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救世の契約者

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「という事があってな」

 ティアルマとの話し合いが終わった時。俺と契約を交わしていた大精霊、キュリオリスが俺を通じてティアルマの領域に現れた。

 かつて俺はキュリオリスと、六王の子孫でその力が強い者を保護するという契約を結んだ。これはキュリオリスが人に希望を残したかったからだ。そしてその願いが成就された時に奴は現れた。

 キュリオリスの力は時や空間に干渉できるというもの。ここまで頑張ったご褒美だと笑い、俺達を毛呂山領まで転位させてくれた。

 結果的に28名全員が無事に生存した事になる。そうして皇都へと戻ってからも、忙しい日々が続いていた。

 何しろ今度は、万葉が新たな大精霊との契約者となったのだ。その事も含め、幻獣の大侵攻が無くなったこれからの世を人としてどう生きていくか。考えなくてはならない事は多い。

 そうして一ヶ月ほどの時が過ぎ、俺は皇都にある自宅で涼香に旅の詳細を話していた。

「へぇ。お姉様から途中までの話は聞けていたんだけど。大精霊様との会合がどんなのだったかは聞いていなかったから。ちょっと驚いたわ」
「まぁ俺もティアルマが案外あっさりと引いたな、とは思ったが」
「そうじゃなくて。理玖がちゃんと話を取りまとめた事が、よ」
「うん?」

 幻獣の領域という、未踏の地を誰も死なない様に支援し、大精霊相手に交渉の場を作る。涼香は俺のその行動に少し驚いたとのことだった。

「なんだそりゃ。……でもまぁそうだな。かつての俺は復讐だけに心が染まっていた。復讐心から解放された事でいろんな感情に色が宿り、多くの事に気付けたのは確かだ」
「ほらやっぱり! 私の言うとおりだったでしょ!」

 昔、涼香が話していた俺の力の意味、か。懐かしい話をする。

「まだ覚えていたのか」
「あたりまえでしょ! 理玖も自分の力が決して復讐のためだけのものじゃないって、もう理解できているでしょ!」
「……ああ。そうだな」

 今も俺には大精霊との契約が残っており、その力は健在だ。そしてこれからも、この世界の調和を考えながら生きていくのだろう。

 俺自身、ティアルマの呪縛とは別にこれから変わっていく皇国と帝国、それに群島地帯を見てみたいと望んでいる。これから生まれる世界には俺も大きく携わっているのだから。

 だがその前に、済ませておく事がある。俺は涼香が身に付けている鳥の首飾りに視線を移しながら口を開く。

「なぁ涼香」
「なに?」
「お前、再会してから今日まで俺に散々いろいろと物申してくれたよな」
「何よ、文句でもあるの?」

 再会した時は、強い復讐心から早く東大陸で用を済ませ、西大陸に行きたいと考えていたから気づかなかったが。あの日、一目見て俺だと気づいてくれて。俺は心のどこかで嬉しいと感じていた。

「帝国でもいろんな奴と知り合ったが。今も俺に対して、直球でもの言うのはお前くらいだ」
「ふん。契約者だかなんだか知らないけど、あまり調子にのらないでよ。理玖はあくまでも理玖なんだから」

 それを自然に言えるのも涼香らしいと笑う。

「復讐を終えて、様々な感情が徐々に戻ってきたことで気づいた事がある」
「気付いたこと?」
「ああ。俺がお前を好きだって事だ」
「なんだ、そんなこと。……え?」
「俺も涼香が葉桐だろうが何だろうが、涼香は涼香だと思っている。そして俺は今、涼香には側でこれから変わりゆく世界を共に見てほしいと思っている。この気持ちは、かつて抱いていた復讐心よりも強い」
「ちょ、ちょっと理玖。いきなり、その、なにを……」

