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三天武の帰還 誓いが果たされる時

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「おお! 見ろよ、久しぶりの皇都だ!」
 
 偕、誠臣、清香、そして嘉陽と雫。五名は毛呂山領でのお役目を終え、皇都に戻ってきた。

 結局毛呂山領では一年と約半年過ごし、皇都に戻ってくる頃には偕は19歳、誠臣と清香は21歳になっていた。

 霊影会による襲撃の他にも大小様々な事件もあり、偕たちはお役目に負われる日々を過ごした。皇都への帰還が伸びたのは、狼十郎の稽古が原因だ。
 
「狼十郎さんから一本取らずして近衛にはなれません」
 
 偕の言葉だ。近衛とは武人の頂点である。弱い近衛などそもそも存在しない。

 偕たちは近衛に迫る実力はあるが、まだその域には届かない。それなのに近衛に召し上げられる理由。それはひとえに月御門万葉を守るためであった。
 
 近衛となれば神徹刀が授けられ、他の近衛から直々に稽古もつけられる。いずれ万葉に迫る妖に対抗するため、偕たちには強くなってもらいたい。これは事情を知る者たちの共通認識であった。

 理由はどうあれ、皇都へ戻れば近衛となるのは決定事項。これは三月家の嘉陽も認めている事実。

 ならば皇都に戻って新たなお役目をいただくその前に、最低限の実力を身に付けるのは必定。そう決意し、毛呂山領滞在期間を伸ばして狼十郎に師事していた。
 
「それにしても本気を出した狼さん、めっちゃ強かったよな……」
「はい。霊力が少ないからこそ、それを欠点と諦めず武人としてどう活かすか。狼十郎さんの戦い方は、新たな気づきがたくさんありました」
「私が将来の夫と見込んだ男。当然よ」
「はは……」
 
 別に毛呂山領で清香と狼十郎は結婚していない。しかし既に清香は手紙で父に意向を伝え、狼十郎の実家にも筆をしたためていた。

 狼十郎が堅苦しい生活を嫌うのは生来のものであり、清香に自分の生活にあれやこれやと口出しされたくはない。だが徐々に外堀が埋められつつあった。

 途中で雫、嘉陽と別れ、三人は葉桐家へと向かう。家では多くの家人たちが出迎えに出ていた。
 
「うお、さすがは葉桐家……」
「お姉様!」
「涼香!?」
 
 出迎えの中に居たのは清香の妹、葉桐涼香。歳は偕より三つ下で16となる。
 
「お姉様、よくぞお戻りに! ずっとお待ちしていました!」
「涼香、しばらく見ない内に立派になって!」
「はい! お姉様、私この一年で金剛力を二進まで進める事ができたんです!」
「その年齢でもう金剛力を二進まで!? すごいわ、涼香!」
「えへへ……」
 
 涼香は清香に褒められ、嬉しそうに顔をほころばせる。だが思い出したかのように、スッと目を細めて清香に問い詰める。
 
「お姉様、その、嘘……ですよね? ご結婚を決められたとか……それも三十にもなってまだ結婚していない、地方領の者が相手とか……」
「あら、本当よ。羽場真領は南方家、その次男の狼十郎。将来の皇国を支える武人よ」
「!!!!」
 
 涼香はこの世の終わりかの様な表情を浮かべ、一歩後ずさる。その顔はおよそ祝福している様には見えなかった。
 
「そ、そんな……。お、おね、お姉様が……。若手世代最強の呼び名高い、涼香のお姉様が……どこぞの馬の骨に……」
 
 ちなみに偕達の世代で、剣術最強は偕と言う者もいる。だが清香は絶影、強硬身を二進、金剛力を三進まで修めており、総合力では若手最強だと目されていた。
 
「お前たち、いつまでそこで立っておるのだ」
「父上!」
 
 屋敷の奥から姿を見せたのは偕の父、陸立錬陽だった。錬陽は久しぶりに見た息子の姿に目を見張る。
 
「……どうやら毛呂山領では良き師、良き薫陶が得られたようだな」
「はい……」
 
 偕は錬陽宛てに、毛呂山領で六角が話していた事を記した手紙を送っていた。今、錬陽はどういった心境なのだろうか。その表情からは伺い知れることができなかった。
 
「さぁはやく入れ。奥で善之助殿、誠志、それに月御門指月様に天倉朱繕殿がお待ちだ」
「!!!!」
 
 

 
 
 偕たちは錬陽に案内されるまま、葉桐家の貴賓室に通される。そこには清香の父である葉桐善之助、誠臣の父である賀上誠志。そして皇族たる月御門指月に加えて皇国最強の武人、近衛頭の天倉朱繕が控えていた。

 天倉朱繕は善之助の跡を継ぎ、皇国の歴史上女性で初めて近衛頭に就いた武人である。その剣技は見た目同様、花を恥じらわせ、月も恥じらいからその姿を隠すほど美しいと称される。

 葉桐一派において生ける伝説である。思わぬ大物たちの顔ぶれを前に、偕たちは膝をつく。これを途中で止めたのは指月であった。
 
「ああ、構わない。楽にしてくれ」
「……はっ!」
「まずは毛呂山領でのお役目、大儀だった。簡単にで構わない。彼の地で見聞きした事、話してくれるかい?」
「はい!」
 
