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第58壊 王の証①
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「――――恐らく、トウヤの連れている子供は俺達の目的に必要なピースの一つ......魔王の称号を持つ存在だ。そして俺達は、その子供を奪りにいく」
アジューガを除く全員が、ポカンとした表情を浮かべた。
口火を切って疑問をぶつけたのは当事者のヴィフラムだった。
「魔王って......あの子供が? 確かに魔力も魔法も異常だったけど、魔王ってそんなホイホイと支配領域の外にいるものなの?」
「その子......魔王......根拠は?」
「根拠はある。まず、約五年前から魔物達の活動が活発かつ凶暴になっている点だ。まるで司令塔を失ったラジコン......いや、大将を失い捨て身の特攻を仕掛ける騎士と言った方が正しいか」
魔物というのは、本能に刻まれた上位種の命令に従う。
この場合の上位種とは魔王の事だが、その本能に刻まれた命令とは「人族を襲え。しかしなるべく数を減らすな」である。
この命令が長い時間をかけて生存本能となり、魔物は生物になった。
だが五年前から、生きる事を捨てて凶暴化する魔物が圧倒的に増えたのだ。コーガザスの倒した帝王混蝕粘生体もその内の一体である。
そして五年前というのは、ユグドのある行動と時期が一致していた。
「なるほど......しかし、それだけではその子供が魔王という根拠には些か薄いと感じますが」
「――――五年前、俺は魔王と戦った」
「「「何!?!?」」」
業のメンバーも初耳の事実に、一同は驚愕の声をあげる。
「あの男は強かった......だが俺が勝った。これで俺の第一目標は達成されるはずだったんだけど......」
「だけど? 魔王を倒したんでしょ? なんで新しい魔王がいるの?」
「元の魔王は既にその力を渡していたんだ......現魔王、彼の息子にね」
ユグドは何かを手渡すジェスチャーを交えながら話した。
「まるで魔王という呼び名の物があるような口ぶりですな......ユグド殿」
「はぁ? 称号に形もクソもねぇだろ! それくらい俺様にも分かるぜ!?」
「あるのさ。だから集めている」
その言葉と同時に、ユグドはごとりと宝石のようなものをテーブルに置いた。
「これが......この世界の王達が王たる証だ。ちなみにこれはレプリカだけどね。君達も、この世界には七柱の王......“始原の七王”がいることは知っているだろう?」
このユグドの言葉に、質問に嘘が無い事を皆は理解していたし信じていた。
「太古の昔、神々との戦争に勝利しこの世界を創った七つの王......魔王もその内の一柱ですな。無論、知っておりますとも」
「つまりあの子供もこれに似たような物を元魔王から渡されていて、それを奪う事が私達の目的に近付く為に必要......って事? なんだか分かりにくいわね」
「その通りだヴィフラム......仮に本物を【王の証】とでも呼ぼうか。これを七つ全て王から奪い取った時、俺達の目的は達成される。一言で言うなら、なんでも願いが叶うって訳だ」
ユグドが“王の証”を七つ集めてしまうと世界は崩壊を迎える。この世界の誰も知らない。だが紛れもない事実だった。
アジューガを除く全員が、ポカンとした表情を浮かべた。
口火を切って疑問をぶつけたのは当事者のヴィフラムだった。
「魔王って......あの子供が? 確かに魔力も魔法も異常だったけど、魔王ってそんなホイホイと支配領域の外にいるものなの?」
「その子......魔王......根拠は?」
「根拠はある。まず、約五年前から魔物達の活動が活発かつ凶暴になっている点だ。まるで司令塔を失ったラジコン......いや、大将を失い捨て身の特攻を仕掛ける騎士と言った方が正しいか」
魔物というのは、本能に刻まれた上位種の命令に従う。
この場合の上位種とは魔王の事だが、その本能に刻まれた命令とは「人族を襲え。しかしなるべく数を減らすな」である。
この命令が長い時間をかけて生存本能となり、魔物は生物になった。
だが五年前から、生きる事を捨てて凶暴化する魔物が圧倒的に増えたのだ。コーガザスの倒した帝王混蝕粘生体もその内の一体である。
そして五年前というのは、ユグドのある行動と時期が一致していた。
「なるほど......しかし、それだけではその子供が魔王という根拠には些か薄いと感じますが」
「――――五年前、俺は魔王と戦った」
「「「何!?!?」」」
業のメンバーも初耳の事実に、一同は驚愕の声をあげる。
「あの男は強かった......だが俺が勝った。これで俺の第一目標は達成されるはずだったんだけど......」
「だけど? 魔王を倒したんでしょ? なんで新しい魔王がいるの?」
「元の魔王は既にその力を渡していたんだ......現魔王、彼の息子にね」
ユグドは何かを手渡すジェスチャーを交えながら話した。
「まるで魔王という呼び名の物があるような口ぶりですな......ユグド殿」
「はぁ? 称号に形もクソもねぇだろ! それくらい俺様にも分かるぜ!?」
「あるのさ。だから集めている」
その言葉と同時に、ユグドはごとりと宝石のようなものをテーブルに置いた。
「これが......この世界の王達が王たる証だ。ちなみにこれはレプリカだけどね。君達も、この世界には七柱の王......“始原の七王”がいることは知っているだろう?」
このユグドの言葉に、質問に嘘が無い事を皆は理解していたし信じていた。
「太古の昔、神々との戦争に勝利しこの世界を創った七つの王......魔王もその内の一柱ですな。無論、知っておりますとも」
「つまりあの子供もこれに似たような物を元魔王から渡されていて、それを奪う事が私達の目的に近付く為に必要......って事? なんだか分かりにくいわね」
「その通りだヴィフラム......仮に本物を【王の証】とでも呼ぼうか。これを七つ全て王から奪い取った時、俺達の目的は達成される。一言で言うなら、なんでも願いが叶うって訳だ」
ユグドが“王の証”を七つ集めてしまうと世界は崩壊を迎える。この世界の誰も知らない。だが紛れもない事実だった。
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