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放課後、俺はいつものように教室で捺、爽、奏と別れ、生徒会室にいる。
一応生徒会補佐だからだ。
生徒会補佐と言っても、普通の生徒会役員と仕事内容はほぼ変わらない。
校内行事について話し合ったり、書類仕事をしたり。
強いて言うならば、補佐はあまり表立って行動しない。
全校生徒の前で挨拶したり、話したりするのは絶対にないのだ。
俺はそれが不満じゃないし、むしろ人前とか緊張するから安心してる。
「そういえば、明日ですね」
副会長の高月樹先輩が、自分で淹れた紅茶を口に含み、ふとそう言った。
明日?
明日ってなんかあった……?
「もー、晴君忘れたの?」
「明日は転校生が来る日でしょ?」
理解していない俺に気付いた、庶務の三葉空先輩と三葉海先輩がそう言った。
この二人はお察しの通り、双子である。
といっても二卵性双生児らしく、顔は全然似ていない。
ちなみに空先輩は明るくて元気な性格だけど、海先輩は冷静で、ストレートに言うタイプだ。
そういえば、と俺も思い出す。
珍しい時期に転校してくるんだな、と思った覚えがある。
なんでも理事長の遠い親戚で、成績も優秀らしく、一般入試よりも遥かに難しいと言われる編入試験に余裕の点数で合格したとか。
「転校生……こわい……」
そう言ってギュッと俺の腕にしがみついたのは書記の中尾皐先輩。
基本無口で、喋る事も苦手らしい。
先輩というより、後輩に思えるくらい弟気質な中尾先輩は、俺の事を気に入ってくれているようだ。
「可愛い子だったらいいなぁ。
あ、美人系も有り!」
「下らねぇ事言ってないで手を動かせ」
調子良く笑った岩下先輩を、生徒会長である片岡優先輩は一蹴した。
会長は、時々横暴な発言をしたり、横柄な態度を取ったりするけれど、基本は真面目で、統率力もある、生徒会長に相応しい人だ。
「ねぇねぇ、誰がその転校生迎えに行くの?」
空先輩がわくわくした様子で副会長に聞いた。
「理事長は私達に任せる、と言っていましたので、決まっておりません。
もっと早い段階で決めてしまいたかったのですが、なんといったってなかなか揃わなかったものですから」
副会長、さりげなく文句言って、じとっとある人物を見た。
その視線の先には、岩下先輩がいる。
岩下先輩は生徒会をサボりがちで、今日来たのも五日振りなのだ。
「ごめんって~」
悪びれもせず、謝る岩下先輩に、高月先輩は、はぁ、とため息をついた。
にしても、転校生の迎えか。
「俺、それ行きますね」
そう言った俺に全ての視線が集まる。
会長ですら、作業の手を止めて、俺を凝視していた。
正直めっちゃ怖い。
俺なんか変な事言ったか?
「お前、転校生に会いたいのか」
分からないけれど、怒気を含んだ会長の声に、俺は震え上がる。
「いや、そういう訳では……」
「行っちゃ、め!」
ギュウ、と中尾先輩が俺の腕に絡んだ自分のそれに力を入れる。
「この時期の転校生とか、絶対変わった奴だって!」
「晴は行くのはやめておいた方がいいと思う」
空先輩と海先輩にも止められる。
更に岩下先輩も、うんうん、と海先輩に同調する。
岩下先輩、口元は笑っているけれど、目は冷えきっている。
副会長はただ無言で俺を見つめる。
なんの表情も持たない顔で。
「あの、俺、この中じゃ一番下っ端だから、迎えに行こうと思っただけで、決して転校生に会いたいからとかではないです……」
いや、全く会いたくない訳でもないけれど……。
そう言った俺に、張り詰めていた生徒会室の空気がふわっとゆるんだ。
「別に下っ端とか気にしなくていい」
「そうだよ~!」
「岩下よりは、仕事してる」
「ちょ、海君ひどいっ!」
「晴、も、大事……」
「紛らわしい事言わないでください」
ちょっと待て副会長。
俺は別に紛らわしい事なんて言ってないです。
なんか変だ、皆さん。
そんなに転校生に会って欲しくないのか?
それとも、皆さんが早く転校生に会いたいのか?
