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第63話 責任と決意
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「……何?」
ヴォドエルは片眉を跳ね上げた。
僕は前に進み出て、言った。
「僕は、この世界を救いたいと思ってこの牧場を作って、エルたちを育ててきたんだ。その思いは今でも変わってない。神界に危機が迫っているのなら、それを何とかしたいと思ってる。だから僕も、ラファニエルのところに行きたいんだ」
「……ただの人間にどうにかできるほど、あの『蛇』は甘いものではない」
ヴォドエルは呆れたように言った。
「知らないのなら教えてやろう。あの『蛇』はかつて神界を完膚なきまでに破壊し尽くし、多くの神を屠った破壊神なのだ。おそらく現存する全ての神を凌駕する力を持っている。……そんな存在の元にお前が行ったところでどうなる。無駄に殺されるだけだ」
確かに、僕にはウロボロスと真っ向から戦えるような力はない。
ずっと練習していた魔法だって、結局使えるようにはならなかった。
僕が行ったところでラファニエルが神界征服を思い直すとは思えないし、何の役にも立たないかもしれない。
それでも。
「……僕には、知らなかったとはいえラファニエルの計画の一端を担った責任がある」
僕は拳を握った。
それを胸元に持っていき、僕はまっすぐにヴォドエルの目を見つめた。
「だから、僕には最後までエルとウロボロスの戦いを見届ける義務があるんだ。一緒に来て守ってくれって言うつもりはない。お願いだ」
「…………」
ヴォドエルは目を閉じた。
長い、間だった。
その間、僕はずっとヴォドエルから視線を外さなかった。
この思いが本気であることを伝えたかった。
「……カエラ」
ヴォドエルが目を開く。
彼の呼びかけに応えて、彼の陰からカエラが姿を現した。
「お前もこの男に付いていけ。共に神界に行き、この男が為すことを見届けろ」
「……人間を神界に案内しろって言うの?」
カエラは腰に手を当てて、眉根を寄せた。
「人間を神界に連れて行くのは掟破りになるんじゃないの? 創造神様のお叱りを受けても知らないわよ」
「……神界は既に混乱している。多少のことは目を瞑ってもらえるだろう」
「……まあ、それが命令ならやるけれど」
カエラは僕の傍まで飛んできて、僕の全身を撫でるように見つめて、言った。
「貴方、随分大それたことを言うのね。わざわざ危険に飛び込みたいだなんて。自殺志願者じゃあるまいし」
「宜しく頼むよ、カエラ」
「……貴方に言われなくたって、務めはちゃんと果たすわよ」
つん、とそっぽを向くカエラ。
僕は彼女を見て微笑んだ。
ヴォドエルが、カエラが協力してくれる。こんなに嬉しいことはなかった。
必ず、ラファニエルとウロボロスのところに辿り着く。頼りないかもしれないけれど、エルの力になってみせる。
僕は背筋を伸ばして、一歩を踏み出した。
ヴォドエルは片眉を跳ね上げた。
僕は前に進み出て、言った。
「僕は、この世界を救いたいと思ってこの牧場を作って、エルたちを育ててきたんだ。その思いは今でも変わってない。神界に危機が迫っているのなら、それを何とかしたいと思ってる。だから僕も、ラファニエルのところに行きたいんだ」
「……ただの人間にどうにかできるほど、あの『蛇』は甘いものではない」
ヴォドエルは呆れたように言った。
「知らないのなら教えてやろう。あの『蛇』はかつて神界を完膚なきまでに破壊し尽くし、多くの神を屠った破壊神なのだ。おそらく現存する全ての神を凌駕する力を持っている。……そんな存在の元にお前が行ったところでどうなる。無駄に殺されるだけだ」
確かに、僕にはウロボロスと真っ向から戦えるような力はない。
ずっと練習していた魔法だって、結局使えるようにはならなかった。
僕が行ったところでラファニエルが神界征服を思い直すとは思えないし、何の役にも立たないかもしれない。
それでも。
「……僕には、知らなかったとはいえラファニエルの計画の一端を担った責任がある」
僕は拳を握った。
それを胸元に持っていき、僕はまっすぐにヴォドエルの目を見つめた。
「だから、僕には最後までエルとウロボロスの戦いを見届ける義務があるんだ。一緒に来て守ってくれって言うつもりはない。お願いだ」
「…………」
ヴォドエルは目を閉じた。
長い、間だった。
その間、僕はずっとヴォドエルから視線を外さなかった。
この思いが本気であることを伝えたかった。
「……カエラ」
ヴォドエルが目を開く。
彼の呼びかけに応えて、彼の陰からカエラが姿を現した。
「お前もこの男に付いていけ。共に神界に行き、この男が為すことを見届けろ」
「……人間を神界に案内しろって言うの?」
カエラは腰に手を当てて、眉根を寄せた。
「人間を神界に連れて行くのは掟破りになるんじゃないの? 創造神様のお叱りを受けても知らないわよ」
「……神界は既に混乱している。多少のことは目を瞑ってもらえるだろう」
「……まあ、それが命令ならやるけれど」
カエラは僕の傍まで飛んできて、僕の全身を撫でるように見つめて、言った。
「貴方、随分大それたことを言うのね。わざわざ危険に飛び込みたいだなんて。自殺志願者じゃあるまいし」
「宜しく頼むよ、カエラ」
「……貴方に言われなくたって、務めはちゃんと果たすわよ」
つん、とそっぽを向くカエラ。
僕は彼女を見て微笑んだ。
ヴォドエルが、カエラが協力してくれる。こんなに嬉しいことはなかった。
必ず、ラファニエルとウロボロスのところに辿り着く。頼りないかもしれないけれど、エルの力になってみせる。
僕は背筋を伸ばして、一歩を踏み出した。
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