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ヴィオルガの余裕 万葉の術

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 レイハルトの視線を正面から受けても、ヴィオルガはたじろぐ様子も見せず堂々と言葉を続ける。

「あの男は私が討ちます。クガタチにはそっちの女をお願いできるかしら?」
「……分かりました」
「マルクトア。あなたはマヨを守って」
「は、はいっ!」

 帝国の王女として反逆の聖騎士レイハルトは捨て置けない。偕としてはヴィオルガの指示に素直に従うのは、万葉の指示を仰いでからと一瞬考えたが、先ほどの万葉の言葉を思い出す。

(万葉様はヴィオルガ様をお守りする事をお望みだ。それに相手は帝国人。ヴィオルガ様の判断もある程度は信じられる)

 だが万葉の身は最優先で守らなければ。そう考えていると当の万葉本人が一歩前へと歩み出た。

「……私も術で援護を」
「お願い、マヨ! あなたのその霊力なら、そこの女にも遅れはとらないわ!」

 ヴィオルガは元々万葉にも、敵魔術師の相手をしてもらうつもりでいた。セイクリッドリングは厄介だが、身に宿す霊力は万葉が上。実戦経験は少なくとも、前衛に近衛が付くのならむしろ有利と踏んでの事だ。

「さぁ! 王女として刑を下しましょうか!」
「なめるなよ、ヴィオルガ! 聖剣・エールガ! 抜刀!」

 レイハルトの長剣が光に包まれる。レイハルトはそのまま剣を大地に突き立てた。

「ハァ!」

 突き立てた所を起点にして、地面から岩石の槍が幾本も生え、ヴィオルガに迫る。迫る岩槍を前に、ヴィオルガは慌てる事なく指輪が嵌められた左手を横に振る。

「はっ!」

 断続的な爆発が岩槍を粉砕しながらレイハルトに迫る。レイハルトはそれを横に飛ぶことで、辛くも直撃を避ける。だがヴィオルガは攻撃の手を休めない。

「これだけ開けた場所なら大丈夫でしょ! はっ!」

 左手の人差し指と中指を揃えてレイハルトに向ける。その先端から炎が放水された水の様に、勢いよく放射される。

「うおおお!?」

 レイハルトはこれも転がる事で直撃は避けるが、近ければ熱の影響を受ける。反撃しようにもレイハルトの聖剣技とヴィオルガの魔術では、発動するまでの速さが違う。

 レイハルトの聖剣技は大地をある程度操作でき、攻守兼用の幅広い使い方ができる。有用性が高い反面、発動するには大地に剣を突き立てる必要がある。

 一方のヴィオルガといえば、掛け声一つで魔術が成立するのだ。しかも繰り出される魔術は致死レベルのもの。遠距離攻撃の手段も豊富であり、接近戦に持ち込む事も難しい。

「な、何故だ!? あれだけの吸魔晶石に魔力を吸われたというのに、何故まだこれだけの魔術が撃てる!?」
「ふふ。どうしたのかしら、レイハルト。まさかその程度の事しかできないのに私を暗殺するつもりだったの? 何か隠し玉を用意しているかと思ったけれど、もしかして私に対しては吸魔晶石が切り札だったのかしら? だとしたらお生憎ね。私の魔力を甘く見過ぎよ!」
 



 
 ヴィオルガとレイハルトの戦いは終始ヴィオルガに分があった。というより一方的だ。遠からずヴィオルガの勝利で決着が着くだろう。

 偕はその事を遠目に確認すると、改めて目の前の魔術師の少女に注意を向けた。一見すると隙がある様に見えるが、万葉達を短時間で分断できるだけの術が使えるのだ。見た目通りと決めつけるには危険な相手だろう。

(風の術が得意な様だけど。うかつに近づけば霊影会の鷹麻呂の様に、風術による結界に斬られるかもしれない)

 少女も偕達に何かする訳でもなく、ヴィオルガ達の戦いを見ている。その様からは戦意を感じる事ができなかった。

「あーあ。あれじゃレイハルトさんも危ないわね」
「……問題なくヴィオルガ様が勝利されるだろう。降参してくれないか? 手荒な真似はしない」
「え? ……ふふ。君、面白い事言うのね」

