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第70話 チキンソテーのトマトパスタ

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 手始めに、パスタの上に掛けるソース作りだ。
 鶏肉を一口大に切って、フライパンで油をひかずに焼く。
 玉葱を一センチくらいのみじん切りにして、肉に火が通ったら加えてフライパンに蓋をする。蒸し焼きにするのだ。
 玉葱が透明になったらトマトの水煮と水、コンソメ、みじん切りにしたにんにく、塩、胡椒、ローリエを加えて煮込む。十分も煮込めば十分だろう。
 ソースを煮込んでいる間にパスタ作りだ。
 鍋に水と塩を入れ、竈で熱し沸騰させる。
 沸騰したらパスタを投入し、茹でていく。
 パスタが茹で上がったら鍋から上げて皿に盛り付けて、出来上がったソースを掛ける。
 最後にバジルの葉を添えて完成だ。
 皆はまだから揚げ作りで忙しそうにしてるから、これは魔王に出してやるか。
 パスタは出来立てが美味いもんな。時間が経つと麺が不味くなるし。
 俺は完成したパスタをワゴンに載せた。
 いつもの通りに紅茶も用意して、謁見の間に持っていく。
 普段食事を持っていく時間よりも早いから、魔王の奴、嬉しそうにしていたよ。
 パスタを──というか麺を見るのが初めてらしく、料理を見るなりこれはどうやって食べるんだと質問してきた。
 俺がフォークに麺を巻き付けながら食うんだと説明したら、おぼつかない手つきながらもその通りにして食べていた。
 ソースも綺麗に完食して、いつものように異世界の馳走はいいなと満足そうに言っていた。
 麺料理か……醤油があるし、うどんなんかも作れるかもしれないな。
 かきあげを作って、麺と一緒にさくっと……
 うん、涎が出てくるな。空きっ腹に料理の妄想は良くないね。
 早いところ厨房に引き返して、自分たちの分の料理を作って食べよう。
 空の皿を持って、俺は厨房に戻った。
 厨房では、皆が未だにから揚げを作っていた。
 随分作ったなぁ。一人一個じゃ足りないから大量に揚げてるのは分かるけど、調理台の上がから揚げで埋まってるよ。凄い光景だ。
 部屋の一角では、から揚げと一緒に出すパンの準備が進められていた。
 パンと一緒に食べるなら、から揚げをパンに挟んでも美味そうだな。
 と言うか、主食のパンにから揚げだけだとちょっと淋しいなっていうね。
 どれ、簡単なスープでも作ってやるか。
 俺は大鍋を借りて、スープの具にする野菜を切って入れていった。
 キャベツはざく切りに、玉葱はくし切りに、ジャガイモは四分の一に。
 コンソメと一緒に鍋に入れたら、蓋をして二十分くらい煮込む。
 煮込んだら適当な大きさに切ったベーコンとウインナーを入れて、更に煮込んで出来上がりだ。
「あれ、そのスープはどうしたの?」
「から揚げだけだと淋しいからな。ポトフなら簡単にできるし、付け合わせには丁度いいかと思って」
「あー、そうだねぇ。いくらから揚げが美味しいっていってもそれだけだと物足りなかったかもしれないね」
 から揚げも数が揃ってきたようだ。大鍋に詰め込まれたから揚げが、ワゴンに載せられ運び出されていく。
 ようやく夕飯にありつけそうだ。
 それじゃあ、俺たちの分のパスタを茹でるとしますかね。
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