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第3章 兄と妹

第32話 あなたの名前はナンジャラホイ?

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 サラバンド防衛戦から大体一週間が過ぎた。

「28万9635......28万9636......」

 俺は暇が限界突破して右手の人差し指だけで逆立ちして腕立てをしているのだった!
 その横で先日俺の仲間になった狼は昼寝をしている。全く呑気な事で......
 そういえば、コイツって名前あるんだろうか。

「おいオオカミこの野郎」

「なんだ小僧......せっかくいい気分で昼寝をしていたというのに......」

「お前さ、名前どうする?」

 流石にずっと”狼“と呼ぶ訳にもいかないからな。そろそろ名前を付けないとだと思っていたのだ。

「我には”ワイヴァーグリッドウルフ“と言う立派な名前が――――!」

「それ種族名だろ? 個体名の話をしてるの!」

「ふむ。確かにそう言われてみればそうだな。では小僧よ、我にカッコイイ名前を付けてみるが良い!」

 なんでちょっと上からなんだよ......

「付けるとは言ったものの俺名前付けるの下手だからなぁ......」

「ウルフェンとか?」

「ダサいな。却下」

「フェン」

「さっきと同じでは無いか!」

「......マルコ」

「普通に嫌」

 こっ......このやろぉ......!!

「じゃあ狼この野郎はどんな名前がいいんだよ」

 それに則したやつを考えるか。

「そうだな......優美かつ豪華で愛らしく、しかしカッコよくて荘厳で威厳のある。そんな名前が良いな」

「そんな名前ある訳ねぇだろ脳みそぶちイカれてんのか狼コラおい!! お前はモフローで良いわ! かっこよくは無いけど愛らしくて可愛いぞ!」

「モフロー......良いではないか!! 今から我の名は”モフロー“だ!」

 良いんだ......
 そんなこんなしていると、ホノラが帰ってきた。

「マツルただいまー。あ、狼も起きてたのね」

「ふっ......小娘よ、我はもうただのワイヴァーグリッドウルフではない! 今、小僧から”モフロー“の名前を貰ったのだ!! どうだ? 愛らしくカッコイイ名前だろう?」

「確かに可愛いとは思うけど、モフローって感じの大きさじゃないわよね」

 あ、俺も思ってたけど敢えて言わなかったこと言っちゃった。
 そう。モフローはデカいのだ。脚だけで俺と同じ位の高さがあるので、お座りやお昼寝の状態じゃないと上手くモフモフ出来ないのである。

「――確かにホノラの言う通りだな......モフモフできないのに名前がモフローなのは名前負けという事になってしまう......」

「何ィ!? 我は名前なんぞに負けん! うぉぉぉぉぉ......!」

 モフローは力むと同時に体が光だした。
 すると見る見るうちに小さくなって、大型犬程の大きさになった。

「どうだ? これで名前に負けないモフローになったであろう?」

 小さくなってもモフ度は大きい時のままみたいで、白い大福のようになってしまったが「大きさは自在」とモフロー自信が話しているのでまぁ気にしないでおこう。

「――あ、そうだマツル? ホントはこんな事言いたくないんだけど......」

「なに?」

 なんだ? ホノラからの言いたくない事って? まさか!? 「アンタの事......好きになっちゃった......」的な!? 的な!?

「私のクソ兄貴が帰ってくるんだけど、見に行く?」

「ああ......ってお前お兄ちゃんいたの!? 行く行く!!」

「小僧! 我も同行しよう! 一応小僧の使役魔獣サーヴァントだからな!」

 という訳で、俺と狼改めモフローはホノラのお兄ちゃんに会いに行くのだった。
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