。」
「そうね
なかなか理解されにくいとは思うけど、頑張るのよ」
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