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魔境の理玖 静寂の中で見つけたもの
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西部へ渡って二日目。俺は西部の端、海の見える所まで来ていた。今回は約5日分の水と食料を持ってきていたため、探索に手こずる様なら途中で森に引き返す事も考えている。幸いここまでは順調に来られたが。
……いや、順調ではないな。虫の襲撃に地中に潜む大型の蛇。群れを成す六本足の獣、半透明のトカゲ。ここでも毎回命がけの戦いが行われた。分かっていた事だが、場所を移したからといって安全になった訳ではない。
「やっぱりどこまで見渡しても海、だな……。他に何も見えん……」
海を見ながら水を飲み、どうするか考える。西部は島内でも高さがあり、海岸も断崖絶壁の様を呈していた。海に出られる手段を得たとしても、ここからでは難しいだろう。
「……とりあえずもう少し北上してみるか……」
森へは直線距離で進めば、周囲に警戒しながらでも二日あれば帰れる。あと一日は探索に余裕がある。そう考え、俺は海岸線沿いに北上を開始する。こうして進めば前後左右の内、注意を前後右に集中できる。
もちろんここでは何が起こっても不思議ではないので、左の注意も怠らないが。というかここでは地中にも幻獣がいるので、下への注意も必要だ。そうして進む事しばらく。半日も歩けば島の北部が見えてくる。
「あの辺りが西部と北部の境目か……」
北部は相変わらず雷雨が降り続けており、その奥は見通せない。ここまでと判断した俺はその日はここで休み、次の日には森への帰路についた。もはや日常と化して久しい幻獣との殺し合いを続けながら森を目指す。
「結局この地も何もなし、か。いや、生息する幻獣に違いがあると分かったのは重畳か」
少なくともここは、森に生息する幻獣とは違った対処が求められる。長く森で過ごしてきた俺にとってやりづらい相手だった。水場も見当たらないし、拠点にするならやはり森が一番だろう。軽くなった籠を背負いながら歩く事しばらく。俺の目に不可解な物が映っていた。
「……洞窟……? 何故こんなところに? いや、やはりおかしい」
行きとは違う道を通っているので、西部探索初日に見られなかった光景が広がっているのは理解できる。
だがこの洞窟は明らかにおかしかった。岩場のど真ん中に平然と存在しているのだ。しかもその洞は真っすぐ地下に伸びている。つまり地上部分に洞窟の入り口だけ飛び出しているのだ。
「……自然にできる様な洞じゃない、よな」
自分で言葉に出して嫌な事に気付く。そもそも常に雷雨が降る大地や炎の平野なんてもの、自然にできるものなのか?
いや、この島自体そうだ。東西南北でそれぞれ違った環境、生態系が存在するなんてどう考えても不自然だ。
ここが大陸ほどの大きさがあるのならともかく、人の足で回れる範囲の島で、これほど目まぐるしく環境が変化するなんて事、あり得るのか? もしこの島が誰かの手によって、人工的に作られたものだとしたら。
「仮にそうだとして……。この洞窟、無関係って事はないよな?」
何しろ不自然な島に現れた不自然な洞窟なのだ。何か意図があって作られたものと考える事もできる。そう考えた俺は、十分に警戒しながら軽く足を踏み入れてみる。
「あれは……」
洞窟内は光が届かない場所こそ真っ暗だが、目を凝らすと奥に僅かな明かりが確認できた。
「洞窟の奥に……明かり? どうやって? 何が光っている?」
どうすべきか考える。油断はできないが、洞窟内に何か潜んでいる気配は感じられない。つい先刻、胸に過ぎった嫌な予感もある。だが。
「このまま森に引き返しても、ここの存在はずっと気になり続けるだろう。ならば」
進む。見つけてしまったからには捨て置く事はできない。ここで洞窟を無視してしまえば、島に居ている間ずっと気になる箇所になるに違いない。そう思い俺は足場を慎重に選びながら真っ暗な洞窟を目指す。奥に光る明かりを目指して。