結局、迎えは副会長が行く事となった。
一応生徒会補佐だからだ。
生徒会補佐と言っても、普通の生徒会役員と仕事内容はほぼ変わらない。
校内行事について話し合ったり、書類仕事をしたり。
強いて言うならば、補佐はあまり表立って行動しない。
全校生徒の前で挨拶したり、話したりするのは絶対にないのだ。
俺はそれが不満じゃないし、むしろ人前とか緊張するから安心してる。
「そういえば、明日ですね」
副会長の高月樹先輩が、自分で淹れた紅茶を口に含み、ふとそう言った。
明日?
明日ってなんかあった……?
「もー、晴君忘れたの?」
「明日は転校生が来る日でしょ?」
理解していない俺に気付いた、庶務の三葉空先輩と三葉海先輩がそう言った。
この二人はお察しの通り、双子である。
といっても二卵性双生児らしく、顔は全然似ていない。
ちなみに空先輩は明るくて元気な性格だけど、海先輩は冷静で、ストレートに言うタイプだ。
そういえば、と俺も思い出す。
珍しい時期に転校してくるんだな、と思った覚えがある。
なんでも理事長の遠い親戚で、成績も優秀らしく、一般入試よりも遥かに難しいと言われる編入試験に余裕の点数で合格したとか。
「転校生……こわい……」
そう言ってギュッと俺の腕にしがみついたのは書記の中尾皐先輩。
基本無口で、喋る事も苦手らしい。
先輩というより、後輩に思えるくらい弟気質な中尾先輩は、俺の事を気に入ってくれているようだ。
「可愛い子だったらいいなぁ。
あ、美人系も有り!」
「下らねぇ事言ってないで手を動かせ」
調子良く笑った岩下先輩を、生徒会長である片岡優先輩は一蹴した。
会長は、時々横暴な発言をしたり、横柄な態度を取ったりするけれど、基本は真面目で、統率力もある、生徒会長に相応しい人だ。
「ねぇねぇ、誰がその転校生迎えに行くの?」
空先輩がわくわくした様子で副会長に聞いた。
「理事長は私達に任せる、と言っていましたので、決まっておりません。
もっと早い段階で決めてしまいたかったのですが、なんといったってなかなか揃わなかったものですから」
副会長、さりげなく文句言って、じとっとある人物を見た。
その視線の先には、岩下先輩がいる。
岩下先輩は生徒会をサボりがちで、今日来たのも五日振りなのだ。
「ごめんって~」
悪びれもせず、謝る岩下先輩に、高月先輩は、はぁ、とため息をついた。
にしても、転校生の迎えか。
「俺、それ行きますね」
そう言った俺に全ての視線が集まる。
会長ですら、作業の手を止めて、俺を凝視していた。
正直めっちゃ怖い。
俺なんか変な事言ったか?
「お前、転校生に会いたいのか」
分からないけれど、怒気を含んだ会長の声に、俺は震え上がる。
「いや、そういう訳では……」
「行っちゃ、め!」
ギュウ、と中尾先輩が俺の腕に絡んだ自分のそれに力を入れる。
「この時期の転校生とか、絶対変わった奴だって!」
「晴は行くのはやめておいた方がいいと思う」
空先輩と海先輩にも止められる。
更に岩下先輩も、うんうん、と海先輩に同調する。
岩下先輩、口元は笑っているけれど、目は冷えきっている。
副会長はただ無言で俺を見つめる。
なんの表情も持たない顔で。
「あの、俺、この中じゃ一番下っ端だから、迎えに行こうと思っただけで、決して転校生に会いたいからとかではないです……」
いや、全く会いたくない訳でもないけれど……。
そう言った俺に、張り詰めていた生徒会室の空気がふわっとゆるんだ。
「別に下っ端とか気にしなくていい」
「そうだよ~!」
「岩下よりは、仕事してる」
「ちょ、海君ひどいっ!」
「晴、も、大事……」
「紛らわしい事言わないでください」
ちょっと待て副会長。
俺は別に紛らわしい事なんて言ってないです。
なんか変だ、皆さん。
そんなに転校生に会って欲しくないのか?
それとも、皆さんが早く転校生に会いたいのか?
結局、迎えは副会長が行く事となった。
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