 三人の代表として清香は毛呂山領での出来事を話す。霊影会の事は既に報告済みなので話すのはそれ以降の事。現地の活気。人々の暮らし。そして狼十郎に師事していた事。
 
「そうか。毛呂山領はこれまでどの皇族も訪ねた事がないからね。そこで生きる人々はどの様なものかと思っていたが、息災であるなら結構だ」
「はっ。辺境において毛呂山領は大変賑わいを見せる地であり、幻獣破術士騒ぎも日常茶飯事。その地に住まう者は、ちょっとの騒ぎでは動じない程の逞しさを持っておりました」
 
 指月はそうか、と嬉しそうに清香の話を聞く。
 
「さて。五日後、君たち三人を御所に招く。既に聞き及んでいるだろうが、そこで近衛に任ずる。私が万葉の兄として、近衛たる君たちに望んでいる事は分かるね?」
 
 偕たちは黙って頷く。すべてはきたる未来のため。月御門万葉の命を守るためである。
 
「君たちを近衛に召し上げる直接の理由はそこにある。だが私は、君たちならば真に近衛に相応しい武人になれるとも信じている。……三人とも。これからよく励んでほしい」
「……! は、はいっ!」
 
 皇族から直接の信頼を寄せられる。これは武人にとって、そして近衛を目指してきた偕たちにとって大変名誉な事であった。全身全霊を賭してお仕えするのだと、改めて決意を強くする。
 
「そういう訳だ。朱繕、よろしく頼むよ」
「はっ。お前たち、よく聞け。近衛になったからといっても、まだまだお前たちにその実力は伴わぬ」
 
 朱繕の氷の様な宣告。悔しくはあるが、事実でもある。偕たちの思い描く近衛に、自分たちはまだ追いつけていない自覚はあるのだ。
 
「よっていきなり大役を任せる事はない。しばらくは私自らが直接稽古をつけてやる。そこで見込み無しと判断した者には、即刻近衛より去ってもらう」
 
 三人は朱繕の言葉に驚きの表情を見せる。これに苦笑いしながら答えたのは指月であった。
 
「はは、厳しいねぇ。だがこれが君たちを近衛に任ずるにあたって、朱繕から出された条件でね。これを呑めぬのなら、近衛頭の任を辞するとまで言われてしまったんだ」
 
 つまり朱繕の言う事は誠であるという事だ。だがこれは皇国にとって、そして武家にとっても近衛という地位が決して軽くないものだという事でもある。
 
 朱繕は自分の統括する近衛を、偕たちを入れる事によって質の低い組織にするつもりはなかった。朱繕が冷徹な視線を向ける中、偕は不適に顔を上げる。
 
「望むところです」
「……ほう?」
「実力が伴わないのは百も承知。自分たちが特別の事情から分不相応な地位に封ぜられるのも。ですがご安心を。自分たちは必ず強くなり、近衛で一番強くなってみせます」
 
 近衛で一番強くなる。それは皇国最強の武人となり、目の前の朱繕すら超えていくという偕からの挑戦状だった。

 自分の息子の口から出た強気な発言に、錬陽は大きく目を見開く。直接挑戦状を叩きつけられた朱繕は、試す様な目で偕を見た。
 
「一番、と言ったか」
「はい。自分には皇国の武人として、成し遂げたい事もあります。そしてそれは近衛の先にある。ここで立ち止まる訳にはいきません」
 
 偕の目標の一つ。それは誰が六角に、兄理玖を殺す様に働きかけたのかを明らかにする事であった。そして偕は、それは皇都内にいる人物であると考えていた。
 
(破術士の犯罪組織が、霊力を持たない兄さまを狙う理由がない。そしてまだ兄さまが皇都を出て、一年も経たない内に六角に依頼が舞い込んできた。その時期に兄さまが神徹刀を持ちだして、皇都を出た事を知っている人物。幾人もの仲介を挟んで、依頼主が誰かたどり着けない様にしていた周到さに資金力。考えられるのは、皇都にいる貴族……)
 
 もしかしたら理玖殺害の依頼主は近い場所にいるかもしれない。だがそうなると突き止めるのはより困難になる。何より葉桐一派の武人であれど、他家の貴族らとそう簡単に誼を結べるという訳ではない。

 自分に必要なのは近衛という立場と、それに相応しい実力。元々偕は近衛を目指してきたが、ここに来て自分の成したい事と夢が繋がった。
 
 何より兄が罪人とはいえ、神徹刀を持ち出した事が死罪に繋がるとも思えない。もしそうであれば、破術士に依頼するなどという回りくどい事をせず、皇国として人を出せばいいのだ。

 皇国の貴族の中に、後ろめたい事に手を回す者がいるのなら。皇国の武人として、そして近衛として捨て置く事はできない。強い決意をもって偕は朱繕の視線を正面から受け止める。
 
「……ふっ。最近の若い武家の者ではなかなか見ない目をする。陸立偕。今の言葉、忘れるなよ」
「はいっ!」
 
 清香、誠臣も思いは同じと頷き合う。そして五日後。
 
「葉桐清香。賀上誠臣。陸立偕。以上三名、近衛に任ずるものとする」
 
 幼き時に交わした誓いは、一人を除いてここに成った。そして新たに神徹刀を持つ武人が三人誕生する。
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