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第27壊 常識破壊女神と地味にサムライ⑤
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「――ばーか! 俺の尊敬する鬼が言ってた。戦いに勝つのは強い方じゃねぇ。ノリが良い方だって!! さァこいや! 壊すのは俺の専売特許だ! どんな奴も俺がぶっ飛ばしてやる!!」
それくらいでなきゃ、この魔王を最強になんて出来ないからな。
往復した会話の時、プリメーラが何やら驚いたような、怯えたようなよく分からん顔をしていた。何かあったのか?
「――壊すのは俺の専売特許だ! 一瞬でそんなもん踏み越えてやるわァ!!!!」
「旦那なら、なんだか簡単に出来そうな気がしてならねぇ......なぁ!」
ここで殺気の解放!! 殺気分身攻撃が来るかもしれない!
この攻撃には弱点がある。
それはこの結界という密室の中を殺気で埋め尽くさなければならないという事!
そんな空間に完全に殺気の無い空間が存在する! そこが本体のいる場所!
「俺の方が一枚上手だったようだなぁ!! これで終わりだァッ!!」
俺は斬り上げられた刃を両拳で挟んで止めた。
このまま折る――――!!
「――やっぱり、からくりに気付いてたんですねぇ......信じていました」
肩から脇腹にかけて、大きな切り傷が刻まれる。
「......なんで......ぐっ......」
殺気を放っていた方が......本体......?
そうか!! 俺は勘違いをしていたんだ。
ライは、俺が“気配を完全に絶てる奴が殺気振り撒きまくってたら何かあるだろう”という事を俺が勘付いた事にライも気が付いていたんだ。
俺の気配を絶てる方が本体という勘違いを逆手にとって、“気配と殺気を絶った自分”のイメージを俺にぶつけたんだ!
「ッ~~~! 盲点!」
俺の一瞬の思案が、この膝をついた今の俺を作っちまった......自ら名乗った最強が! 聞いて呆れる醜態だ!!
少し反撃はしてやったがな。
俺から少し遅れる形で、ライもその場に倒れる。
「まさか旦那ぁ、ジブンの狙いに考えが及んだあの一瞬で七発も入れるとは......でも、とっくに五分は過ぎてましたねぇ......お互い、最後の一撃は無効のようだぁ」
ライの言葉を聞いてはっとしたプリメーラが、急いで結界を解除して駆け寄ってきた。
「ちょっとトウヤ大丈夫!?――うっわどっちもひっどい怪我! すぐに回復魔法を!」
「あぁ、ジブンは大丈夫でさぁ。それじゃぁこれにて。楽しかったですぜ」
ライはすぐさま立ち上がり、フラフラと立ち去ってしまった。
――――
「はい! これで完治してると思うわ! にしてもアンタよく魔王背負いながら戦えたわねー」
痛い! 治ってるとは言えさっきまで斬り傷あった所バシバシ叩かないでプリメーラさん! 痛い!
「まぁ......どうだフィン?」
「あのね! すぐびゅってきえてね! ばしばしーってかんじでね! すこかったよ!」
大はしゃぎで大興奮のご様子だが、殆ど見えていなかったようだ。まぁ一気にじゃなくても良い。徐々に、ゆっくりと強くなってくれれば良いか!
この時の俺はまだ知らなかった。本人は分かっていないようだが、その記憶は、魔王としての細胞に経験として蓄積されていく事に。
それくらいでなきゃ、この魔王を最強になんて出来ないからな。
往復した会話の時、プリメーラが何やら驚いたような、怯えたようなよく分からん顔をしていた。何かあったのか?
「――壊すのは俺の専売特許だ! 一瞬でそんなもん踏み越えてやるわァ!!!!」
「旦那なら、なんだか簡単に出来そうな気がしてならねぇ......なぁ!」
ここで殺気の解放!! 殺気分身攻撃が来るかもしれない!
この攻撃には弱点がある。
それはこの結界という密室の中を殺気で埋め尽くさなければならないという事!
そんな空間に完全に殺気の無い空間が存在する! そこが本体のいる場所!
「俺の方が一枚上手だったようだなぁ!! これで終わりだァッ!!」
俺は斬り上げられた刃を両拳で挟んで止めた。
このまま折る――――!!
「――やっぱり、からくりに気付いてたんですねぇ......信じていました」
肩から脇腹にかけて、大きな切り傷が刻まれる。
「......なんで......ぐっ......」
殺気を放っていた方が......本体......?
そうか!! 俺は勘違いをしていたんだ。
ライは、俺が“気配を完全に絶てる奴が殺気振り撒きまくってたら何かあるだろう”という事を俺が勘付いた事にライも気が付いていたんだ。
俺の気配を絶てる方が本体という勘違いを逆手にとって、“気配と殺気を絶った自分”のイメージを俺にぶつけたんだ!
「ッ~~~! 盲点!」
俺の一瞬の思案が、この膝をついた今の俺を作っちまった......自ら名乗った最強が! 聞いて呆れる醜態だ!!
少し反撃はしてやったがな。
俺から少し遅れる形で、ライもその場に倒れる。
「まさか旦那ぁ、ジブンの狙いに考えが及んだあの一瞬で七発も入れるとは......でも、とっくに五分は過ぎてましたねぇ......お互い、最後の一撃は無効のようだぁ」
ライの言葉を聞いてはっとしたプリメーラが、急いで結界を解除して駆け寄ってきた。
「ちょっとトウヤ大丈夫!?――うっわどっちもひっどい怪我! すぐに回復魔法を!」
「あぁ、ジブンは大丈夫でさぁ。それじゃぁこれにて。楽しかったですぜ」
ライはすぐさま立ち上がり、フラフラと立ち去ってしまった。
――――
「はい! これで完治してると思うわ! にしてもアンタよく魔王背負いながら戦えたわねー」
痛い! 治ってるとは言えさっきまで斬り傷あった所バシバシ叩かないでプリメーラさん! 痛い!
「まぁ......どうだフィン?」
「あのね! すぐびゅってきえてね! ばしばしーってかんじでね! すこかったよ!」
大はしゃぎで大興奮のご様子だが、殆ど見えていなかったようだ。まぁ一気にじゃなくても良い。徐々に、ゆっくりと強くなってくれれば良いか!
この時の俺はまだ知らなかった。本人は分かっていないようだが、その記憶は、魔王としての細胞に経験として蓄積されていく事に。
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