明かりは段々大きくなってくる。確実に距離が縮まっているのだ。だがここで歩調を早める事はない。どこまでも慎重に、冷静に。
「なんだ……これは……」
とうとう明かりのある空間に辿り着く。光っていたのは洞窟の奥にある部屋全てだった。この部屋の壁が、床が、天井が。全て淡い薄緑の光を放っている。
明らかに誰かによって拵えられた、人工の部屋だった。部屋はかなり広い長方形の形をしている。そして部屋の中心部には、透き通った水が流れる台座があった。
「一体誰が……いつ、何の目的で……?」
やはりここは天然自然の島なんかではなく、誰かが作ったものだったのだ。学者連中に言わせれば、部屋だけで結論を急ぐべきではないと言うかも知れない。だが今、俺の中には確信があった。
周囲に幻獣の姿はない。しかし決して警戒を緩めず、俺は台座に近づく。水は森のものと同じく非常に澄んでいる。手ですくって飲んでみるが、普通の水だ。問題ないように思う。そして台座部分。そこには一枚の平板がはめ込まれていた。
「これは……六王時代の文字……?」
いわゆる古代文字だ。今でも国家間同士の取り決めには古代文字が用いられている。大精霊の契約者を先祖に持つ国の貴族であれば、誰もが教わる文字である。当然、俺も習得済みだ。まぁ武家の生まれだったし、こういう座学は必要最小限しか学んでいないが。
「試練の地、ここ、定め、後世に記録、伝える……北に? 静寂の間、訪れし愚者よ、清らか、水を腹……ああ、飲めって意味か。多分この水の事だな。ええと、水を飲んだら……山を登って北を向け? なんだ、これは」
訳し方を間違えたかとも考えるが、単語の意味を考える。試練の地っていうのはこの洞窟……ではなく、島全体の事だろうか。
大昔にこの島が作られ、その時の事がどこかに記録されている? 静寂の間っていうのはこの部屋だろう。この雰囲気、静寂と呼ぶに相応しい。で、ここの水を飲んで山を登れってか。
「……分かった様な分からないような。ま、せっかく手に入れた手掛かりだ。一先ず言うとおりに動いてみようか」
もう一度水を飲み、空いた袋にも水を入れていく。山と聞いて思い当たるのは、島の中心部よりやや南寄りに位置する、以前にも登ったあの山しかない。森へ戻ったら一度寄ってみよう。そう考えをまとめ、俺は洞窟を後にした。
■
森へ帰って二日目。俺は新鮮な鳥のもも肉を食べ終わると山を登り始めた。前回は頂上までは行かなかったが、今回は頂上を目指すつもりだ。それほど高い山ではないし、すぐに登りきれるだろう。
「こうして山を登ると、島に来た日の事を思い出すな……」
あの時は最初、鳥に殺されそうになったんだっけか。今も油断できる相手ではないが。あいつら、群れで襲い掛かってくる時もあるからな。
だが思い返してみると、自分自身随分強くなったと思う。負けが死に繋がる限界ギリギリの戦いを毎日しているためか、刀も随分速く振る事ができる様になったし、身のこなしも家に居た頃とは比べ物にならないだろう。
毎日身体のどこかに怪我を負って死にかけてはいるが、まだ死んでいない。負けていない。生きてここを出る事を諦めていない。
「今の俺、どれくらい強くなっているんだろうか……」
ふとそんな事を考える。少なくともこの島の幻獣は、霊力が扱える武人でも油断できる相手ではないだろう。何しろ幻獣の一撃はほとんど必殺なのだ。霊力に目覚めたばかりの、成人前の武人では勝てない相手だと思う。
だが近衛は別だろう。近衛は皇国最強の武人。直接相まみえた事はないからその強さを直には知らないが、少なくともここで過ごしていけるだけの実力はあるはずだ。
「そう思うと霊力を持たない俺はまだまだだな……」
どれだけ俺が生身で強くなろうとも。やはり霊力持ちとそうでない者の間には、越えられない壁があるのだろう。
ここで生き延びて大陸へ戻れても、俺は霊力持ちの奴らとの間で壁を感じながら生きていく事になるのだろうか。