 耳まで真っ赤にしながら涼香は視線を外す。俺はそうはさせないと、涼香の頬を両手で触れるとそのまま俺の方に顔を向けさせた。

「俺についてこい、涼香。俺にはお前が必要だ」
「で、でも。私は葉桐の武人で……」
「武人を続けながら俺の側にいればいい。何の問題もない」
「お、お父様が……」
「どうした、いつもみたいに真っすぐなお前の言葉をぶつけてみろ。それともいやか? 今さらいやと言っても離すつもりはないが」

 相変わらず俺に顔を向けさせられているが、涼香は抵抗しなかった。

「い、いやじゃないけど……。その。本気……? そういう意味、よね……?」
「そういう意味だ。恨むなら俺をここまで惚れさせた自分の魅力を恨め。さぁ、俺の目を見てお前の考えを言ってみろ」

 かつてパスカエルに抱いていた復讐心よりも、強い執着を涼香に抱いているのは本当だ。そして逃すつもりがない事も。

 たとえここで断ろうが、俺は俺の持てる全ての力を以て涼香を手に入れる。その決意が通じたのか、涼香は一度息を吐くと今度は真っすぐに俺を見つめてきた。

「ふふ。いいわ、あなたの想いに応えてあげる。それに理玖は私がいないと、自分の在り方を直ぐに見失いそうだし」
「それほど弱いつもりは……いや。そうだな、そういう意味でも俺にはお前が必要だ。よし、そうと決まれば直ぐに行くぞ」
「行くってどこに?」
「まずは善之助に話を通さなきゃな。お前には俺と一緒に群島地帯に来てもらうつもりだし」
「え、ええ!? ちょっと、急すぎない!?」
「うるせぇ! ほら、行くぞ!」

 流石に俺も少し気恥しい。照れくささを誤魔化す様に声を荒げる。

 涼香はあきらめたのか、俺と共に家を出る。そして手を繋ぎながら葉桐家へと向かった。
 



 
「ここが……! シュド中継国……! この世界の中心地……!」
「柳弦様! はしゃがないでください!」

 かつて貴族の流刑地であり、群島地帯と呼ばれていたその場所は、今ではシュド中継国と呼ばれていた。

 その名の通り、東西両大陸の中継地として多いに栄え、今も2年に一度、三国会議が開かれる中心地である。

 定期的に東西両国の首脳陣が訪れる地のため、世話をするための多くの家臣たちが住みつく。そして会議が開かれている間は、両国から多くの貴族や世話人が訪れるため、今やシュド中継国は最も栄える国であった。

「ほら柳弦様。御父上が……皇王様がお呼びですよ」

 月御門柳弦。七星皇国、現皇王の息子である。今年10才を迎えるこの少年は、初めて皇都を出てシュド中継国へとやってきた。父が参加する会議に連れてきてもらったのだ。隣を歩くのは近衛、葉桐来人。まだ24と若い武人である。

「父上! 見て下さい、大きな建物に多くの人! シュド中継国、話に聞いていた以上です!」
「そうか。私は明日から会議に参加するが、お前は最終日まで特に予定はない。来人と一緒にいろいろ見て回るといい」
「はいっ! ……? 最終日には何があるのですか?」
「ああ。例年、会議の最終日は帝国と中継国の者が集まって、大きな宴会が開かれるんだ。そこでお前を皆に紹介しようと思う。……そういえば帝国の皇帝も、今年は11歳の娘を連れてくると話していたな。歳も近いし、きっとお前と仲良くなれるだろう」

