Dune

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Dune 11*

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「んッ…あ、…やめ、ろ…!」

完全に予想外の行動で、抵抗もできないまま腕をベッドヘッドに拘束され、上に乗ったシリルに来ていたシャツの釦を外された。今更抵抗しようとしても、手錠がガチャガチャ騒いで手首を傷めるだけだった。シリルは首筋に唇付けて、脇腹を撫で上げる。

「なんでッ…こんな…!」
「躾だと言ったろう」
「こんなやり方があるか!」
「僕があるといえばあるのさ」

シリルは無理やり身の内の欲望を引っ張り出すような愛撫をする。それでも嫌悪の方がずっと酷くて、俺はなんとか身を捩って抵抗しようとした。

「マノス!…マノス!」
「帰ってこないよ。夕食時だし、みんな食堂さ」
「なんであんたがこんなことするんだよ、俺なんかに…」
「俺なんか、ね。やはり君は解っていないな」
「なにが…」
「周りがどんな目で君を見ているかってことにさ」
「意味が…」

その時、シリルの手がボトムスのファスナーを下ろして中へ入ってきた。

「な、」
「わからない? 本当に?」
「う、あっ…!」
「そう、君のその顔が見たいと思ってる。皆ね」
「なに、言って…んッ…」

インナーの中へ入れられたシリルの手が、熱っぽく性器を刺激した。捏ね上げられればどうしたって身体は勝手に反応して硬くなる。無様に呼吸が乱れるのを、どうすることもできなかった。

「やめ、ろッ…離せよ…」
「威勢がいいね。君はいつもそうだ。誰のところにも居ない…」

わけの解らない事を言って、シリルは半端に下ろされていたボトムスをインナーと一緒に引き抜いた。

「シリルッ…!」

強い羞恥に晒されて、頭がパニックを起こす。けれどシリルは構わず性器を弄んだ。やけに馴れた手付きで快楽ばかりを的確に引き出していく。腰の中から這い上がる甘い痺れは、快楽の脈を刻む。嫌いな相手から好き勝手に遊ばれても、容易く反応していく自分の身体が醜くて、吐き気が込み上げた。

「いやだ…やめろ!」
「お願いします。やめてください、先輩…って、言ってごらん」

金髪の下から涼しく細められた瞳が哂う。蹴り飛ばしたくて脚に力を入れたけど、シリルは上から脚を押さえつけていてまるで敵わなかった。

「言えないなら黙って感じていればいい。大丈夫、痛いことはしないから」
「いや、だ…あぁっ…く、んッ…」
「そう、もっと啼いてごらん」

噛み殺しても食いしばっても、吐息は漏れて乱れてしまう。無理やり高められる熱は解放を求めて、爪を引っ掛けられたり先端を擦られると、じんと身が震えた。

「ん、んんっ…はぁ、あ、…う、あぁっ…!」

堪えきれずに吐き出してしまうと、白濁を掌に受け止めたシリルが、その指を哂って舐めた。

「おかしいんじゃ、ないのか…」
「さあね…どっちだっていい。君を味わえるなら」
「え、あっ…!」

シリルは吐息混じりにそう言うと、濡れた指先を後ろへ挿れてきた。肌の粟出つ異物感がして、背筋が冷える。

「う、んッ…やだ…ぁ…抜いてくれ…!」
「駄目だよトゥルー。今から此処へ、僕が入るんだからね」
「な、に…」
「君だけイって終わると思ってたの? 随分だね」
「いやだ…やめてくれシリルッ…!」
「聞いてなかったのか? 頼み方は教えたはずだぞ」

そう囁かれても、俺は言われた通りの言葉を吐き出すことが出来なかった。この上そんな事まで言ってしまえば、立ち行くものがない。これ以上、惨めに屈するわけにはいかない。

「君のそういうところが、堪らない…だけどね、お仕置きだよ」
「や、あッ…!」

突然背筋を電流が走った。何が起こったかわからない。

「ここだね」
「なに、」
「君のイイところ…」
「ひ、あぁッ…あぁっあっ…!」

シリルの指先が中のどこかへ触れている。触られる度に、強い感覚が身体を襲った。何度もそうされるうちに、真っ白だった頭が快楽と認識しだす。

「ふ、あぁっ…いやだぁっ…そこ、やめッ…んっあぁっ!」

さっきまで堪えていたはずの声も際限なく溢れ、自分の声でないような甘ったるい声が高く響いた。
涙腺が勝手に緩んで景色が滲み出す。やめてくれと叫んでも、シリルは指を増やして刺激を強めるばかりだった。

「はぁっ…は、あぁっ…ぁ…」
「随分良さそうだな。やっぱり君は向いてるよ、寝子にね」
「ね、こ…?」
「君のように男に挿れられて喘ぐ男さ」

思い切り頭を撃ちぬかれたような、気がした。

これは、なんだ?

そうだ、俺は男だ。そしてシリルも男だ。俺達は今、間違いなくセックスに及んでいる。相手は、フォービアじゃない。フォービアじゃない、のに。俺は。俺は男だとか、女だとか。そんなんじゃなくて。ただフォービアが好きで、彼にならなんだってされたいと思っていた。いつも落ち着いて俺を諭すフォービアの、生身の欲望が見てみたいと思っていた。いちばん深いところで繋がってみたいと夢みていた。どんな風に女を抱くんだろうと、あの手や首筋を見るたび、そんな事を考えたりして。なにより、彼に自分を求めて欲しいと…願っていた。

でもこれは違う。この男はフォービアじゃないし、俺はセックスそのものを望んでいたわけじゃない。なのに、俺は、

「うあ、あぁ…」
「挿れるよ、トゥルー」
「いや、だ…あ、あぁぁぁ!」

あとはなんだか解らなかった。身体を裂かれて揺さぶられて、破裂しそうなほど熱を引っ張り出されて。暴力的な快楽を与えられ続けた。粘着質な音や、甘ったるい吐息と嬌声。みっともなく悦がった。堪らなかった。何度も腰を打ち付けられて、体勢を変えられて、俺の中でいつもフォービアを待っていた劣情を、関係のないシリルにぐちゃぐちゃに引っ掻き回されて、涙を流して欲を吐き出した。意識を手放すまで、俺はフォービアじゃない男に抱かれて、目の眩む快楽に、啼いていた。


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