そう考えた時、左目がより一層強く疼きだす。この疼きを強めたのは、限界を感じてしまった自分自身への怒りか。一瞬でも魔術師であるパスカエルに勝てるのだろうかと疑ってしまった事への怒りか。あるいはサリアが早く自分の仇をとれと囁いているのか。
「……くそ」
疼きを鎮める事ができないまま、俺は山の頂を目指す。
……いや、順調ではないな。虫の襲撃に地中に潜む大型の蛇。群れを成す六本足の獣、半透明のトカゲ。ここでも毎回命がけの戦いが行われた。分かっていた事だが、場所を移したからといって安全になった訳ではない。
「やっぱりどこまで見渡しても海、だな……。他に何も見えん……」
海を見ながら水を飲み、どうするか考える。西部は島内でも高さがあり、海岸も断崖絶壁の様を呈していた。海に出られる手段を得たとしても、ここからでは難しいだろう。
「……とりあえずもう少し北上してみるか……」
森へは直線距離で進めば、周囲に警戒しながらでも二日あれば帰れる。あと一日は探索に余裕がある。そう考え、俺は海岸線沿いに北上を開始する。こうして進めば前後左右の内、注意を前後右に集中できる。
もちろんここでは何が起こっても不思議ではないので、左の注意も怠らないが。というかここでは地中にも幻獣がいるので、下への注意も必要だ。そうして進む事しばらく。半日も歩けば島の北部が見えてくる。
「あの辺りが西部と北部の境目か……」
北部は相変わらず雷雨が降り続けており、その奥は見通せない。ここまでと判断した俺はその日はここで休み、次の日には森への帰路についた。もはや日常と化して久しい幻獣との殺し合いを続けながら森を目指す。
「結局この地も何もなし、か。いや、生息する幻獣に違いがあると分かったのは重畳か」
少なくともここは、森に生息する幻獣とは違った対処が求められる。長く森で過ごしてきた俺にとってやりづらい相手だった。水場も見当たらないし、拠点にするならやはり森が一番だろう。軽くなった籠を背負いながら歩く事しばらく。俺の目に不可解な物が映っていた。
「……洞窟……? 何故こんなところに? いや、やはりおかしい」
行きとは違う道を通っているので、西部探索初日に見られなかった光景が広がっているのは理解できる。
だがこの洞窟は明らかにおかしかった。岩場のど真ん中に平然と存在しているのだ。しかもその洞は真っすぐ地下に伸びている。つまり地上部分に洞窟の入り口だけ飛び出しているのだ。
「……自然にできる様な洞じゃない、よな」
自分で言葉に出して嫌な事に気付く。そもそも常に雷雨が降る大地や炎の平野なんてもの、自然にできるものなのか?
いや、この島自体そうだ。東西南北でそれぞれ違った環境、生態系が存在するなんてどう考えても不自然だ。
ここが大陸ほどの大きさがあるのならともかく、人の足で回れる範囲の島で、これほど目まぐるしく環境が変化するなんて事、あり得るのか? もしこの島が誰かの手によって、人工的に作られたものだとしたら。
「仮にそうだとして……。この洞窟、無関係って事はないよな?」
何しろ不自然な島に現れた不自然な洞窟なのだ。何か意図があって作られたものと考える事もできる。そう考えた俺は、十分に警戒しながら軽く足を踏み入れてみる。
「あれは……」
洞窟内は光が届かない場所こそ真っ暗だが、目を凝らすと奥に僅かな明かりが確認できた。
「洞窟の奥に……明かり? どうやって? 何が光っている?」
どうすべきか考える。油断はできないが、洞窟内に何か潜んでいる気配は感じられない。つい先刻、胸に過ぎった嫌な予感もある。だが。
「このまま森に引き返しても、ここの存在はずっと気になり続けるだろう。ならば」
進む。見つけてしまったからには捨て置く事はできない。ここで洞窟を無視してしまえば、島に居ている間ずっと気になる箇所になるに違いない。そう思い俺は足場を慎重に選びながら真っ暗な洞窟を目指す。奥に光る明かりを目指して。
明かりは段々大きくなってくる。確実に距離が縮まっているのだ。だがここで歩調を早める事はない。どこまでも慎重に、冷静に。
「なんだ……これは……」
とうとう明かりのある空間に辿り着く。光っていたのは洞窟の奥にある部屋全てだった。この部屋の壁が、床が、天井が。全て淡い薄緑の光を放っている。