 そこで初めて少女は偕に意識を向けた。

「丁度いいわ。君にもお兄さんの様な事ができるのか。見せてもらおうかな」
「え……」

 少女からお兄さんと言われ、偕は一瞬自分の兄の事を言われているのかと錯覚する。もちろん偕と少女は初対面であり、偕に兄がいる事を知っているはずがない。

 だが偶然にも少女は実際、以前この場で戦った理玖の事を指し示す言葉として「お兄さん」と言っていた。この奇妙な一致が、偕に少女の正体を思い起こさせる。

(兄さま達の報告にあった、亀泉領で出会った帝国魔術師! 間違いない、風術が得意な点といい、特徴が一致する!)

 兄と戦いながら逃げ出せる実力の持ち主。即座に神徹刀を抜いて戦闘態勢に入る。少女はそんな偕を見ながら軽く指を鳴らした。

 少女の指先から幾重にも重ねられた真空の刃が偕を襲う。色を持たない不可視の攻撃。だがここに万葉の静かな声が届く。

「私が築くのは断絶の要害。不動・城塞陣」

 万葉を中心に発動した強力な結界術は、そのまま偕も範囲内に収める。少女の放った真空の刃は全て結界により受け止められた。 

 直撃を受けても万葉の結界は何の影響も受けておらず、どこにも綻びは生じていない。その結界は偕を以てしても、見事と言わずにはいられないくらい見事なものだった。

「ええ!? ちょっと、硬すぎない!?」
「……天駄句公よ。我が血に刻まれし大精霊よ。その御力を今、ここに。集え、天空の守護者」

 さらに続く万葉の起動呪文。同時にその身に練られていく霊力の強大さに、少女はまさかと目を見張る。

「え、まさか結界を維持したままそんな大魔術を……!? さすがにそれは、まず……」
「……星辰・雷鳴剣・天竜斬」

 万葉は上空に複数枚の符を投げる。それらは一つの力場を作ると、巨大な閃光となって天へと伸びた。

「え……? 不発……?」

 と少女が呟いたその時。天から幾条もの雷が大地に向けて降り注ぐ。偕達には結界があるため雷を阻む事ができたが、結界の外は広範囲に渡って雷が降り注がれていた。

 その余りの規模にヴィオルガもレイハルトもあっけにとられる。万葉の放った術の有効範囲内には二人もいるため、戦いを中断して回避に専念せざるを得ない。

「ちょ、ちょっとマヨ!? やりすぎ、これやりすぎよぉ!?」
「……すみません、ヴィオルガ姉様。調節が上手くできなくて。まさかここまで大規模なものができるとは」
「よく分からないで発動したの!?」
「……ヴィオルガ姉様。結界内には自由に入れるため、こちらに来てもらってよろしいでしょうか」
「もおぉぉぉ!?」

 ヴィオルガも頭上に障壁を張りながら、万葉の築いた結界内へと入る。改めて周囲を見渡すと、大量の雷により大地は抉れ、あちこち焦げていた。

 所々赤黒く変色しており、熱を持っているのが確認できる。微かに肉の焼けた匂いもする。もしかしたら周辺にいた幻獣も巻き添えになったのかもしれない。

「……すみません。早く決着を付けなければと、最大火力を持つ術に惜しみなく霊力を注いだのですが」
「ま、まぁ、訓練じゃこんな規模の術なんて使わないだろうし。マヨも初めての試みだったのでしょうけれど……」