 そして次の日。柳弦は来人と共に中継国のいろんな場所を見て回る。どこに行ってもお祭り騒ぎな様子に興奮していたが、不意に後ろから声をかけてきた者がいた。

「ちょっとあなた! 月御門の者でしょう!」
「え!?」

 驚きで後ろを振り向くと、そこには白い肌に金髪碧眼が特徴的な少女が立っていた。となりには護衛らしき大人も立っている。

「き、きみは……?」
「ほらやっぱり! 来人がいるからそうだと思ったのよ!」
「え……? 来人、知り合いなの?」

 問われた来人は苦笑する。

「はい。この方は、ルグテルマ様。ガリアード帝国の姫ですよ」
「ええ!?」




 
「あきれた! 柳弦ったらそんな事も知らずに中継国に来たの!?」
「うう……。歴史はこれから学ぶ予定なんだよ……」

 街で偶然出会った二人であったが、年齢が近い事もあり打ち解けるのは早かった。今、ルグテルマは柳弦に、中継国の成り立ちについて話を聞かせているところだ。

「私の方が一個上だし! 特別に教えてあげる! ここは昔、名も無い国だったのよ!」
「確か大昔の悪いことした人が住んでいたんだよね? それくらい知ってるよ」
「そう! そして無頼漢溢れるこの地を最初に統一したのが、伝説の王シュド! シュド中継国の名の由来になった人ね!」

 歴史上初めて二国間の条約締結を誘致し、群島地帯の存在感を世に強く出した人物。群島地帯最初の支配者。だがシュド王には実子がおらず、後継をどう決めるかが問題になった。

「下手に二国から人をやると、将来の争いの種にもなりかねない。私たちは何があっても絶対に争ったらいけない事は知っているでしょ?」
「うん」

 国家間の争いは永久に禁ずる。これはこの世界の子供が最初に習うことだ。

「でも幸い、シュド王には最強の右腕がいたの!」
「リク王だよね! 皇国人の!」
「あら。リク王が皇国人だったという証拠はないけどね? 名前が皇国の発音に近いからってそういう自慢は止めてくれる?」
「そんなぁ……」

 リク王の出生については、詳しい資料は残っていない。だが刀を振るっていたという記録が残っていることからも、皇国に所縁のある者だろうという説が有力だった。

 リク王はシュド王以上に多くの伝説を残している。その時代、皇国も帝国もリク王の意向には逆らえなかったともいわれているのだ。

 両国の貴族と深い繋がりを持ち、時に自ら出向いて国内の問題解決に乗り出してくれる。そんな生涯の中で、リク王が二国間に残した伝説はあまりにも多い。

 今も天災として認識されている大型幻獣。これを単独で屠ったという伝説も一つや二つではない。

「なによりも! リク王は恋多き王としても知られているのよ!」
「そうなの……?」
「ええ! 帝国の貴族も、皇国の姫も! 誰もがリク王と愛を語らったと、今も詩に残っているもの!」

 リク王の浮名もいくつか逸話があるが、どれも信憑性には乏しい。一説では生涯妻は一人だったとも言われているし、二国間と繋がりが深かったことから、両国の姫を娶ったとも言われている。

 いずれにせよ出自不明の男が、動乱の時代にこれだけ両国家に対して強い影響力を持っていたのだ。当時を生きる者たちから見れば、傑物だったのは間違いないだろう。

「そして! このシュド中継国にはね! 今もリク王が残した遺産がどこかに眠っていると言われているのよ!」
「ええ!? ほ、本当!?」
「ええ! 私はそれを探していたの! 柳弦、あなたも手伝いなさい!」

 今も伝わる多くのリク王伝説。その中の一つに、リク王の遺産がある。シュド中継国のどこかにあるそれは、手にしたものに幸運を運ぶとも、世界を滅ぼす力を得るとも語られている。

 相反する内容が多いため、眉唾だろうというのが通説だった。そんなはしゃぐ二人に悲鳴が届く。

「きゃー!」
「げ、幻獣だぁ! 幻獣が脱走したぞぉ!」

 何事かと振り向けば、中型の幻獣が街の真ん中で暴れていた。全部で五匹。護衛に付いていた来人と帝国の魔術師は即座に対応する。

「このままでは……!」
「来人」
「柳弦様……?」
「お願い、行って。みんなを守って!」
「……! はっ!」

 幻獣は三国会議終日の宴会で振る舞われる食糧として用意されていたものだった。鮮度を保つため、直前まで捌かずに大陸から連れてこられたものだ。それが何故か檻から脱走し、今まさに暴れているところであった。

