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第52壊 攻勢へ①

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「どぉーだコーガザス!! これでテメェをぶっ飛ばす!」

「素晴らしい底力だ......もっと楽しもう! トウヤ!!」

 できて良かった......これが対ジン格闘術の序! 凄いパワーだ!

 コーガザスは構えた体勢のまま人差し指をクイクイと動かす。

 受けてやるから来いって事か。

「じゃあ遠慮なく行かせて貰うぜェ!!!!」

 初速の入り方がさっきまでと全然違う!! 地面一蹴りで一気に10メートル位進める......

「って止まらねぇぇぇぇ!!!!」

 そのまま俺は木にぶつかってしまった。

「っ~~~~!!」

 主に前面が痛い......ってあれ? あんまり痛くない?

 そうか! 対ジン格闘術が闘気と同じ原理なら、俺は今闘気を使ってるって訳だ! だから衝撃に耐性が付いたんだ!

「おい......大丈夫か?」

「ぜんっぜん平気だわ!――――あとは自分の心配した方が良いぜ」

 今ので慣れた。次は上手くやれる。

 俺を受け止めた木をスタートブロックの要領で使い、更にスピードを上げる!

「なッ――――」

 闘気で包まれた拳は更に重く、より強固になる。

「オォォォォォォラァァァァァッ!!!!!!」

 守る闘気と攻める闘気が先ず衝突する。

 闘気は攻めに使った方がより強くなる。なぜなら、その一点に威力を集中させる事が出来るから。

 削り合いを制した俺の拳がより硬い外殻へ届く......届け!! 届かせる!!

「アアアアアアアア!!!!」

 ビキビキと何かがひび割れる音が......今度は確かにコーガザスから聞こえた。

「面白い......最高だトウヤよ!! オレの外殻にヒビが入るなど......一体何年ぶりだ!?」

「俺が知るかよ! ぶち砕いてやるから力入れとけやァッ!!!!――――」

 まだだ......まだヒビが入っただけ......今度は確実に砕き割る!

「今度はオレもそう易々とは喰らわんぞ」

 そうだよなぁ......当然腕でガードするよなァ!!

 その防御も全部ぶち抜いてやるよ!!

「――――グッ!!?!?」

 まずは蹴りで腕の防御を剥ぐ! 

 そしてェ!!

 その勢いを更に載せてより強く拳を振り出す!!

「はアッ!!!!」

 外殻のヒビはもっと大きくなった。だがまだ砕けない。

「ガッ!?......ク......」

 だが、俺は遂に山のように不動だったコーガザスをよろめかせる事に成功した。

「どうした......手も足も出なくなったか......」

「否......嬉しいんだ......トウヤがここまでオレと闘えたことが!!」

「そうかよ......じゃあとっととそれ以上へ行ってやるよ」

 だが、大分息が上がってきた......体力の消耗が激しい......これが対ジン格闘術のデメリット!

 一方コーガザスの方も腕の再生で余程体力を使ったのか、肩を揺らすように呼吸をしている。

 お互いにギリギリの勝負。恐らく決着はもうすぐ着く!

「出し尽くす! ハァァァァァ......アァッ!!」

 気合い入れろ! 全てを闘気に!!

「闘気の総量が上がった......? これは不味い......」

 コーガザスが追い切れない程に速く!! 全身の細胞を働かせろ!!

 一歩目の蹴り出し。極限まで力を込めた踏み込みは地面を焦がし、俺の身体は音を超えた。

 空気が身体に触れる度、粘土のようになった大気の壁が裂けていく!!

 これが今の俺の全力!!

「防御が――――間に合わな――――!!!!」

四木ニニギ流対ジン格闘術“正拳“威空いくう

「ア゛ッ......ガァァァァァ!!!!」

 コーガザスの顔面は砕け、直線上の森を更地にしながら吹き飛んで行った。
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