上 下
83 / 135
第6章 灰の反逆

第82話 2F〜パンナの決意〜Sideパンナ③

しおりを挟む
 俺の懐に入っていた物......それは、

「なぜヤリナとモクナにあげたはずの杖がここに......?」

 ノヴァーリスで買い、ヤリナとモクナにプレゼントしたはずの二本の杖だった。

『俺たちは行けないけど、パンナ様が無事に帰って来れるようにお守りが入っているので!』

『困った時は使ってください! オーバーサイトマスター殿に聞いた秘密のおまじないが込められてますんで!』

 そうか出発する前に言っていた”お守り“とはこれの事だったのか! 
 じゃあおまじないというのは......?

ヤリナとモクナの杖は、魔法を発動する時のように魔鉱石が光っている。
 つまり......【鑑定!】

〈それぞれの杖に攻撃魔法が込められています〉

 ビンゴ!! これを使えば! 勝てる!!

「アハ......さてはもう立つ気力もないのね? 体が全部溶けるのはすごく痛いけど、一瞬で終わるようにしてあげる!【溶解魔法 溶解・百鬼夜行メルトダウン】!!!!」

 溶解液の大波が動けない俺に向かってくる......

「ドロドロになって死になさい!」

 チャンスは一度きり。ここでやらなきゃアイツらに顔向け出来ねぇ!!

「行っけぇぇぇぇ!!!!【三位一体魔法トリニティ・マジック火岩溶岩柱トリプル・トリニティ・ラヴァー】!!!!」

 ヤリナの火炎魔法とモクナの岩石魔法の混ざった極大の溶岩柱がコリンの魔法と激突する。今度は溶かし切られる事はなく拮抗していた。

「威力3倍にしてようやく互角!! ハッ!!!! 時間との勝負だ!」

「アナタまさか!! 魔鉱石3つで魔法を使っているの!? そんなことしたら消費魔力も3倍になってすぐに魔力切れを起こすわ!! ヤケを起こしたの!?」

 当然そのリスクは承知済み! 

 次の瞬間、コリンの死角から出現した二柱の同じ溶岩の柱が宝珠を砕く。

「なっ......なぜ!? 今私の魔法と拮抗している魔法の他に別の魔法を発動!? ありえない......そんな事が人間に出来るわけ――」

「ハッ......全部一つの魔法さ......ただし、杖3つで発動したから、威力3倍の消費魔力27倍だ......」

 俺は魔力が完全に無くなってしまった。座ってる事すら出来んし頭の中で誰か鐘でも鳴らしてんのかって位頭痛が痛い......

「ッ......これは 錯覚催眠の宝珠イリューション・ジュエル? これが私に......? じゃあ、今までの私は、ニシュラブに催眠術をかけられて......?」

 コリンも魔力がもうギリギリだったのか、ショックからだろうか膝から崩れ落ち涙を流している。
 まあ魔力千倍もニシュラブの嘘だろうし、それでいてあの規模の魔法を連発したんだから当然か......

「ハッ......コリン、君が本当に操られていたのだとしたらもう今は自由だ。俺は君を殺せないし殺さない。好きに生きるといい......だが最後にこれだけ言わせてくれ。凄く強かったぜ!!」

 ここで俺は完全に気を失ってしまった。最後まで立っていた者の勝ちだと言うなら、俺は負けだろう。

「この人.....パンナさん? 私に催眠支配の魔法がかけられていると知った上で私に傷を付けまいと手加減していたって言うの......? バカな人ね......フフッ」

――魔王城2階 パンナVSコリン
   
   パンナの敗北?――
 
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~

ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」  ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。  理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。  追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。  そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。    一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。  宮廷魔術師団長は知らなかった。  クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。  そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。  「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。  これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。 ーーーーーー ーーー ※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝! ※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。 見つけた際はご報告いただけますと幸いです……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...