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第四章 学園 前期生編 ~予測不可能な学園生活~
第五十六話 派閥形成
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翌日、レイドはいつも通り登校する。
しかし、昨日とは明らかな異変があった。
(何か、俺のことをチラチラ見てくる・・・?)
周りの生徒、特に同学年の人たちが、レイドのことを見てはひそひそと話している。
マルクの一件がもう学校中に広まった感じだろうか。
「おっす、レイド」
「お、カイン。珍しいな、いつも遅れ気味のお前が」
「何だよ。いいか? 俺は時間を守る男だぜ?」
「よく言うよ・・・」
と、他愛もない話をしていたが、段々とカインも異変を察知し始める。
「なあ、何か俺たち目立ってね?」
「ああ・・・ 多分俺のせいだ。早く教室へ行こう」
そうして、レイドとカインはそそくさとCクラスの教室へと向かったが・・・
「レイド!! 大丈夫だったか?」
「マリー? どうしたんだ?」
教室に着くなり、マリーがこちらに駆け寄ってきた。
「どうしたもこうもない! 君、大変なことになっているぞ!」
「え? そんなにか?」
「ああ、マルクという男が、君を倒そうと人を集めているんだよ!」
「何? 詳しく聞かせてくれ!」
今、マルクがレイドを倒そうと仲間を集めている。
その火種はAクラスのみに留まらず、B、Cクラスにも飛び火している状態だ。
先ほども、マリーたちとAクラスの生徒との間で小競り合いが起きたらしい。
「というわけで、今、レイド派とマルク派に分かれているんだ」
「ん? レイド派? 俺はそんなもの作った覚えはないぞ?」
「さっきも言った通り、生徒が団結し始めているんだ。レイド派は君と親しいものや、マルクに不満を持つ者の集まりだよ」
「そんなものが・・・」
対するマルク派は、立場上マルクに付かなければならない人や、媚を売りたい人で集まっているらしい。
「・・・ということは、マルクは大貴族ばっかり集めているということじゃないか!」
「いや、実はそうでもないんだ」
「どういうことだ?」
「マルクには婚約者がいるんだ。でも、エマを傍に置いたせいで仲が険悪になっている」
「ああ、あの入学試験にいた・・・」
「そうだ。それと、Aクラスもマルクの横暴にうんざりしている生徒もレイド派についている」
(なかなか、複雑な状況だな・・・)
レイドはあんまり理解できてない様子だ。
それよりも、気にしていることがある。
エレーヌが一向に来ないのだ・・・
「おーい、皆おはよう! 席に着けよ~」
ついには、始業の鐘が鳴り、ロイクがやってきた。
「ロイクさん!」
「お、レイド、どうしたんだ?」
「・・・エレーヌが出席していないんです!」
「うーん、そうだねぇ・・・」
何ともあいまいな返事が返ってきた。
(おかしい、いつもなら死ぬほど心配するはずなのに・・・)
「それより、自分のことを心配したらどうだい? なんか荒れているらしいじゃないか」
「え? ロイクさんも知っているんですか?」
「うん、派閥がどうたらかんたらってね。全く、可愛いものだね~」
ロイクは興味無さげにそう言う。
「・・・話をずらさないでください。エレーヌは、何か知っているんですか?」
「知っているけど、まだ君には伝えるべきじゃないね~」
「え? どういうことですか?」
「まあ、時間が経ったら分かるよ」
(時間が経ったらって・・・)
レイドはまだ言いたいことがあったが、ロイクが朝礼を始めたため、仕方なく黙る。
「・・・以上で終わり! では、良い一日を~」
「・・・ロイクさん!」
「・・・すまないね~ 今は忙しいんだ。それより、例の件の聞きこみ、よろしくね?」
ロイクはそれだけ言ってどこかへと行ってしまった。
(そうだ、べレーター家のことについて調べないと・・・)
エレーヌに関してまだ心残りがあるが、とりあえず心を入れ替えることにした。
「おい、レイド! 客が来たぞ!」
すると、カインがそう呼び掛けてきた。
「客・・・? 俺に?」
「ほら、早く来いよ!」
「ちょっと・・・! あんまり急かさないでよ!」
「レシティア・・・?」
レシティアがぎこちない様子でこちらに歩いてきている。
「あ、れっ、レイド! ひ、久しぶりねっ!」
「どうした? そんなに落ち着かないで」
「な、何でもないわよ! それより、アナタは大丈夫なの?」
「レシティアも俺の心配か?」
「・・・違うわよ。ただ、Bクラスも大変になっているから・・・」
「一体どうなっているんだ?」
「今、マルク派とレイド派が半々になってしまって学級崩壊中よ!」
「・・・なんかすまないな。俺は何もしていないが」
「全くよ! 困ったやつね!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人の間に沈黙が走る。
「ま、まあ、わたくしはレイド派だから安心してよね! それじゃ!」
「あ、ちょっと待ってくれ!」
「え? え? 何?」
「なんでそんなに驚くんだよ? 聞きたいことがある。べレーター家って知っているか?」
レシティアは何か不満そうな顔になったが、そのまま考え始めた。
「・・・教会に関係ある一族のうちのひとつだった気がしないでもないわ。それがどうしたの?」
「・・・気にしなくていい。ありがとう、参考にする」
「・・・? まあ、それじゃあ行くわね」
そうしてレシティアはBクラスの方へ戻っていった。
(教会・・・ 何か宗教と関係があるのだろうか?)