 ヴィオルガは万葉の事情に理解を示しつつも半ば呆れてもいた。

 これは万葉の実戦経験の無さが、良い方と悪い方に働いた結果と言えた。強力な術ほど多くの霊力を消耗するし、逆に消費する霊力量を意図的に上げる事もできる。

 今の術は万葉の使える最大規模の術。そしてその術は、万葉の強大な霊力を受け止められる余裕もあった。

 だが万葉の考えにも理解はできた。得体の知れない敵との実戦、決着を着けるのなら早期が望ましい。

 短期決戦、相手が手の内を見せる前に、自分の最強の術で勝負をしかける。決して間違いという訳ではない。巻き込まれた味方は堪ったものではないが。

(それにしても。魔術具やセイクリッドリングも無しでこれだけの術を発動できるなんて。潜在的な霊力量は私を超えるわね。マヨの場合、細かなコントロールができないから霊力量の割に長期戦には向かない。結果論だけれど、初手で最強の術というのは、マヨにとって最適解の戦術と言えるのかも)

 それが分かっただけでも、実戦経験を積めた事に意味があるかとヴィオルガは考えた。偕は周囲を見渡す。レイハルトと魔術師の少女の姿は確認できなかった。

「さすがに万葉様のあの術を受けては、ひとたまりもなかったみたいですね……。万葉様、助けていただきましてありがとうございます。本来ならば近衛である私が万葉様をお助けしないといけないのに……」
「……いいえ。我が近衛を守れた事、嬉しく思います。それに私にはもう霊力が残されておりません。まだ戦いは終わっていないのです、引き続き警護をお願いします」
「は、はい!」

 ヴィオルガもマルクトアに声をかける。

「マルクトア。怪我はないかしら?」
「はい、ヴィオルガ様。……あ、あの。ヴィオルガ様、その。聖騎士は……」

 マルクトアはヴィオルガに何かを言いかけるが、言い淀んだ。マルクトアが何を言いたいのか、いくつかの検討はつく。

「安心しなさい。レイハルトの行動が聖騎士全体の意思だとは考えていないわ。アレは私の兄かパスカエルに利用されていたのよ。証拠がないのは悔しいけれど」
「ヴィオルガ様……。ありがとうございます」
「それに。将来有望な聖騎士もいるのだし、ね。さぁマヨ、クガタチ。戻りましょう。といっても私もあまり魔力が残っていないから、クガタチもマルクトアも私たちをちゃんと守りなさいよ?」
「……! はい!」
「この身に代えましても」

 そう言い、来た道を引き返そうとした時。背後から大地が震える音が響く。振り向くと、そこには満身創痍で立つレイハルトの姿があった。周囲の地面は掘り返された様な跡が残っている。

「レイハルト……。そう、その聖剣の力ね。でも完全にはマヨの術を凌げなかったみたいね?」
「ぐぅ……! はぁ、はぁ……! まさか、味方もろとも巻き添えにした殲滅級魔術を使うとは……!」

 本当に珍しくだが、普段表情に感情を出さない万葉が若干気まずそうに瞳を横に逸らす。万葉もヴィオルガも余り力は残っていない。偕とマルクトアは二人を庇う様に一歩前へと出た。

「その怪我ではまともに動けないでしょう。大人しく降参してください。あなたには背後に誰がいるのか、ヴィオルガ様に話していただきます」
「く……! 帝国最強格の魔術師を侮っていた訳ではない……! 準備を整え、機を伺っていた……! 狙い通り魔力も奪えた……! だが……!」

 全てはお前のせいだと言わんばかりに、レイハルトはギッと万葉を睨みつける。そんなレイハルトを見てヴィオルガは呆れた様子で口を開いた。

「なにマヨが悪いみたいな態度をとっているのよ。マヨがいなくてもあなたは私に勝てなかったし、侮ってもいたわ。準備も不十分、魔力を奪ったといっても全てではない。所詮は三下ね。まぁそんな三下なあなただからこそ、豚兄上たちも利用しやすかったのでしょうけれど」
「だまれぇ……! こうなれば仕方ない、これは最後の手段であったが……! このまま反逆者として死ぬよりは遥かに良い……!」
「なによ、そんな状態で何ができるというの?」

 レイハルトは不適に笑うと、懐から赤い杭を取り出した。それを見て偕達の表情が強張る。

「たとえこの身を幻獣と化しても! ここでお前を殺す! 全ては聖騎士の未来のため!」

 強い覚悟と決意を込め、レイハルトは自らの心臓目掛けて杭を突き立てた。
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