 しかし来人は葉桐の武人にして近衛。直ぐにこの混乱を収めてくれるはずだ。柳弦はそう考えていた。残った魔術師は二人に振り返る。

「自らの護衛を街の者を救うために使うとは。さすがは皇族。だがその判断は誤りだったな」
「え……?」

 魔術師はセプターを取り出すと、二人に向かって構えた。ルグテルマは何事かと睨む。

「無礼者! 我らにセプターを向ける意味、理解してのことか!」
「は……ははは……! 当然だ! 俺は……いや! 俺達は! この機会を待っていたんだよぉ! 再びこの世界を混乱の渦に巻き込むため! お前たちには! 新たな世界の礎としてここで死んでもらう!」
「ひ……!」

 セプターに魔力が宿る。これまで敵意にさらされた事のない幼子二人にとって、魔術師の放つ殺気は絶望そのものだった。

 いやだ、死にたくない。どうしよう。迫る死の予感に全身が震える。だがそこに涼し気な声が響いた。

「はぁ。いつまで経っても似た様な奴は湧いてでるな」
「え……?」

 正面には魔術師。だが背後から別の男が姿を現した。年の頃は柳弦たちより少し上。黒髪黒目でパっと見は皇国人に見える。

「はっはぁ! 小僧! ここに居合わせた不幸を呪うがいい! もろとも死……!」
「うるせぇ」

 青年は右足で一度大地を叩く。誰もが何をしているのかと思っただろう。だが変化は直ぐに訪れた。

「うべらっ!?」

 見えない棍棒で殴られたかの様に、魔術師は真横に吹き飛ばされたのだ。そのまま壁に強く激突すると、その場で意識を失った。

「え……」
「いくら王の護衛に人手が割かれるとはいえ、子供に一人しか護衛を付けないことはないだろ……。平和が長く続いた影響か……」

 そのまま青年は立ち去ろうとする。そこで柳弦は声をあげた。

「ま、待って! い、今の……きみがやったの!?」
「……護衛が戻ってきたらちゃんと事情を話せよ。それから。自分の身を省みず、異国の民を真っ先に気付かうその心意気。お前、かっこよかったぜ」

 そう言うと青年はそのまま去っていった。戻った来人は事情を聞くと顔が青ざめていたが、結局青年の正体は最後まで分からなかった。

 だが宴会の日。ルグテルマは興奮気味に話す。

「だから! きっとあの方はリク王その人なのよ!」
「いや……。さすがにそれはないよ。何年前の人だと思っているの……?」
「だって! リク王伝説で謳われているんだもの! かの王が右足で大地を叩けば、人であれ幻獣であれ吹き飛ばされるって! 私見たんだもん! あの時、あの方が右足で地面を叩くのを!」

 二人がその後、シュド中継国で青年と再会する事は無かった。だがその話を聞いていたシュド中継国の王、シュド五世は何故か額に汗を流していた。
 



 
「ふん……。またこうして目覚める事になるなんてな。厄介な契約、そして呪縛だぜ……。しかしここも随分と発展したな。皇国や帝国はどうなっているんだろうか……」

 海の見える丘の一角。そこは貴人が埋葬される墓地になっていた。黒髪の青年はいくつかの墓石を回ると、その場を後にする。

 今もこの世界には幻獣が存在し、国家間の武力を用いた争いはなくとも、政治経済や利権を巡る争いは多い。

 そして昔よりも、遥かに増えた霊力や魔力を持つ者たち。こうした者が徒党を組み、盗賊の真似事をしている事も多かった。

 争いがなくなる事はない。だが争いがあるからこそ、育まれる縁や新たに生まれる絆もある。

 どこまでも人の行く先を見ていたいと願った男は。今日も自分の道を歩き続ける。


【後書き】

本作はこれにて完結となります。
ここまでご覧いただきまして、誠にありがとうございました。

宣伝になってしまい恐縮ですが、新たに「黒狼の牙」という小説の投稿も始めております。
よろしければこちらもご覧いただけますと幸いです。

数ある作品の中から、本作にお時間をいただけたこと、重ねて感謝申し上げます。

佐々川和人
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