しかし、昨日とは明らかな異変があった。
(何か、俺のことをチラチラ見てくる・・・?)
周りの生徒、特に同学年の人たちが、レイドのことを見てはひそひそと話している。
マルクの一件がもう学校中に広まった感じだろうか。
「おっす、レイド」
「お、カイン。珍しいな、いつも遅れ気味のお前が」
「何だよ。いいか? 俺は時間を守る男だぜ?」
「よく言うよ・・・」
と、他愛もない話をしていたが、段々とカインも異変を察知し始める。
「なあ、何か俺たち目立ってね?」
「ああ・・・ 多分俺のせいだ。早く教室へ行こう」
そうして、レイドとカインはそそくさとCクラスの教室へと向かったが・・・
「レイド!! 大丈夫だったか?」
「マリー? どうしたんだ?」
教室に着くなり、マリーがこちらに駆け寄ってきた。
「どうしたもこうもない! 君、大変なことになっているぞ!」
「え? そんなにか?」
「ああ、マルクという男が、君を倒そうと人を集めているんだよ!」
「何? 詳しく聞かせてくれ!」
今、マルクがレイドを倒そうと仲間を集めている。
その火種はAクラスのみに留まらず、B、Cクラスにも飛び火している状態だ。
先ほども、マリーたちとAクラスの生徒との間で小競り合いが起きたらしい。
「というわけで、今、レイド派とマルク派に分かれているんだ」
「ん? レイド派? 俺はそんなもの作った覚えはないぞ?」
「さっきも言った通り、生徒が団結し始めているんだ。レイド派は君と親しいものや、マルクに不満を持つ者の集まりだよ」
「そんなものが・・・」
対するマルク派は、立場上マルクに付かなければならない人や、媚を売りたい人で集まっているらしい。
「・・・ということは、マルクは大貴族ばっかり集めているということじゃないか!」
「いや、実はそうでもないんだ」
「どういうことだ?」
「マルクには婚約者がいるんだ。でも、エマを傍に置いたせいで仲が険悪になっている」
「ああ、あの入学試験にいた・・・」
「そうだ。それと、Aクラスもマルクの横暴にうんざりしている生徒もレイド派についている」
(なかなか、複雑な状況だな・・・)
レイドはあんまり理解できてない様子だ。
それよりも、気にしていることがある。
エレーヌが一向に来ないのだ・・・
「おーい、皆おはよう! 席に着けよ~」
ついには、始業の鐘が鳴り、ロイクがやってきた。
「ロイクさん!」
「お、レイド、どうしたんだ?」
「・・・エレーヌが出席していないんです!」
「うーん、そうだねぇ・・・」
何ともあいまいな返事が返ってきた。
(おかしい、いつもなら死ぬほど心配するはずなのに・・・)
「それより、自分のことを心配したらどうだい? なんか荒れているらしいじゃないか」
「え? ロイクさんも知っているんですか?」
「うん、派閥がどうたらかんたらってね。全く、可愛いものだね~」
ロイクは興味無さげにそう言う。
「・・・話をずらさないでください。エレーヌは、何か知っているんですか?」
「知っているけど、まだ君には伝えるべきじゃないね~」
「え? どういうことですか?」
「まあ、時間が経ったら分かるよ」
(時間が経ったらって・・・)
レイドはまだ言いたいことがあったが、ロイクが朝礼を始めたため、仕方なく黙る。
「・・・以上で終わり! では、良い一日を~」
「・・・ロイクさん!」
「・・・すまないね~ 今は忙しいんだ。それより、例の件の聞きこみ、よろしくね?」
ロイクはそれだけ言ってどこかへと行ってしまった。
(そうだ、べレーター家のことについて調べないと・・・)
エレーヌに関してまだ心残りがあるが、とりあえず心を入れ替えることにした。
「おい、レイド! 客が来たぞ!」
すると、カインがそう呼び掛けてきた。
「客・・・? 俺に?」
「ほら、早く来いよ!」
「ちょっと・・・! あんまり急かさないでよ!」
「レシティア・・・?」
レシティアがぎこちない様子でこちらに歩いてきている。
「あ、れっ、レイド! ひ、久しぶりねっ!」
「どうした? そんなに落ち着かないで」
「な、何でもないわよ! それより、アナタは大丈夫なの?」
「レシティアも俺の心配か?」
「・・・違うわよ。ただ、Bクラスも大変になっているから・・・」
「一体どうなっているんだ?」
「今、マルク派とレイド派が半々になってしまって学級崩壊中よ!」
「・・・なんかすまないな。俺は何もしていないが」
「全くよ! 困ったやつね!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人の間に沈黙が走る。
「ま、まあ、わたくしはレイド派だから安心してよね! それじゃ!」
「あ、ちょっと待ってくれ!」
「え? え? 何?」
「なんでそんなに驚くんだよ? 聞きたいことがある。べレーター家って知っているか?」
レシティアは何か不満そうな顔になったが、そのまま考え始めた。
「・・・教会に関係ある一族のうちのひとつだった気がしないでもないわ。それがどうしたの?」
「・・・気にしなくていい。ありがとう、参考にする」
「・・・? まあ、それじゃあ行くわね」
そうしてレシティアはBクラスの方へ戻っていった。
(教会・・・ 何か宗教と関係があるのだろうか?)
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