明らかに誰かによって拵えられた、人工の部屋だった。部屋はかなり広い長方形の形をしている。そして部屋の中心部には、透き通った水が流れる台座があった。
「一体誰が……いつ、何の目的で……?」
やはりここは天然自然の島なんかではなく、誰かが作ったものだったのだ。学者連中に言わせれば、部屋だけで結論を急ぐべきではないと言うかも知れない。だが今、俺の中には確信があった。
周囲に幻獣の姿はない。しかし決して警戒を緩めず、俺は台座に近づく。水は森のものと同じく非常に澄んでいる。手ですくって飲んでみるが、普通の水だ。問題ないように思う。そして台座部分。そこには一枚の平板がはめ込まれていた。
「これは……六王時代の文字……?」
いわゆる古代文字だ。今でも国家間同士の取り決めには古代文字が用いられている。大精霊の契約者を先祖に持つ国の貴族であれば、誰もが教わる文字である。当然、俺も習得済みだ。まぁ武家の生まれだったし、こういう座学は必要最小限しか学んでいないが。
「試練の地、ここ、定め、後世に記録、伝える……北に? 静寂の間、訪れし愚者よ、清らか、水を腹……ああ、飲めって意味か。多分この水の事だな。ええと、水を飲んだら……山を登って北を向け? なんだ、これは」
訳し方を間違えたかとも考えるが、単語の意味を考える。試練の地っていうのはこの洞窟……ではなく、島全体の事だろうか。
大昔にこの島が作られ、その時の事がどこかに記録されている? 静寂の間っていうのはこの部屋だろう。この雰囲気、静寂と呼ぶに相応しい。で、ここの水を飲んで山を登れってか。
「……分かった様な分からないような。ま、せっかく手に入れた手掛かりだ。一先ず言うとおりに動いてみようか」
もう一度水を飲み、空いた袋にも水を入れていく。山と聞いて思い当たるのは、島の中心部よりやや南寄りに位置する、以前にも登ったあの山しかない。森へ戻ったら一度寄ってみよう。そう考えをまとめ、俺は洞窟を後にした。
■
森へ帰って二日目。俺は新鮮な鳥のもも肉を食べ終わると山を登り始めた。前回は頂上までは行かなかったが、今回は頂上を目指すつもりだ。それほど高い山ではないし、すぐに登りきれるだろう。
「こうして山を登ると、島に来た日の事を思い出すな……」
あの時は最初、鳥に殺されそうになったんだっけか。今も油断できる相手ではないが。あいつら、群れで襲い掛かってくる時もあるからな。
だが思い返してみると、自分自身随分強くなったと思う。負けが死に繋がる限界ギリギリの戦いを毎日しているためか、刀も随分速く振る事ができる様になったし、身のこなしも家に居た頃とは比べ物にならないだろう。
毎日身体のどこかに怪我を負って死にかけてはいるが、まだ死んでいない。負けていない。生きてここを出る事を諦めていない。
「今の俺、どれくらい強くなっているんだろうか……」
ふとそんな事を考える。少なくともこの島の幻獣は、霊力が扱える武人でも油断できる相手ではないだろう。何しろ幻獣の一撃はほとんど必殺なのだ。霊力に目覚めたばかりの、成人前の武人では勝てない相手だと思う。
だが近衛は別だろう。近衛は皇国最強の武人。直接相まみえた事はないからその強さを直には知らないが、少なくともここで過ごしていけるだけの実力はあるはずだ。
「そう思うと霊力を持たない俺はまだまだだな……」
どれだけ俺が生身で強くなろうとも。やはり霊力持ちとそうでない者の間には、越えられない壁があるのだろう。
ここで生き延びて大陸へ戻れても、俺は霊力持ちの奴らとの間で壁を感じながら生きていく事になるのだろうか。
そう考えた時、左目がより一層強く疼きだす。この疼きを強めたのは、限界を感じてしまった自分自身への怒りか。一瞬でも魔術師であるパスカエルに勝てるのだろうかと疑ってしまった事への怒りか。あるいはサリアが早く自分の仇をとれと囁いているのか。
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